白鳥とコウモリ : 特集
映画原作の金字塔、東野圭吾さんの“新・最高傑作”を
総力映画化 “容疑者の息子”と“被害者の娘”が、ま
さかの禁断バディ…“解決したはず”の事件が動き出す
【今、最も観たい俳優×今、最も時代を代表する女優】

もうこれだけで、映画館へ息を切らしながら駆け込む理由になる。

今年7月に逝去した作家・東野圭吾さんが、数々の傑作小説のなかでも
主演を担うのは“今、最も観たい俳優”松村北斗と、“今、最も時代を代表する女優”今田美桜。
――演じたのは、容疑者の息子と被害者の娘。本来なら決して交わらない2人が手を取ったとき、解決したはずの殺人事件が動き出す。
原作、禁断バディ、そして実際に鑑賞した者が語る“その先”まで。なぜ映画「白鳥とコウモリ」が“観るべき一本”なのか、順に解き明かしていこう。
【常に傑作を放ち続けてきた作家・東野圭吾さん】
“新たなる最高傑作”が、いまここに“解禁”される

●「白夜行」「容疑者Xの献身」「手紙」「マスカレード」etc…私たちは知っている、東野圭吾さん作品の驚異の“傑作率”を――

著作の累計発行部数は1億部を超え、今世紀の作家を代表する1人である東野圭吾さんを、私たちはこう呼んでいる。
「手紙」「容疑者Xの献身」「白夜行」「麒麟の翼 劇場版・新参者」「天空の蜂」「真夏の方程式」「祈りの幕が下りる時」「人魚の眠る家」「マスカレード・ホテル」「ブラック・ショーマン」etc…

これらのタイトルに、映画館の暗がりで息を呑んだ記憶がよみがえる人は多いだろう。
ただトリックが素晴らしいだけではない。綿密なサスペンスの奥に、人間の弱さや愛情が確かに息づく物語に、人々は常に魅了され続けてきた。
ゆえに東野作品は、映画化と聞いただけで私たちを無条件に前のめりにさせる。今回も、その“勘”が裏切られることはない。
●そして。映画最新作「白鳥とコウモリ」――
東野圭吾さん自身が「本作を超えることが目標」と語った“罪と罰の物語”にして、“新たなる最高傑作”がついに映画化

では、その東野さんが“自分史上の頂点”に置いた作品は? 累計発行部数195万部を突破した「白鳥とコウモリ」である。
物語は予告編をご覧いただこう。
【予告編】
「白夜行」「手紙」の系譜とも言える重厚な物語が、これ以上ないスタッフ・キャストにより、ついにスクリーンに放たれる。さらに言うと、本作は“事件が解決して終わり”の映画ではない――。
原作ファンも映画ファンも、そうではない人にも、いま観てほしい一本として強く推したい。
【今、映画.comが最も観たい2人の“禁断バディ”】
容疑者の息子×被害者の娘 “真実”のため手を組む2人

ここからは、本作の最大の見どころ――主演2人について。語るべきは「2人がどれだけすごい俳優か」ではなく、「その2人が、どれだけ壮絶な役に身を投じたのか」だ。
●【今、最も観たい俳優・松村北斗】
「ファーストキス」「秒速5センチメートル」「夜明けのすべて」「九条の大罪」etc…出ている作品、全部いい、偶然ではない。次は“どんな存在感”をみせてくれるのか──

主人公の1人・倉木和真――父が「人を殺した」と自供した“逃げ場のない容疑者の息子”――に扮したのが松村北斗だ。
「今、最もスクリーンで観たい日本人俳優は?」と聞かれたら、私は迷わず「松村北斗」を挙げる。
直近の出演作を並べれば一目瞭然。「ファーストキス 1ST KISS」「秒速5センチメートル」「夜明けのすべて」「九条の大罪」――個人的に、彼の芝居が大好きなのだ。

大げさな熱演や感情の爆発ではなく、徹底して画面に溶け込み、1人の人間をリアルに実在させる。「スクリーンの向こうに本物の人間が生きている」と思え、その体温が物語全体を“本物”のものにし、作品全体を別次元へと連れていく。
第49回日本アカデミー賞では優秀主演男優賞・優秀助演男優賞にくわえ、話題賞(俳優部門)とトリプル受賞。そんな松村が「白鳥とコウモリ」でどんな存在感を見せるのか――
●【今、最も脚光を浴びる女優・今田美桜】
「あんぱん」で“時代の顔”になったヒロインが、“これ以上ない”タイミングで映画主演へ

