私はあなたを知らない、のレビュー・感想・評価
全199件中、1~20件目を表示
現実を生きる人とピュアな人?
あんまり見ないタイプの夕平さんに惹かれた、さつきさん。
資格取得のための勉強とか仕事、家事育児で、目まぐるしい毎日だったのかもしれないけど、手を出したなら、「契約社員」のことについて訊いた頃に、価値観の違いについて考えて、夕平さんと向き合うべきだったんじゃないだろうか、と思ってしまう。
運動会の一件ではそれがわかり易かったのに。
いや、対等であるべきだけど、どう見ても、さつきさんの方が経験値あるでしょ。たとえ話し合いがあったとしても、穏便にはいかないものなのかな。
殺意についてのアンサーを聴いて、あさこさんは、泣きわめきました。ここの感情は難しいですね。私は、あさこさんは「殺意はなかった」と聴きたかったし信じていたのでは、と受け取りました。そうなると、あさこさん的には、ふりだしに戻っちゃうんですよね。「あなたを知らない。」と突き付けられたようなもので。孤独にももどるし、許せない気持ちも持つようになるし、だから泣きわめいたのかな。
作品は、よく出来ているなぁと感心でした。この作品は、セリフがすごく少ないんじゃないでしょうか。お芝居が素晴らしいのは言わずもがなですが、どの人物もどんな感情でなにを見ているかなど、最後の回収も分かりやすかった。すごく見応えがありました。
でも、テーマ?というか、作品がなにを言いたいのかは、よくわからなかったなぁ。
歩き出す、ひとりで
観終えた直後は、あたたかさを感じながらも、少し寂しい気持ちになった。けれども今は、思い返すにつけ、なるほどと腑に落ちつつある。
幼いころに母を亡くし、唯一の身寄りである祖母とも死別した朝子は、かつて母と3人で暮らしていたという男、夕平に会いに行く。しかし彼は「私はあなたを知らない」と彼女を拒む。当時、彼らに何が起こっていたのか。
仲良く暮らしていたはずの交際相手を刺した、不可解な事件。そんな事件を引き起こした夕平もまた、深い孤独を抱えていた。ぎこちなく彼女•紗月との距離を縮め、娘•朝子と交流していく中で、彼に変化が生まれていく。2人を全力で受け入れようとすればするほど、周りが見えなくなり、一見異常な行動に出てしまう夕平。ガラス玉のように空虚な目をした彼が、朝子との関わりの中で、ぐっと強い感情を引き起こすさまに、何度も息を呑んだ。そして、彼という支えを得たからこそ、キャリアを追う余裕が生まれたはずの、紗月とのずれ。目の前を大切にすることも、将来を見据えることも、一人では難しく味気ないことなのに、かけがえのない他者のため、突き詰めようとするほど、彼らの溝は深まってしまう。
持ち重りのする物語に希望の光を照らすのは、もう一組の父娘の存在だ。彼らは、血こそ繋がっているものの、娘は父に見向きもしない。普段はボサボサ頭に構わない服装の父が、娘と会う時は頭からつま先までパリッと整えている様子が、ある種いじらしい。また、夕平と朝子をつなぐサボテンに重なるかのように、父•町村弁護士の事務所には、熱帯植物があふれているのも印象的だ。熱血とは程遠い彼の、不器用な情の深さが感じられた。(無類の植物好き、滝藤賢一さんがまさに適役!)
