「救いがなさすぎる…」ドミニク 孤高の反逆者 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
救いがなさすぎる…
■ 作品情報
監督・脚本: マイケル・S・オヘダ。主要キャスト: オクサナ・オルラン(ドミニク役)、モーリス・コンプト(サンティアゴ警察署長役)、ホセ・コネホ・マルティン(チャゴ役)ほか。製作国: アメリカ、コロンビア。
■ ストーリー
飛行機墜落事故で南米コロンビアの無法地帯に流れ着いた、ウクライナ人女性ドミニクは、腐敗した警察と麻薬カルテルが支配する町で、警官フリオとその家族と出会う。フリオはドミニクに安らぎを与え、彼女は一時的に平穏な日々を送る。しかし、フリオが町の腐敗を暴こうとしたため、悪徳警官と麻薬組織によって惨殺されてしまう。残されたフリオの妊婦の姉と子どもたちは危機に瀕し、ドミニクは彼女らを守るために自ら封印していた戦闘スキルを発動させる決意をする。彼女は、望まぬ形で再び暴力の世界に足を踏み入れ、たった一人で警察とカルテルとの壮絶な戦いに身を投じていく。物語は、彼女の過去と向き合いながら、守るべき者のために戦うドミニクの姿を描く。
■ 感想
予告に惹かれ、公開初日に足を運びました。主演のオクサナ・オルランは知らない女優さんですが、体当たりの演技とアクションに冒頭から最後まで圧倒されっぱなしです。彼女の精悍な佇まいは、まさに女戦士と呼ぶにふさわしいものです。
主人公ドミニクは、旅の目的も過去も一切が不明。しかし、その戦闘スキルだけは群を抜いています。ひたすら彼女の行動を追う本作のストーリーは極めてシンプルで、孤独な彼女が受けたささやかな優しさに報いるべく、善良な一家を悪党から守るという展開です。南米が舞台とあって、かなり残酷でグロテスクなシーンも少なくないですが、かの地なら実際にあるかもしれないと思わされ、憎悪と恐怖が倍増です。
ただ、ドミニクの活躍自体は見事なのですが、鑑賞後に残るのは爽快感よりもむしろ虚無感に近いものです。それは、彼女の行動が報われることがほとんどないからかもしれません。最終的に、絶望を味わったドミニクが怒りを爆発させ、敵陣に殴り込む流れを作るという意図はわかります。しかし、それならラストにド派手なバトルを用意してほしかったのですが、そこをバッサリと省略して結果だけを示すという幕引き。斬新ではありますが、やはりもの足りなかったです。
そのため、冒頭から伏線として示されていた厳重な箱の中身も(期待していたほど意外性はなかったですが)、その見せ場がなかったことに拍子抜けです。こんなことなら、一家全滅にする必要はなく、ドミニクの奮闘がいくらかは報われたと感じさせてほしかったです。
多少の不満点はあるものの、全体として「悪くない」という印象の作品です。バイオレンスアクションが嫌いでないなら、わりと楽しめるのではないでしょうか。
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