劇場公開日 1995年9月

「2人だけの創造物」恋人までの距離(ディスタンス) ひろみちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.52人だけの創造物

2021年6月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ユーロ鉄道で出会った男女がウィーンの街中を会話しながら周るっていうだけ。夜明けまでの時間をひたすら話すってそれだけ。それどけなのになんでこんなに余韻を与えてくれるのか。
事件が起きるわけでもない、誰かが死ぬわけでもない、裏切りぎが起こるわけでもない、ただ2人が話しているだけなのに。

「親が放任主義だと子供には反抗心が育たない。逆に過保護でも自律心が育たない。」結局何でもいいけど、1番は夫婦が愛し合っていることなんだろなて。

ただ会話している中にも素敵なシーンが散見してるんだ。この映画では珍しい会話がない試聴室でお互い目線が合わないようにお互いのことを見るシーン。この映画では会話してないところが少ないからより印象的。
また個人的には電話ごっこでお互いの印象を伝えるシーン。真似してみたいね。

人は、生を受けた時から終わりに向かってスタートしている。終わりがあるから、今を大事にしようて思える。今日という日は二度と訪れないことを意識したらもっと貴重な1日になるよね。アバウトタイムでも同じようなこと言ってたな。今という時間を大切にしようって。

最初の口説き方も素敵だったな。
君は未来からタイムトラベラルできた。過去をやり直すために。今結婚している男との生活に不満を抱いている。過去に戻ってあの時の後悔を無くそうと。そんなときに今まで出会ってきた男を思い馳せる。あの時おりてたら、、って。もしつまらなかったらきっと今の男の良さに改めて気づくだろう。もし楽しかったら未来変わってるかもね。何も君にとって悪いことはないよ。

あとは、今という時間は2人の創造物だって。
最後に2人が話していた場所が朝の景色の中で映しだされる。でもそこは、夜に2人がいた頃の景色とはだいぶ違う。もちろん朝と夜の違いもある。けどそれ以上に、あの時間はあの2人がいて、2人の会話があって、醸し出す雰囲気や、音、そんな2人が創り上げている今という創造物なんだって。そんな事を意識したら少し素敵な時間を過ごせるのかしら。

誰かが言ってた。夫婦は大半の時間を会話して過ごす。会話しているだけで、自分が別人に思える人がいるんかな。この2人みたいに。

ひろみちゃん