自分を育ててくれた2人の家族の死を受け入れ、朝子は新たな一歩を踏み出す。結局、人は孤独で、歩くのはひとりだ。けれども、歩き出せば必ず誰かと出会い、すれ違う。共に歩いていく存在とも、いつかどこかで。薄暗い工場から青空の下に這い出した夕平にも、たくさんのよい出会いがあることを願わずにいられない。
透明感と深さを併せ持った人間ドラマ
ある種の透明感と重厚な語り口を持った人間ドラマだ。冒頭で主人公それぞれが迎える朝、日常。ここで織りなされる緻密に計算された構成によって一気に心を掴まれる自分がいた。登場人物に悪人など一人もいない。しかし決定的な出来事は確実に近づいてくる。その切なさ。歯がゆさ。思えば、ここに集い合う人々は、誰もが他者との出会いによって人生を劇的に変容させる。そうやって自分以外の大切な存在を見つけ、相手のことを心から「知りたい」と願い、自らの信じる幸せを守るために精一杯に生きようとする。それでもなお悲劇は起こるのだ。珠玉の「家族ドラマ」で知られる中野監督が、新たに”ミステリー”という手法で陰影を照らし出そうとした挑戦を私は大いに買いたい。と同時に、坂口、堀田、早瀬をはじめ一人一人のキャストが静謐な音色を重ねゆく様は見事というほかない。それらの生き様を束ねるかのような世武裕子の音楽が一層の深みをもたらしている。
「あなたを知らない、」に続く想い
予備知識なしでの鑑賞を推奨したい傑作。特に「湯を沸かすほどの熱い愛」が大好きなら中野量太監督の最新作は事前情報を極力避け早めに劇場へ足を運んでいただきたい。そのほうが序盤の仕掛けを含め、より味わい深い鑑賞体験になるはずだから。
オープニングでは坂口健太郎が演じる青年・夕平の淡々とした日常、早瀬憩が演じる高校卒業を迎えた朝子のあわただしい日常が順に描かれる。次に商店街で足を止め高校生たちを見つめる夕平、バイト先で皿洗いをする朝子の短いシーンが続き、2分割画面に変わって朝子と夕平がそれぞれ画面の外側を向く構図になり、ほどなく2人が同時に振り返り画面中央に向かって進み境界の先に消え、無人になった分割画面の境界上に「私は あなたを 知らない、」のタイトルが縦書き表示で浮かび上がる。
ここまでのシークエンスにはサスペンス作品で時折見かける仕掛けが使われていて、ミスリードを意図したアイテムなども映る。予備知識がないまま本編に臨むなら、並行して描かれる2人はどんな関係だろう、どこかで出会うのだろうかなどと考えを巡らせながらストーリーを追う楽しみを味わえる。だが予告編などでは無配慮に夕平と朝子の関係性や、さらには夕平と紗月(堀田真由)の間に何が起こるのかまで明かしてしまっていて、もったいないなと思う。
ともあれ、中野監督にとって「湯を沸かすほどの熱い愛」以来10年ぶりのオリジナル脚本だそうで、家族をテーマにしている点で共通するが、家族のあり方について考えさせるアプローチが対照的でもある。「湯を沸かす~」では双葉(宮沢りえ)の並外れた慈愛によって家族の新しい形が作られていくのに対し、「私はあなたを~」では家族になれるかもしれなかった3人の関係が、わずかな感情のすれ違いと小さな不運によって崩れていってしまう。
タイトルも秀逸。「私はあなたを知らない」だけなら拒絶の意思表示だが、読点「、」が添えられることで、その先に続く感情や想いを想像させる。劇中でこのフレーズは2度登場し、それぞれに違った意味合いが込められているのも絶妙だ。
繊細な感覚の話だった
・男女の機微や台詞をつかわないで伝えるシーンなどは読み取りが苦手で、何度も面会にいったすえに東浜朝子が西山夕平にサボテンの花が咲いたといった。サボテンは捨てたと五月が言っていたのに、祖母の家に置いていたという。昔は結婚を考えてだ人とはいえ、ストーカーになったら別物では?と思った。五月は西山を想ってたってことなのかな?と思いつつ西山は嗚咽を漏らしていた。そのあと殺意はあったか?と尋ねていた。言葉がでず嗚咽を漏らしているなぁと思ったらなかったんだ、と悟った朝子が面会室を飛び出した。事前に弁護士事務所であったら憎み?つづけると答えてて、なかったら…というやりとりをしていて、なかったらどういう気持ちでいるつもりだったのか、も読み取れなくて改めて感じとるという感覚のなさを感じた。こういう繊細な感覚を感じ取れるようになりたい。