一方の今田美桜が演じるのは、もう1人の主人公である白石美令――父を殺された“被害者の娘”。
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で、応募3365人、“朝ドラ史上最多の激戦”を満場一致で射止め、全国の朝を明るく照らした“時代の顔”だ。

そんな彼女が、朝ドラ直後の最も注目される“この瞬間”に選んだのが、
しかし。憂いの奥に、確固とした“強さ”を感じずにいられない。彼女の決断を目撃するだけでも、映画館へ足を運ぶ強い理由となる。
●【そんな2人が演じたのは“禁断バディ”】
加害者の息子と、被害者の娘。本来なら憎しみでしか繋がらない2人。しかし彼らは“終わったはずの殺人事件”の真相究明で手を組む――

この2人が組む関係そのものが
加害の家族と、被害の遺族。正反対の2人が、奇妙なことに同じタイミングで違和感を抱き、真実のために手を組んだ。
この構図を知っただけで、筆者は先が気になって仕方なくなった。
そして、タイトル「白鳥とコウモリ」が何を意味するのか。その答えは2人の運命の行く先――物語の終盤で明らかになる。
【さらなる魅力】ありえない2人がたどり着いた真実
と“その先にあるもの”間違いなく東野さんの新・傑作

ここまで原作の格と、主演2人が挑む役の“重さ”を語ってきた。だが、本作の魅力はまだ語りきれていない。
ひと足先に観た立場から、ネタバレなしでさらに詳しく掘り下げていきたい。
●【松村北斗×今田美桜が放つ“張り詰めた化学反応”】
恋でも相棒でもない“絶妙な距離感”に尋常じゃない没入感。この2人、やっぱりとてつもない、1秒たりとも目が離せない――
特に響いたのが、あまりに絶妙な“距離感”だった。
決して“相棒”ではない。2人の間に“埋まらない溝”が横たわっていながらも、共通の目的に向かって力を合わせる“二律背反”に、人間の複雑さと尊さがにじむ得も言われぬドラマが詰まっていた。
「真実だけが2人の運命を知っている」のキャッチコピーも脳内を駆けめぐり、物語展開から一瞬たりとも目が離せなくなったのだ。
さらにそれぞれの存在感もまた胸に迫る。松村演じる和真は、怒りも痛みも抑え込み、淡々としている瞬間すらある。だからこそ、ふとした瞬間に漏れ出る感情が、恐ろしくも、愛おしい。
一方の今田扮する美令も、物語全体をグイグイと引っ張っていく。自分の行動により“幸福な日常”があっけなく壊れてしまうとしても、それでも真実を知りたい、そのひたむきな強さに、涙がこぼれてしまうほど心打たれた。
松村北斗と今田美桜、キャリアハイといえるほどの化学反応はまさに必見だ。
●【全編通じて、圧倒的な芝居の快感】
豪華キャストが白熱。言葉や出来事の裏に隠された“真実”が、“顔”と“間”で表現されるのがたまらない

主演だけでなく、日本の映画界を支える豪華キャストたちも圧巻だった。
和真の父を演じた三浦友和の、ときに背筋を凍らせるほど重みのある沈黙。美令の父を演じる中村芝翫の、誠実な人柄と朗らかな優しさ。
さらに柄本佑、吉田羊、井川遥、風吹ジュンらの、一筋縄ではいかない表情の数々――文字数の都合で詳述できないことが歯がゆくてたまらない。

そして本作が本当に巧いのは、彼らの芝居を通じて、肝心なことをセリフで説明しない点だ。
目線が泳ぐ一瞬、返事の前に半拍、閉じた口元。その細部に真相を見破るヒントが潜んでいる。

「あゝ、荒野」「正欲」など、人間の内側を撮り続けてきた岸善幸監督の“極上の演出”。「ある男」など衝撃作をつづってきた脚本・向井康介の“迫真のストーリーテリング”。
●【この物語は、単なる「事件解決」で終わらない】
どんでん返しの“その先”に、驚きをこえた“情動”が待っている。心に刻まれるその余韻は、いつまでも体をあたためるだろう。

最後に、筆者が本作を推したい最大の理由を。
ミステリーの醍醐味はやはり「事件の解決」にある。
ネタバレのため詳述しないが、事件が解決してなお、いや、解決したからこそ引き起こされる事態にひどく意表をつかれた。しかし、和真と美令の物語の果てに、観客へ手渡される感情は、謎解きの快感をとうに超えて、深く私の魂を揺さぶるのだ。

そして、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴がソロで書き下ろした主題歌「灰色」が寄り添う。人の心のままならなさと愛おしさを包みこむ歌詞とメロディーが劇場に響く。映画が終わっても、いつまでも消えない余韻が、観る者の心を何度でも温めるだろう。







