劇場公開日 2005年6月29日

「スピルバーグのアナログ侵略」宇宙戦争 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5スピルバーグのアナログ侵略

2022年10月20日
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鑑賞方法:DVD/BD、映画館

怖い

単純

興奮

1953年にも映画化されたH・G・ウェルズのSF小説を、スピルバーグ×トム・クルーズの強力タッグでリメイク。2005年の作品。
昨今のハリウッド超大作の邦題は原題そのままに付けられる事がほとんど。本作も当初は原題の“ウォー・オブ・ザ・ワールド”と付けられる予定だったが、昔のタイトルのままでというスピルバーグの要望があったとか。
バリバリのハリウッドSF超大作なのにこの邦題で当時失笑も買ったが、個人的には昔ながらのちょっとB級的なこの邦題は嫌いじゃない。
尚、原題は“宇宙戦争”というより“世界戦争”の意味に聞こえるが、地球人類と火星人の“2つの世界の戦争”という意味があるらしい。

53年当時の粋を駆使した特撮技術もなかなか迫力あったが、やはり現代CGには敵わない。そりゃそうだ。
トライポッドの巨大感と蹂躙、殺人光線による攻撃…圧倒的なリアリティーと迫力とスケール。
『未知との遭遇』『E.T.』などで友好的な異星人を描いてきたスピルバーグ初の“侵略異星人”。9・11が反映されているとか。
群衆パニックはそれを彷彿させ、息を潜める地下室シーンは『JAWS/ジョーズ』『ジュラシック・パーク』などで魅せたスピルバーグのスリル演出が活かされている。
トライポッドが発する音は恐怖感を煽る。スピーディーなカメラワーク、ジョン・ウィリアムズの音楽もスリリング。
当代きってのエンターテイナーとそのベストチーム、現代技術により、往年のB級作品がA級超大作として“再侵略”した。
が…

技術や迫力は文句ナシの“A”。
しかし、肝心の中身は“B”。
幾ら原作小説通りとは言え、言わずと知れたあのオチは、呆気なく拍子抜け。これが何だか妙に本作を古臭く感じさせている。ここら辺もアップデート出来なかったものか…。
侵略SFは政府や軍や科学者などの登場人物が定番だが、本作は一つの親子。そのサバイバルを通じて我々目線を“体感”させているが、何分こぢんまりとし、話の展開に乏しい。
せっかくスーパースターのトム・クルーズを配しながら、ただ逃げ回るだけ。異星人相手に“ミッション:インポッシブル”もしない。そういやトムくん、本作でラジー賞にノミネートされたっけ…。
ダコタ・ファニングの絶叫演技は迫真だが、時々ギャーギャーうるさいだけ。
息子役の“孫悟空”も何故か軍に入って異星人をぶっ殺したいと訳が分からぬ事を言い出す。
ティム・ロビンスもただのキ○ガイ。哀れ、ヤベー奴だからとトム父に殺される始末…。
登場人物たちの言動が不可解だらけ。
こんなだから確執あった親子の和解をドラマの主軸に置かれても全くピンとも来ず共感も出来ない。

お粗末な話と登場人物描写。
迫力はあるが、異星人の攻撃も歩行型マシーンで人類を消していく。53年版では地球が侵略されるのに6日かかる計算だったが、実際はどれくらいかかる事やら…。
アナログ侵略なのは仕方ない。だって、昔から地中に埋まっていた“遺物”なのだから。アップデートもリニューアルもされず、昔と同じウィルスで死亡もこれなら説明が付く!(…なんてね)

同じ侵略SFならベタでも『ID4』の方がずっと面白味がある。
スピルバーグだって昔見たB級SFをA級現代技術を駆使して自分の手で再現したかったのさ…。

近大