・西山が普通に生きてて恋人ができるなんて羨ましいなぁと思った。しかし、なんだか社会不適合な性格が徐々にでてきて暴走気味の姿が痛々しくなってきた。観ていてどうにか救う方法がないものかと考えても思いつかないまま、タクシードライバーをしている姿をみて何だかホッとした。そして、朝子を拾うのかと思ったら弁護士の先生の娘であぁ、ちがうのか、と思ったら(今思うと5年後も会ってて泣ける)保育士になった朝子とすれ違ったところで鳥肌がぶわーっと出てきた。説明できないなにかを感じた。
・西山が朝子のためにかけっこを仕事を早退にちかい形をとってマンツーマンで教えたり、クレヨンをどうしてもあげたいと押し掛けたりしていた。家族より家族以上の繋がりを感じていたのかもしれない。弁護士に対しても時間ですか?血の繋がりですか?と尋ねていた。改めて家族ってなんだろうって考えさせられる。
・バックルームズのネタバレを含んだ話になるけれど、クラークが変わりたくないと涙ながらに言っていた。それを、そんな人がいるのか、と思ったけど西山と五月が付き合い始めていこうとするなかで、西山はどんどん正社員になって成長していく五月とはちがって契約社員のままで、そのままではいけないという気持ちもあったと思うのだけど朝子との関係を深めていっていた。シンプルにもっと地に足をつけた生活を目指そうというふうに変わりたくなかったのかな、と思い、自分は変わりたいと口でいうだけでクラークのように変わりたくないと本心では思っていたのだ、と感じた。周囲が変わっていくと途端に怖くなる、あの感じを思い出したし、自分がぬるま湯に浸かっていたことを感じた。
深く心に残る作品だが最後まで違和感があった。
何の知識も無くたまたま空いた時間で鑑賞した。Anarchistはこの映画の中で一切触れられないあることに違和感がある。それは夕平は実は発達障害なのではないかということだ。同じように考えた人は他にもきっといるはず。少なくとも彼は発達障害のグレーゾーンにはいるように見える。では何故そこに一切触れないのか?それはきっとそういう物語にすると色々と大変だと考えたのではないか。どうしても夕平の見せ方がそのように見えるのだ。個人的には夕平が可哀想で仕方がない物語だった。夕平は「自分がいなくても誰も困らない」と言っていたのだから最後も殺意が無くともあったと嘘をついた。深く心に残る作品だが今の自分には消化しきれないモヤモヤが沢山残る作品だった。
タイトルなし(ネタバレ)
湯を沸かすほど熱い愛での杉咲花さん
浅田家!での二宮和也さん
このお二人の中野量太監督とのエピソードが好きで作品を観るようになった
いくつかあった伏線回収のなかで「サボテンの花」の伏線がよかった
本当の家族とは?
血・手続き・いっしょにいた時間?
そんな単純なことだけでは家族は推し量れない
中野監督が問いかけているように感じた
長〜いひとりごと
最後のシーンで頭を垂れてしまった(うん)は嘘なのでは!?
ただ単にパン切り包丁を返しに行っただけで、殺意なんてまったくなかったのでは?
これ以上、朝子を巻き込んではいけないとの強い思いで…
願望も含めて都合よく考えすぎかな
Hさんはどう思いますか?
面会で最初に発した言葉の意味が裏返る見事さ
2016年に「湯を沸かすほどの熱い愛」で日本映画界に衝撃を与えた中野量太監督が10年ぶりのオリジナル脚本で撮った何故か日仏合作で今度のテーマカラーは黄色。次に青か緑で撮れば信号三部作となるであろう。是枝裕和といい石井裕也といい「家族って何?」が繰り返し描かれるのだが今作の主人公西山友平(坂口健太郎)の「血?手続き?一緒にいた時間?」という問いかけがどストレートに作者の意思表示をしていてちょっと痛快。おそらく男と女で観点が180度変わる作品で経済重視の東浜紗月(堀田真由)に対して友平は「今子どもと一緒にいてやらないでどうすんだ」「胸糞が悪い」という最大級の言葉で紗月を非難するがこれが男目線。シングルマザーの立場に感情移入する女性にしてみれば朝子(倉田瑛茉)にストーカーまがいの愛情をそそぐ友平は気持ち悪い男と映るのだろう。クライマックスでタイトル末尾の読点「、」の意味が示される構成が秀逸でエンディングは清々しささえ感じられるのだが女性観客にはブーイングかも知れない。そこで坂口健太郎を起用した意味が大きいかも。
親が与えるもの
愛情は、注がれる幸せもあるが、注ぐ幸せもある。
孤独に生きてきた夕平は、初めての経験である「愛情を注ぐ幸せ」に溺れたのではないか。
幼いころから人の目からこぼれているような育ち方で、極端に人とのコミュニケーションが不足しており、人が知らず知らず身に着けている人との距離感や感情の加減が分からなかったんだろう。そういうのはおそらく、親から教わるか人と揉まれる過程で観に着くものだから。
