「補完する意義と、物足りなさと、死を意識することについて」Ryuichi Sakamoto: Diaries 高森郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
補完する意義と、物足りなさと、死を意識することについて
本作については当サイトの新作評論枠に寄稿したので、ここでは補足的な事柄をいくつか書いてみたい。
評では「死去する半年前の2022年9月にNHKのスタジオで演奏した20曲を収めたコンサート映画「Ryuichi Sakamoto | Opus」とは、互いに補完しあう内容とも言える。」と書いた。実際、「Opus」から「The Sheltering Sky」の演奏シーンが丸ごと引用され、その舞台裏も映像で紹介するなど、「Opus」のメイキング映像のようなシークエンスも含まれる。
なので、もともと坂本龍一の楽曲をよく知るファンと、「Opus」や他の坂本龍一の演奏シーンを多く含むドキュメンタリーをすでに観ている人なら、一人の人間として生と死に向き合う彼の姿を感慨深く鑑賞できるはず。だが一方で、乏しい予備知識でいきなりこの「Diaries」を観ると物足りなさを感じたとしても無理はない。まあ、本作鑑賞をきっかけに坂本の音楽に興味を持ち、過去の楽曲群を聴いてみたり、彼がテーマ曲や劇伴で参加した映画を観たりする流れもあり得るだろう。
坂本の闘病する日々を目にしながら、余命を宣告され迫りつつある死を意識しつつ残りの時間を生きられたことは、ある意味幸運だったようにも思う。死に向けた準備をほとんどできないまま、最期を迎える人だって大勢いるのだ。自分がもしそうなら、薄れる意識のなかであれをやっておけば、これをやっておけばと後悔することがたくさんありそう。いや、そうしないためにも、本作のような作品を機に、すべてについて一期一会の心構えで生きればいいのかもしれないが。
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