劇場公開日 2005年12月23日

秘密のかけら : インタビュー

2005年12月22日更新

ショービズ界の人気デュオとして名声と富を得ながらも、不可解な殺人事件に絡んだスキャンダルから、世間に知れたものとは異なる裏の顔を徐々に見せていく本作の主人公ラニーとビンス。この複雑なキャラクターを演じたのは、演技派ケビン・ベーコンとコリン・ファース。本作について、2人に語ってもらった。(聞き手:町山智浩)

ケビン・ベーコン&コリン・ファース インタビュー

──「秘密のかけら」でお2人が演じるのはディーン・マーティンとジェリー・ルイスをモデルにしたコメディ・デュオ(漫才コンビ)ですよね。

ケビン・ベーコンとコリン・ファース 玄人好みの演技派によるコンビが実現
ケビン・ベーコンとコリン・ファース 玄人好みの演技派によるコンビが実現

コリン・ファース:「うん。原作ではそうなっているけど、僕らはもっと自由に役作りをした。原作のビンスはディーン・マーティンと同じイタリア系アメリカ人だけど、僕はイギリス人だからね。同じラットパックでもマーティンじゃなくてピーター・ローフォードに近いイメージにしたんだ」

ケビン・ベーコン:「ディーン・マーティンは歌手で、ジェリー・ルイスはお笑いを担当していたけど、僕がこの映画で演じるレニーはギャグだけでなく歌って踊って何でもするものすごくでしゃばりで目立ちたがりの役になった。楽しかったよ。最近は『ミスティック・リバー』とか『ウッズマン』とか内面的な演技を求められる役ばかりだったから久しぶりに体いっぱいで自分を表現する役をやれて」

──「ウッズマン」は幼女にイタズラした過去がついて回るので社会復帰ができずに苦しむ役でしたね。「スリーパーズ」では少年にイタズラする少年院の看守、「インビジブル」では痴漢透明人間、「ワイルドシングス」ではマット・ディロンとゲイ、と普通の俳優なら断るような性的に歪んだ役ばかり演じてますよね。そして今回は……でしょ?

ベーコン:「僕が演じるレニーはクレイジーな男で女好きだけど性的にはストレートだよ。コリンのほうが……」

ファース:「うん(笑)。僕が演じるビンスはいつも冷静で、暴走気味のレニーを抑える役回りだけど、その仏頂面の内側では悶々としているという役なんだ」

──「ブリジット・ジョーンズ」シリーズでファンになった女性たちはショックを受けるでしょうね。

ファース:「僕はたまたま『ブリジット・ジョーンズ』に出たおかげで有名になったけど、本当はコメディよりもダークな映画が好きなんだ。頼まれればロマンチック・コメディもやるけど、自分から出演したいとは思わないい。俳優としてはもっと複雑で予想のつかない役がやりたいんだ。『秘密のかけら』みたいにね」

──セックスを演じることはどうですか?

ファース:「40過ぎまで俳優やってりゃセックスやヌードにはもう慣れるよ」

ベーコン:「人前で裸になれるよう鍛えておかなきゃならいけどね」

大人の男の妖しい魅力を放つ2人
大人の男の妖しい魅力を放つ2人

ファース:「大勢のスタッフに囲まれてライトで照らされたセットで尻を出すのはさすがに恥ずかしいけど、今回の映画で僕が脱ぐ場面の撮影は、ケビンのセックス・シーンをさんざん撮影した後だったからスタッフは男の尻はもう見たくもないって感じだったから楽だったよ(笑)」

──この映画、MPAA(アメリカの映倫)にNC-17(18歳未満お断り)指定されましたが。

ベーコン:「がっかりしたよ。ヌードシーンすら一瞬しかないのに。人をいっぱい殺すバイオレンス映画がR指定(付き添いがあれば18歳以下も見られる)なのに矛盾してるね」

ファース:「この映画はセックスを推奨しているわけじゃない。主人公のコンビはセックスアピールを武器にしていたけど、セックスによって失敗を犯す。セックスのダークサイドを描いているんだ。僕はアメリカのセックスに対する厳しさはおかしいと思う。セックスを取り除いたら映画だけでなく美術や文学や音楽もなくなってしまう。たとえばセックスの要素抜きのマービン・ゲイなんて想像できるかい?」

──この映画はカナダの監督が健全で華やかだった50年代アメリカのショービジネスのダークサイドを暴く物語なのでハリウッドの反感をかったのかもしれませんね。

ベーコン:「僕が演じるレニーはセレブであることに中毒になってる。ヒロインに会ったとき「TVのワイドショーに出るんだ」と、尋ねられてもいないのに言う。それで相手が番組を見てないと怒る。あれなんてセレブ病に典型的な症状だね」

ファース:「僕が演じるビンスは引退して隠遁生活を送っているくせに、ハリウッド・ヒルズのてっぺんにあるガラス張りの家に住んでいつもハリウッドを見下ろしている。彼は世間にうんざりと言いながら、見られたい、注目して欲しいという気持ちで一杯で、内面は本当に孤独なんだ。あの家はそれを何よりも切実に表現しているよ」

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