入社時からあからさまに夕平を誘っていた紗月が胡散臭かったが、そういうことだったのか。彼みたいなコミュ障なら彼女いないだろうし(それに多分童貞)若くてかわいい自分が迫ればすぐ落ちると踏んだのが見え見え。
夕平が自分を切れない仲になったところで幼い娘を紹介してなし崩し的に「家族」を作る。
強かな計画は順調に進んでいたが、夕平の認識のあちらこちらに「常識」から外れているのを見て、徐々に引いていく。夕平は、家庭を持つんだから頑張って収入を増やそうとか安定した職に就こうという将来を考える方向に行かない。ただでさえ収入が少ないのに、いくら娘のためとはいえ、さらに就業時間を減らして収入を減らして付き合うとはどういうことだろう。なんでこんなに幼い娘に執着するのか、という恐ろしさも芽生える。
この心の動きは、うまく整理された脚本で自然と頭に入ってくる。
そういう目で見はじめると、夕平の「非常識さ」が「異常性」に代わっていき、冷静でしたたかな紗月はさっそく別れるための行動開始。彼女が夕平に近づいたのは、好意からではなく打算だったのがこの辺で決定的に分かる。保育園の送迎やら不在時の預かりやら、散々夕平を利用していたのでもやるが、「幼い女の子」の親とすれば娘を守ることを第一優先にするのは当然だ。ドライな紗月は躊躇なく「別れる」一択で、母とすれば大変頼もしい。
打算的で嫌な女に見えるが、紗月は自分の幸せは二の次というか全然考えておらず、とにかく娘の将来のために、が行動の指針だ。特に重要なのは経済的基盤。
将来性からも夕平は娘の父として失格だし、それどころか一緒にいたら害になる、その判断が冷静で素早いのだ。
ひとり団地住まいする凛とした母を見れば、彼女があの母の影響を受けたのがありありだ。
子供の人格形成は、親が与えるものが大変重要なのだと言葉を尽くさずとも見ているだけで感じる。(5歳の朝子がすでに男の気を引く術を身に着けているようで、これも母の背中が娘に伝えたもんじゃないかと思ってしまいました。)
そしてストーカーが出来ていく過程が分かった。
最初は紗月に利用されて気の毒だと思っていたが、だんだん夕平が気味が悪くなってくる。だが、本人は執着に囚われて手放すことができない。ストーカーは相手の気持ちを考えることがない。いるのは自分だけ。こういう思考は、育った環境や親から与えられるものに由来している部分があるのではないか。
時間が交錯するが、「スカイツリー」でどの時代の話か分かるようになっている。
再現された事件の詳細を見たら、パン切り包丁で切りつけはしたが、手のひらを傷つけただけ。死因は階段から落ちたことだろう、これは事故に近い、せいぜい過失致死ではないのか。殺意はなかった、と一言言ったら認められる案件と弁護士が言った通りだと思う。
時々首をひねるような判決があるが、この件はそのひとつだったとしか思えない。
町村弁護士、駆け出しだし、強いのは離婚問題、不慣れな分野だったんですね。
夕平は、殺意を聞かれて「なかった」と言い切れない部分があったのだろう。
社会で生きる知恵に欠けるので、自分を守るための方便という発想もなかったのかもしれない。
夕平も紗月も、幼い朝子の幸せだけを願っていた。
だが、ボタンの掛け違いが壊滅的だった。
大学生の朝子は、調べていくうちにそれを知る。
幼い自分をひたすら案じていた実の母に、一瞬でも殺意を持ち、結果的に命を奪った男では、とうてい夕平を許すことはできないが、心底恨む気持ちにはなれない。
それどころか、天涯孤独になった自分が寂しさのあまり彼を求めてしまうかも、という危惧もあったのではないか。
懸命に折り合いをつけて出した答えが「私はあなたを知らない」
こういうのを「赦し」と言うのでしょうか。
極悪人、人非人は一人も出てこない。
滝藤さんの弁護士が良い味で、娘も今風の女子高生だが、彼女なりに周囲を観ていて、それなりに気を遣っている。パパのことはないがしろな風だがそうではない。もしかすると過剰に気を遣わせないために振る舞いを考えているのかも。かわいいです。
出所後の夕平がタクシー運転手としてまっとうに働いて日々を送っていることに安堵し、メガネの娘が笑顔で父との約束に遅れそうなので、と乗り込むところは、思わず微笑んでしまった。
弁護士先生、幸せみたい。
出所後、朝子と再会する場面がないのがとても良い。
