劇場公開日 2026年8月7日

「「正義」のあとに残された過酷な世界で、片足の少年が追いかける一筋の希望」バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年 けっちさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 「正義」のあとに残された過酷な世界で、片足の少年が追いかける一筋の希望

2026年8月10日
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鑑賞方法:映画館

サダム・フセイン政権崩壊後の2009年バグダッド。武力行使の末に「平和」ではなく更なる分断と混乱が訪れた街で、銃撃戦により片足を失った11歳の少年ハムディの姿を描いた傑作です。
本作が素晴らしいのは、社会派映画としての鋭い視点と、親子の情愛を描いたドラマが見事に結実している点です。大人たちが政治や宗教で分断される中、どれほど過酷な状況でも宗派を超えて子どもたちを繋ぐ「サッカー」が、一筋の光として胸に迫ります。父親カディムが社会の不条理に抗いながら息子を支える切ない愛情、そして実際の被災体験を持つ主演少年の嘘のない自然な演技が、観る者の心を強く揺さぶります。
彩度を抑えたリアリティ溢れる映像と過度な演出を排した音響効果が、当時のイラクの情勢を肌で感じさせます。日常のありがたさを痛感させると同時に、今こそ観るべき普遍的なメッセージを投げかける一作です。

けっち