劇場公開日 2025年11月14日

「2000年のデンマークで大ヒットした異色作」ブレイカウェイ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 2000年のデンマークで大ヒットした異色作

2025年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

今やデンマークを代表する監督の一人となったアナス・トーマス・イェンセンの初長編監督作。表向きは4人の腐れ縁の中年男が織りなすクライムコメディだが、その実態はどのジャンルにも属せず、型にはめようとすればするほど手にひらからするりと逃げていく。まさに異質。不思議な感触に包まれた人生の再出発ドラマだ。中身にはデンマーク人にしかわからない小ネタや言葉の言い回し、個性的なキャラクター設定、そして原題「点滅する灯」の由来でもあるトーヴェ・ディトレウセンの有名詩のエッセンスが盛りだくさん。かつて各々の事情から家族という共同体を拒絶した主人公らが、いま最良の仲間たちと波乱づくめではあるが「我が家」と呼べる場所をようやく見つけ、築き上げようとする姿がおかしくて、愛おしい。ハリウッドやヨーロッパ映画からも解き放たれ、当時一世を風靡していたトリアー作品とも違う、独自の詩情と斬新かつ突飛な語り口を堪能できる一作。

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牛津厚信