事件の真相を探るミステリーもあるが、ある事件の渦中の人々の人間関係と愛憎と、ままならない感情をさぐるミステリー、主人公の朝子がつけた、自分なりの結論に説得力がありました。
18歳の朝子を演じた早瀬憩がとても良い。どこかで見たと思ったら、「偉国日記」の姪ちゃんだった、彼女も「朝」だったわ、そういえば。
そして、ちょい役だが重要な役割の、滝藤弁護士の娘を演じた稲垣来泉がまた良かった。
こんな娘がいたらなあ、とおばさん、空想しちゃったわ。
本当はこの後もう一本観ようかと思っていたが、この作品だけでおなか一杯。
麻婆豆腐ラーメン食べてショッピングモールをうろうろして帰宅しました。
でもって、レビューをなかなか書けずに数日寝かせてしまった。
初・中野量太だったが、原案・脚本も兼ねていて、オリジナル作品とは恐れ入りました。
素晴らしく力のある人ですね。
日仏合作映画で、韓国などにも配給が決まっているとのこと。
普遍的な内容でどの国の人にも訴えるものはあると思う。
『おじさん』のことは全く忘れている朝子、5歳なら少しは記憶があるんじゃないかとは思うが、どうなんだろう。
我が家のパン切り包丁は、ダンナが買ってきました。
サボテンの花…
カルメン?
中野量太監督の『湯を沸かすほどの熱い愛』(未見)以来10年ぶりのオリジナル脚本だそうだが、中野監督の映画で僕が観たのは『浅田家!』だけで、個人的にはあまり面白くなかった。でも本作はタイトルやあらすじや配役を見て面白そうだったんで観に行った。
うーん、期待しすぎたかな。期待してたほどには面白くなかった。映画はゴム手袋工場で契約社員として働く天涯孤独な28歳の主人公の青年と5歳の娘を持つシングルマザーの恋、そしてその5歳の娘との3人の「家族」のような関係が描かれるのと並行して、自身を育ててくれた祖母を末期ガンで失い天涯孤独となった18歳の女子高生→女子大生のストーリーとが交互に展開されていく。実はその女子大生が娘の成長した姿で、主人公は13年前にシングルマザー女性を殺し、服役中であることがわかるわけだが、映画の情報を最低限でも仕入れてしまうとそれは映画を観る前にあっさりわかってしまう。それなのに映画では始まって10〜20分ぐらいそこを引っ張るんで、いやそれわかってるし、とちょっと面倒くさかった。そこはわかってるから話を早く進めてくんないかなと。
そして全体的には、正直言って映画の中にあまり共感できる人物がいない。あえて言えば、世の中って上手くいかないもんだな、という感想になるんだが、個人的にはわざわざ映画でそれを確認しなくても……。特にシングルマザーは、中野監督(原案・脚本も担当)が意図したかはわからないが、ちょっと魔性の女に見える。極端に言えば自分から男を誘っておきながら、気持ちにズレが出来た途端に強く拒絶するというのは、(細かい部分はだいぶ異なるものの)なんだかビゼーのカルメンみたいだ(最後に男に殺されるところもいっしょだし)。なんだか主人公にちょっと同情すらしてしまった。だからといってストーカーまがいになったり、ましてや殺したりするのは許せることではもちろんないんだが。
俳優たちは、主人公役の坂口健太郎も、成長した娘役の早瀬憩も、シングルマザー役の堀田真由もみんな良かったんだけどね。ちょっと残念でした。
すごいものを見た、
サボテン🌵の黄色い花が意味するところ
キャピ子ちゃんに人生を狂わされた男のものがたり、
キャピ子ちゃんはいい女優さんになったな、
あの笑顔で来られたら誰だってイチコロ、子どもいたって大丈夫、
そしてつれなくされたらストーカーになっちゃうよ、
あれが他の女優さんだったらもっと嫌な感じになってただろうし、キャピ子ちゃんだったら許される、許されなかったけど、
早瀬憩ちゃんもいい女優さんになったな。もっともっと人気出てくるんだろうな、
お腹出して寝てるところは寝相がいっしょってところを見せたかったんだろうけど、お腹出す必要ないよね、
こういうところ中野量太さんは駿さんぽいけど今の時代やめといた方がいいんじゃないかな、
稲垣来泉ちゃん、最初誰かわかんなかったや、
彼女もいい女優さんになったな、
最近は子役から上手くいい女優さんに育っていく人が多いね、
中野量太監督作品にはどうしても期待してしまう、
それほど熱い愛には泣かされた。杉咲花と伊東蒼だったんだよ、
それなのに、
サボテン咲くんだろうな、
階段のところに立っちゃって、
予想通りだなぁ、テレビドラマみたいだ、
タクシーの客として乗り込んでくるんだろうな、
そっちかい!
