天国と地獄 Highest 2 Lowest

配信開始日:2025年9月5日

解説・あらすじ

2度のアカデミー賞を受賞した名優デンゼル・ワシントンと、スパイク・リー監督が5度目のタッグを組み、黒澤明監督の名作「天国と地獄」を再解釈して描く心理サスペンス。

「業界一の耳を持つ」と広く知られる音楽プロデューサーのキングは、夢と欲望が渦巻く街ニューヨークで、大きな成功を収めた数少ない人物だ。彼は全財産を投じ、今まさにレコード会社の買収を進めようとしていた。そんなキングのもとに、息子を誘拐したという犯人から一本の電話が入る。犯人は、1750万ドル(約26億円)という巨額の身代金を要求。思わぬ究極の選択を突きつけられたキングの人生は、大きく揺らいでいく。

共演は「アメリカン・フィクション」「THE BATMAN ザ・バットマン」のジェフリー・ライト、ドラマ「ゴッドファーザー・オブ・ハーレム」のイルフェネシュ・ハデラに加え、本作の音楽も担当したエイサップ・ロッキーやアイス・スパイスら、新進気鋭のラッパーたちも出演。Apple TVで2025年9月5日から配信。

2025年製作/133分/アメリカ
原題または英題:Highest 2 Lowest
配信:Apple TV
配信開始日:2025年9月5日

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画像・映像提供 Apple

映画レビュー

4.0 ドゥ・ザ・ライト・シング

2026年5月1日
iPhoneアプリから投稿

スパイク・リーが黒澤明の『天国と地獄』を下敷きにしつつ、
自身の作家性を強く刻み込んだ〈再解釈〉の作品である。

価値観と社会構造の重心を大胆に組み替えた点に、本作の本質がある、
価値観、倫理観でいうと原作小説にリー版の方が近い。

黒澤版における主人公は、一代で靴会社を築き上げた叩き上げの実業家であり、〈カネ〉と〈倫理〉の対立が物語の核を成していた。

一方、本作では主人公は音楽会社を魂とソウルで育て上げた人物へと置き換えられる。

この変更は一見大きな違いはなさそうだが、
単なる職業設定の違いだけではなく、

「文化資本」と「アイデンティティ」の問題へと主題を拡張する役割を担っている事に気づく構造になっている。

本作のサスペンスの成立条件は、
〈犯人・主人公・運転手の子ども〉という三者の立場が、
常に入れ替わりうる不安定さをどこまで観客に意識させられるかにかかっている。

ここが機能するか否かで、序盤の緊張感は決定的に変わる。

この構造をより明確にするために、
あえて感情の按分を数値化してみると、

本作は〈犯人0、主人公100、社会0〉に近いバランスで進行していると言える(あくまでも序盤は)。

つまり観客は、主人公の葛藤とメインプロットに強く引き寄せられる設計になっている。

その中で、身代金を支払うかどうかという倫理的選択、

SNSによって可視化・増幅される世間の視線、
そして家族関係の歪みといった要素が重ねられていく。

これに対して黒澤版は、〈犯人20、主人公50、社会30〉という構造を持ち、

観客は個人の犯罪だけでなく、それを生み出した社会構造へと視線を広げる余地を与えられていた。

本作ではこの〈社会〉の比重が、よりノイズ的に、しかし濃密に0から∞に織り込まれている。

そのノイズこそが、スパイク・リーの作家性である。

モハメド・アリとジョージ・フォアマン、
アレサ・フランクリンとジミ・ヘンドリックス、
ジェームス・ブラウンとスティーヴィー・ワンダーといった文化的メンション、

さらには黒人と白人という人種的緊張関係、
これらが明確な説明なしに挿入され、

物語に〈ノイズ〉を与える。

この手法は『ドゥ・ザ・ライト・シング』以来一貫しており、リーにとってはノイズではなく現実そのものである。

本作の評価は、この〈ノイズ〉をどう捉えるかに大きく依存する。

古典の再解釈と作家性の衝突をあえて解消せず、
その緊張関係そのものを提示する作品であるとも言えるだろう。

整合性よりも多層性を選び取ったこのアプローチは万人向けではないが、
スパイク・リーのフィルモグラフィーとして捉えるならば、
極めて野心的かつ批評的強度の高い一本でもあると言えなくもないだろう。

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蛇足軒妖瀬布

2.0 期待外れでした

2026年3月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:その他

誘拐をテーマにしてますが、緊張感無くとても残念な映画でした。
人間の葛藤ドラマでした。がしかし、意味わからないところ多々あり。
まず、誘拐されてすぐ警察に相談。あきらかに尾行があるのがわかっての犯行。犯人の電話連絡もボイスチェンジャーなるものを,一切使わず生声で会話。電車の中でのかくれんぼは、明らかに見つかってないのに犯人が、自分から見つかりにいく始末。
もう少しどうにかならんかったかしら。

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ケビタン

未評価 【クライム映画ではなく音楽映画】

2025年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

A24作品として、本作は“クライム映画”として観ると理解しづらい。
むしろ「音楽映画」として受け止めたほうがしっくりくる一本だ。
扱っている題材自体は、よくある誘拐もの。
しかし、物語の随所に流れる音楽が強く主張し、クライム要素の緊張感を削いでしまう。
そのため、犯罪劇としての面白さは正直あまり感じられなかった。
一方で、劇中の音楽やその背景を理解できる人にとっては、まったく違う評価になるのだろう。
音楽を楽しめるかどうかで、好みがはっきり分かれる映画だと思う。
結果として、音楽映画なのかクライム映画なのか、どっちつかずに感じてしまった。
加えて、デンゼル・ワシントンが銃を手にアクションをする以上、どうしても“無双”を期待してしまう。
その期待を裏切られる点も、好みが分かれる要因かもしれない。

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abu

3.0 いろんな意味でチグハグ

2025年11月18日
PCから投稿

スパイク・リー、どうしちゃったんだよぉ。
デンゼル・ワシントン主演で黒澤の名作「天国と地獄」のリメイクという、
どうしたって下手には転ばんでしょってな状況でこの出来栄えとは。
まずもってオリジナルが持つ格差社会のテーマが
なんと音楽産業の話にすり替えられてる時点で
もうそれ天国と地獄のリメイクでなくて良くない?
しかも既存のR&B曲以外の劇伴がどれも合ってない。
いや、悲しい時は悲しいメロディ、
車が動くと勇ましいメロディとあまりに陳腐な取り合わせ。
黒澤と言えば対位法じゃないの。
そして、デンゼルを主演(しかも音楽レーベルの社長)にしたことで、
「どうしてもデンゼル劇場にしなければならない」何かが発動。
全くつまらないわけではないけど、これは天国と地獄のリメイクではない。

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galarina