劇場公開日 2006年2月18日

「【”家族の血の繋がり”若き頃はモテた男だったら、不惑になって青い骨壺を抱く美女に付きまとわれる事はあるかな・・。今作は冴えない中年男の、若き日の行状を反省する”人生の一休み&反省ムービー”である。】」アメリカ,家族のいる風景 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”家族の血の繋がり”若き頃はモテた男だったら、不惑になって青い骨壺を抱く美女に付きまとわれる事はあるかな・・。今作は冴えない中年男の、若き日の行状を反省する”人生の一休み&反省ムービー”である。】

2022年4月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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ー 今作の原題は、"Don't Come Knocking"である。
  映画を見て、上手い邦題だと思ったなあ。ー

■西部劇のスターとして人気を集めたものの、今や仕事に飽き飽きしているハワード(サム・シェパード)。
 ある日衝動的に乗っていた馬と共に”西部の怪人”の撮影現場を抜け出した彼は、故郷で30年振り!に母親と再会する。
 母親はハワードを温かく迎え、20数年前に若い女性からハワードの子供を身ごもったと連絡があったことを告げる。

◆感想

 ・男は何かあった時には、愛された母親の元に帰るんだなあ、と思ったよ。
 - 30年振りの再会にも関わらず、ちょっと前まで家にいたようにハワードに接する母親の姿。クスクス笑ったのは、母親が自分の映画スターとしての記事をスクラップしていたノートをハワードが苦い表情で見るシーンである。
   逮捕、乱交、暴行の記事の数々・・。それでもキチンと息子の記事をスクラップしている母。有難いよね・・。-

 ・そして、ハワードはコレマタ久方振りに且つて抱いたウェイター、ドリーン(ジェシカ・ラング:良いなあ・・。)と再会し、バーで演奏する息子アールを紹介される。
 - ハワードが、ドリーンに復縁を迫るシーンでの、ジェシカ・ラングの演技が抜群である。”今更、何を言ってんの!”という調子で、軽ーく一蹴される姿。情けないなあ・・。身から出た錆だね。-

・ハワードの行き先を調べる映画会社の慇懃な男サター(ティム・ロス)の姿も絶妙に可笑しい。
 - 今更ながらだが、ティム・ロスって良い役者だよね。-

 ・そして、ハワードを付け回す謎の美しき女性スカイ(サラ・ポーリー)。青い骨壺を胸に抱きながら、ハワードが実の父親かどうかをパソコンで確認するシーン。
 - こんな綺麗な娘が知らない間に育っていたら嬉しいけれど、矢張り男としてはだらしないぞ、ハワード!-

<荒れるアール(そりゃ、そーだ!)が部屋から放り投げたソファーで寝るハワード。朝になっていつの間にやら傍にいるスカイ。彼女は父と会った事で、漸く青い骨壺から母親の遺灰を蒼空に放つ。
 ヴィム・ヴェンダース監督のロードムービーと言えば、誰でも知っている「パリ、デキサス」であるが、今作は冴えない中年男が、若き日の行状を現状から逃げ出す過程で反省し、新たな生活をスタートさせる”人生の一休み&反省ムービー”なのである。
 佳き作品である。けれど、未来ある若者は真似しないよーにね!>

NOBU