「四月の余白」のHope,anyway に続いて、エンディングに流れる世武裕子さんの主題曲 I don’t know you
切ないながらもどこか希望のもてる気持ちになれる、
こういう余韻に浸れる音楽がいいですね、
家族になりたかった男と、家族を終わらせた娘
中野量太監督はこれまで一貫して「家族」を描いてきた。しかし本作で扱われる家族は、血縁でも制度でもなく、わずか半年ほどの共同生活によって仮構された、きわめて脆い関係である。だからこそ本作は、家族の温かさを描く作品でありながら、その温かさが失われたとき、人間に何をもたらすのかを正面から描いている。
坂口健太郎演じる夕平は、幼いころに母を失い、祖母を亡くして以降、単調なルーティンの中で生きてきた。彼は孤独ではあるが、不幸ではない。むしろ重要なのは、彼が家族の不在を「欠如」として認識していないことだ。毎日同じ時間に起き、同じような食事をし、同じ工場に通う。その反復は単なる性格描写ではなく、変化のない世界に自分を閉じ込めることで感情を安定させているようにも見える。
そこへ紗月と娘の朝子が入り込む。
夕平は初めて、誰かと食事をし、誰かを待ち、子どもの世話をし、自分の帰りを待つ人がいるという経験をする。ここで中野監督は、家族を救済として提示する。しかし本作が興味深いのは、その救済がそのまま悲劇の原因へ反転していく点だ。
夕平と紗月の破綻は、単なる価値観の不一致ではない。夕平は「一緒にいる時間」を家族だと考える。紗月は「将来の生活を安定させること」を家族への責任だと考える。二人とも朝子を大切にしているが、家族を成立させる条件についての認識が違う。
その差が最も鮮明になるのが運動会の場面である。夕平は、朝子の努力が報われることを願い、徒競走のやり直しを求める。しかしその愛情は、社会的なルールを越えて暴走する。ここで紗月は初めて、夕平の純粋さと危うさが同じ根から生じていることに気づく。
本作が巧いのは、夕平の長所と短所を別々に用意していないことである。他人に迎合しないことは、誠実さでもあり社会性の欠如でもある。欲がないことは純朴さでもあり、将来設計のなさでもある。朝子を深く愛することは父性的な優しさでもあり、「自分が必要とされたい」という欲望にもつながる。だから夕平の愛情が執着へ変わる過程には、断絶がない。むしろ最初から同じ性質が、状況によって別の顔を見せている。
一方で、本作には危うさもある。映画は夕平の内面を徹底的に説明する。なぜ家族を欲するのか。なぜ朝子に執着するのか。なぜ紗月との別れに耐えられないのか。なぜサボテンを「捨てた」と聞いたことが決定的だったのか。それに対して、紗月が夕平に惹かれ、やがて彼を拒絶するまでの内面は、同じ密度では描かれない。結果として、観客は夕平の痛みには容易に接近できるが、紗月の恐怖や限界については想像で補う必要がある。
この非対称性は本作の弱点であると同時に、作品を不穏にしている要因でもある。観客は加害者の心理を理解できてしまう。しかし、理解できることと、行為を赦せることは別である。その問題を、本作は終盤で明確に突きつける。
朝子は13年後、事件を調べる中で、パン切り包丁が殺害目的で持ち込まれたのではない可能性に気づく。一度は「夕平に殺意はなかったのではないか」と期待する。しかし本人に問いかけると、夕平は泣きながら殺意があったことを認める。ここで映画は夕平を救済しない。計画殺人ではない。偶発的な転落でもある。だが、その瞬間に殺意はあった。この曖昧さを残しながら、責任だけは消さないところに、本作の倫理的な厳しさがある。
そして、サボテンが13年後に花を咲かせる。紗月は「捨てた」と言っていたが、実際には母に預けていた。夕平が完全に失われたと思った朝子との記憶は、物としては残っていた。しかし、その事実が明らかになっても何も元には戻らない。むしろ「もしあのとき知っていたら」という取り返しのつかなさだけが強調される。だからサボテンは希望の象徴であると同時に、後悔の象徴でもある。
