「静かな世界の中にある、シュールな自然の摂理が奥ゆかしくもありますね」きれっぱしの愛 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
静かな世界の中にある、シュールな自然の摂理が奥ゆかしくもありますね
2026.7.7 字幕 アップリンク京都
2025年のアイスランド&ノルウェー&スウェーデン&フランス合作の映画
アイスランドに住むある家族の半年を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本はフリーヌル・パルマソン
原題は『Ástin Sem Eftir Er』、英題は『The Love That Remains』で、ともに「残された愛」という意味
物語の舞台は、アイスランド南東にあるとある村
3児の子どもを抱えながら、弟のアグスト(Kristinn Guðmundsson)とともに芸術作品の最終調整に入っていたアンナ(サーガ・ガルザルドッテイル)は、いまだに自身の作品が評価されないことに苛立ちを覚えていた
夫マグヌス(スヴェッリル・グドゥナソン)とは別れたものの、彼は漁から戻ると、彼女たちに会いにきていた
彼は復縁したいと考えていたが、アンナにその気はなく、彼のアプローチをことごとく拒絶していたのである
映画は、この一家の約半年間ぐらいを描いていて、季節的には冬になる前から、春になるぐらいまでの移り変わりを描いていた
春になるとイダが学校に通うという話があったので、おそらくは冬休みの期間の話だったのかもしれない
馬を買い与えないとイダが都会に行きたがるかもしれないという話も出ていたので、小学校は都会側にあるのだろう
そんな家族の思惑が会話の中に潜んでいるといった日常が描かれていた
劇中の後半では、半魚人とか、巨大化したニワトリなどが登場するのだが、これらはマグヌス(マギー)が見ている悪夢のように思える
全体的にもマグヌス目線になっていて、スカートの中に天啓を見たり、理不尽な仕打ちで海に漂ったりしていた
原題は直訳すると「残された愛」というもので、これもマグヌス目線であると思われる
アンナ側には夫への愛が見受けられず、マグヌスの方が復縁したいを考えている
今では「週末パパ」といった感じになっているが、夫婦は別れたけど、家族はそのままという不思議な関係性がそこにあったと言えるのだろう
いずれにせよ、ほとんど動きのない映画で、唯一の事件はグリムール(グリムール・フリンソン)が矢で怪我をするシーンだろうか
また機雷がいきなり爆発したり、画商マルティン(Andres Mossling)の乗ったセスナがバードストライクで墜落したりという場面はあったりするが、シュールな皮肉のように描かれている
自然の中で生きている彼らは、むやみやたらと殺生をすることはなく、必要最低限のことをしているのだが、ニワトリと遊んでいる子どもの横でチキンのグリル焼きをしていたりするので、綺麗事を描かないところも良いと思う
アンナが作っていた芸術はさっぱりわからなかったが、鉄板の錆で模様を描くという作品に需要があるようには思えなかったので、これからもこの路線は苦労するんだろうなあ、と思った
