劇場公開日 2006年12月9日

「分かり易い作りに徹していて好感が持てる」敬愛なるベートーヴェン 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5分かり易い作りに徹していて好感が持てる

2015年4月12日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

これはお伽話である。
誰からも愛されている偉大な交響曲に知られざる秘話が…それを創造するのは冒涜に近い!
何故か英語だし、不思議な‘演奏家’は居るし、普通に会話も。

しかし監督アニエスカ・ホランドが描くベートーベン像は、自分を神に例え粗野で嫌みな男であるが芸術に対する情熱と的確なビジョンを持ち「神が叫べ!と聴こえる」と話す等、無神論者を装いながらも神に忠誠を誓っているかの様に描かれている。

エド・ハリスは流石と言える演技でベートーベンを演じている。
彼にしては“軽々”と感じさせるのが相変わらず素晴らしいカメレオン振り。

そんなエド・ハリスを助ける役のダイアン・クルーガーは、度々衝突しながらも彼を敬愛している辺りの感情表現が素晴らしかった。
ファンならば彼女のチラリズムにも注目でしょう。
第九の演奏を指揮している第四楽章のハイライトシーンはまるでラブシーンの様でもある。

映画はベートーベンの人物像を俗物的に描写しながらも一人よがりな芸術作品にはしないで、分かり易い作りに徹していて好感が持てる作品でした。

この作品や『のだめカンタービレ』でクラシックに興味を持たれた方には是非とも一度コンサートにてCDでは味わえない生の《本物の音》を体感される事をお薦め致します。

(2006年12月25日日比谷シャンテ・シネ1)

コメントする
松井の天井直撃ホームラン