ラストで朝子が夕平に手紙で告げる「私はあなたを知らない」という言葉も、和解ではない。彼を赦したわけでも、憎しみが消えたわけでもない。朝子は、母を殺した男を一生憎み続けることも、自分を愛してくれた父親のような人物として抱え続けることもやめる。関係を終わらせることで、自分の人生を取り戻す。タイトルが「。」ではなく「、」で終わるのは、そのためだろう。
「私はあなたを知らない」で関係は終わる。しかし朝子の人生は、その先も続く。『私はあなたを知らない、』は、愛が人を救う映画ではない。むしろ、愛情そのものには倫理がないことを描いた映画である。
愛しているから正しいのではない。相手の意思と距離を尊重できなければ、愛情は容易に暴力へ変わる。家族を描き続けてきた中野量太が、本作では「家族とは何か」だけでなく、「家族になりたいという欲望は、どこまで許されるのか」という問いまで踏み込んだ。その点で本作は、これまでの中野量太作品の延長線上にありながら、最も不穏で、最も倫理的に厳しい家族映画である。
悪者がいるとしたら。
誰にも頼らず、一人でそっと生きてきた彼の生活をかき回したのは誰?
こっそり彼の後をつけていたのは誰なの?部屋の前で待ち伏せていたのは?
なんだか、釈然としない。
彼にとって大切なサボテンの行方を知った今となっては、あの表情から何が汲み取れるのか?
彼に「家族」という期待をさせて、体よく利用したとしか思えない。
「家族でもないくせに」「家族ってなんだよ」血縁あっても、拒否られたらもはや家族じゃないのかもしれないのに、必死にそこを守ろうとする。
彼は、最後まで子どもの味方。
もう少し、あと少し、うまく言葉を操れていたなら、何か違っていただろうか。
それぞれの人物の描かれ方がとても丁寧。余白も余韻も絶妙。
結末が期待とは違った
『湯を沸かすほどの熱い愛』などの中野量太監督、というふれこみに興味を持ったが、本作もホームのシネコンラインアップからこぼれてしまった作品なので、仕方なくいつもとは違うシネコンに出掛けて観賞。
【物語】
28歳の西山夕平(坂口健太郎)は、契約社員として工場でまじめに働き、決まりきったスケジュールをこなしなして暮らしていた。会社でも業後も一人で居ることが当たり前な日常でも、特に不満も孤独も感じずに淡々と生きていた。
そんなある日、彼の職場にパート職員・東浜紗月(堀田真由)が配属される。社交性に富んだ紗月に何かと声を掛けられ、夕平の暮らしが変わり始める。紗月との距離が縮まったある日、彼女の家に呼ばれるが、彼女の家には5歳の娘・朝子(倉田瑛茉)がいた。
夕平は驚くが、朝子を含めた3人の新たな関係が生まれ、夕平は次第に朝子にも愛情を注ぎ、幼い頃から家族の温かさを触れずに生きて来た夕平の心は満たされていく。ところが、ステップアップを目指して紗月が転職したことを機に、紗月との関係に歪が生まれ始める。
【感想】
序盤は良かった。冒頭数分で夕平の暮らしぶりがよく分かり、堀田真由演じる紗月が妙に人懐っこく、でも自然に夕平と距離を縮めて行く描写も心地よく眺めていた。5歳の朝子と夕平の交流も微笑ましかった。
中盤、夕平と紗月の関係がギクシャクし始めるあたりは、やや違和感が。「こんなこと言うかな・・・」とセリフがところどころに有ったり、展開にも「ちょっと雑かな」と思うような不自然さを感じるところが有った。
そして13年後パートだが、13年後パートの終盤までは悪くなかった。特に18歳になった朝子演じる早瀬憩が本作のもう1つの興味だったが、演技が上手いとは言えないが、なかなか魅力的な娘だなと思い、作品観賞の満足度は上昇していた。
が、結末はどうだろうか。
どういう結末を作者が用意しようが正解/不正解はないし、どう感じるかは観た人それぞれだけれども、・・・
俺には後味の悪さが残った。
もう少し、ホッとできる結末を予想していたからだと思うが、結末で急に満足度が低下してしまった。
全199件中、1~20件目を表示















