左利きの少女

劇場公開日:2026年8月14日

解説・あらすじ

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」などショーン・ベイカー監督作のプロデュースやベイカー監督との共同監督作「テイクアウト」で知られるツォウ・シーチンの単独監督デビュー作。ツォウ監督の故郷・台湾を舞台に、厳しい現実と向き合う母娘とその祖父の多世代家族が織りなす物語を、幼い少女の視点からエネルギッシュかつ繊細に描き出す。

台北、夜市の麺屋台。5歳の少女イージンは、借金を背負ったシングルマザーのシューフェンとハイティーンの姉イーアンと共に、生活を立て直すため田舎町から戻ってくる。イージンは昔気質の祖父に、利き手である左手を「悪魔の手」と咎められ、罪悪感を抱くようになる。その悪魔の手は図らずも、家族それぞれが胸に秘めてきた罪をあぶり出していく。

台北に実在する「通化街夜市(臨江街夜市)」でロケを敢行。iPhoneを駆使して街の奥へと自在に入り込み、そこに生きる人々の日常を映し出す。ツォウ・シーチンとショーン・ベイカーが共同で脚本を手がけ、ベイカーが編集・製作も担当。台湾の人気子役ニーナ・イエがイージン、本作で初の本格的な演技に挑むマー・シーユエンが姉イーアン、ドラマ「暴走外科医がやってきた」のジャネル・ツァイが母シューフェンを演じた。2025年・第26回東京フィルメックスのコンペティション部門で観客賞を受賞。

2025年製作/108分/G/台湾・フランス・アメリカ・イギリス合作
原題または英題:左撇子女孩 Left-Handed Girl
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
劇場公開日:2026年8月14日

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©2025 LEFT-HANDED GIRL FILM PRODUCTION COMPANY LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

映画レビュー

5.0 街とそこに生きる人の生活が撮れている

2026年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

これは本当に素晴らしい作品だった。街の喧噪、そこに生きる人の息遣いのリアルがすごく画面から伝わってくる。彼女たちの生活のあり方が見事に活写されていて、この街に生きる人々に会いに行きたくなる。
シングルマザーで2人の“娘”を持つ母親が台北の夜市で屋台オープン。小さい5歳の娘は夜市を自分の庭のように自由に歩き回り、人々にかわいがられている。一方の姉の方はバイト先の店長と不倫関係にあるなど、複雑な問題を抱えている。
左手は悪魔の手だと祖父に言われると、小さい娘はその悪魔の手を用いて、家族を救うためにとある悪さをしていく。台湾の昔の言い伝えを信じる昔の世代と今の世代の衝突と軋轢、悪魔の手が起こした騒動から、家族の秘密が浮かび上がっていく。
こういう街が撮れている作品に弱い。エネルギッシュで猥雑な夜市のふところの深さと厳しさも、どちらも描かれている。こういう風に街を撮る作品が東京から生まれてくるといいのにな(強いて言うと「あの子は貴族」は撮れていた)。

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共感した! 1件)
杉本穂高

4.0 米映画界を知る台湾人女性監督ならではの現代性

2026年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

本作で単独監督デビューを果たしたツォウ・シーチンは台北で生まれ育ち、メディア研究の修士課程のため渡米し在籍したNYのニュースクール大学でショーン・ベイカーに出会い、2004年にベイカーとの共同監督作「テイクアウト」を発表。以降20年以上にわたりプロデューサーや衣装デザイナーとしてベイカー監督作に関わっており、台北の夜市を舞台にした2025年の台湾・仏・米・英合作「左利きの少女」でも、共同脚本・製作・編集でベイカーの協力を得ている。

ホウ・シャオシェン(侯孝賢)やエドワード・ヤンら巨匠が手がけた、子供の視点から大人の関係や社会を描く比較的穏やかで滋味深い台湾映画に慣れ親しんだ観客にとって、この「左利きの少女」は少し異質に感じられるかもしれない。実質的なタイトルロールである5歳の少女イージンは、利き手の左手を「悪魔の手」と祖父からののしられ、その左手で“悪さ”を重ねていく。母シューフェンは借金苦の元凶である元夫のためさらに大金を使ってしまう。シューフェンの娘イーアンはビンロウ売りの店で露出度高めの服で働き、投げやりな態度で店長と性的な関係を続けている。祖母は不法移民ビジネスに加担している。そんな具合に、主要登場人物みなそれぞれに不正に関わっていたり性格や言動に難があったりで、共感しづらいキャラクターばかりなのだ。イージンの場合は祖父の暴言が原因なので少々気の毒ではあるが……。

終盤の修羅場のようなシークエンスを経てからの家族の再生に救われる思いはするものの、そこに至るまでの社会の底辺でもがくか、あるいは半ば諦めたように生きる人々の描写は、観ていて相当つらいものがある。グローバルに進行する格差社会の問題をシビアに見つめる、ツォウ・シーチン監督が培った現代性なのだろう。

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共感した! 6件)
高森郁哉

4.5 なかなかのカオスが待っていた!

2026年9月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

シングルマザーの経済状況が厳しいのは世界共通のようだ。だからこそいろんな国で映画になる。本作は、現在の台湾のシングルマザーの状況を知ることができる映画だった。
台北に引っ越してきた母娘3人。母は夜市で麺料理を出す屋台を、上の娘は怪しげなバイトを始める。父親がいないことはわかるが、その詳細や他の状況については話の展開から徐々に明らかにしていく演出。
下の娘の左利きを矯正しようとする祖父や、長男のことを寵愛し優遇する祖母なんかの描写(後々登場する夫婦も似た印象を持つ)は、台湾社会がまだまだ古くて男系社会であることが伝わってくる。
左手は悪魔の手だと言われた末娘が、次々と左手で悪事を働くのは本作の大事な流れだ。そうか、旧世代との確執みたいなものがテーマなのかなんて思っていた。ところが最後のパーティーでいろんな出来事が一気に進んでカオス状態になった。なんだこれ!?あぁ、なるほど。やはり家父長制というか男系社会というか、女性を虐げるいろんなものに声を上げた映画なんだなと自分なりに理解した。それぞれ個人の行動や判断はどうなのよ?と思うところあるが、大事なのはそういう行動・判断をすることになった背景。
そして何も解決していないようでいて、明るい未来が弱々しくほんのりと照らされた終わり方だったのが嬉しかった。

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共感した! 0件)
kenshuchu

4.0 ラストの誕生日パーティー

2026年9月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

まさに地獄絵図、けどそれが最高に楽しい。

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共感した! 1件)
だっちょ