劇場公開日 2002年7月13日

DUST ダスト : 映画評論・批評

2002年7月3日更新

2002年7月13日より恵比寿ガーデンシネマほかにてロードショー

現代にとって「物語」とはなにか

現代を背景にしたドラマで、盗みに入った黒人青年は、老婆が隠している金貨が欲しくて、仕方なく彼女が語る100年前の物語に耳を傾ける。その100年前、銃の使い手ルークは、アメリカ西部から独立運動に揺れるバルカン半島に渡り、運動の指導者を追う賞金稼ぎとなるが、ある運命的な出会いによって、逆に金貨とともに民族の希望を託される。

黒人青年とルークはまったく無関係だが、双方の目の前には金と歴史がある。果たして彼らは、ただ金に目が眩むのか、それとも歴史に目覚めるのか。その鍵は、物語を語りきることなく息絶えそうな老婆が握っている。マンチェフスキー監督は、そんな時空を越えて呼応するパラレルな世界を構築し、そこから新しいアメリカ像を切り開こうとする。

100年前のバルカンの地と西部は似た様相を呈しているが、歴史の意味はまったく対照的だ。西部では過去を捨て、フロンティアを切り開くのに対して、独立運動は歴史を取り戻そうとする。その違いは、歴史も物語もなく孤立し、犯罪に走る黒人青年と過去を守る老婆の立場にそのまま当てはまる。しかし、黒人青年が老婆から語り部を引き継ぐとき、彼は歴史を現在形で生きはじめるのだ。

(大場正明)

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