ジュンについて

劇場公開日:2025年12月19日

ジュンについて

解説・あらすじ

東京・吉祥寺にあるひとり出版社「夏葉社」の島田潤一郎を追ったドキュメンタリー。

2009年に島田潤一郎が創業した夏葉社は、「何度も、読み返される本を。」を掲げ、昭和の隠れた名著の復刊や書店主のエッセイなど、文芸書を中心に年3冊ほど刊行している。夏葉社では、編集や経理、発送作業まで、島田がすべて1人でおこなっている。出版の編集経験がないまま起業した彼は、15年間この仕事を続けてきた。

27歳まで作家を目指していたものの挫折した島田は、意を決して就職するも思うようにいかず、生きづらい青春期を過ごした。やがて、故郷・高知の従兄の死をきっかけに彼の人生は動き出す。悩みのなかで読んだ1編の詩に励まされ、その詩を自分で出版し従兄の両親に贈ろうと考えたのだ。そして完成した「さよならのあとで」は、夏葉社を代表する本となった。かつて本に救われた島田は、本と本屋、そこに集う人たちに恩返しをしたいと考えている。そんな島田の姿を580日にわたり記録し、本とともにある日常を映し出す。

「子どもたちの夏 チェルノブイリと福島」の田野隆太郎監督が製作から配給までを1人で手がけ、俳優の宇野祥平が朗読を担当。

2024年製作/127分/日本
劇場公開日:2025年12月19日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
田野隆太郎
プロデュース
田野隆太郎
撮影
田野隆太郎
編集
田野隆太郎
朗読
宇野祥平
音楽
mangneng
エンディング曲
池間由布子
MIX
森山貴之
DCP
長崎隼人
題字
菅原潤子
機材協力
宇賀神雅裕
宣伝デザイン
横須賀拓
宣伝イラスト
長田結花
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映画レビュー

4.5 一つの思いで、一人の出版社を作った島田さん

2026年8月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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たずー

4.5 人生はままならないもの

2026年5月18日
iPhoneアプリから投稿

鑑賞して感じたこと、大切だな〜と思ったことをランダムに。

2009年創業以来、一冊の本を企画から執筆依頼(ときに取材や執筆)、編集、校正、装丁デザイン、営業、経理、梱包発送、返本処理に至るまで全て自らが行う“ひとり出版社”を営む島田潤一郎さん。

本屋は、何かに悩んだり苦しんだりする人が来るところ、との考えを持つ島田さんは、そんな“誰か”を読者に想定した、“手紙”のような本作りを続ける。

日本大学商学部の会計科(だったかな?)在学中に小説コンクールで一等賞をとり、作家を目指し、27才まで無職でいたが挫折。就職するもうまくいかず、2度目の転職を考えていた時、衝撃的な事件が起こる。

──ひとりっ子の島田さんには、子どもの頃、きょうだいのように仲良く遊んだ従兄弟がいた。その従兄弟が、自殺したのだ。島田さんにとってはあまりにも突然の出来事だった。

それを機に、島田さんの意識が変わった。

それまでは、自分の人生を良くすることばかりに囚われていたが、従兄弟を亡くした叔父叔母のために、自分にできることはないかと考え始める。そんな中で出会った詩を、本にして贈ることで、叔父叔母の心が少しでも癒されるのでは、、そんな風にして出来上がった本が「さよならのあとで」。出版の編集経験もないままに立ち上げた、夏葉社の原点だ。

自分のためではなく、人のために生きる道があることを知り、そこに生きる意味を見出し始めた島田さん。

若い頃、いつも大体のことは、うまくいかなかった。お酒を飲まないという島田さん。弱った時は、駆け込み寺のようにブックオフに行った。そこでいい本に出会えたら救われるのだが、だいたいはなかなか見つからない。
人生はままならないものだと痛感しながら生きてこられた印象。

自分のことを考えるといやになるが、読書の世界に浸ったり、人のために何かしていると、自分のことを考えなくて済む。ネガティブマインドの島田さんが編み出した処世術とも言うべきか。。
その“自分のこと”とは何かというと、大学卒業後、小説家になろうとしたがうまくいかなかったこと、多感な20代をただ本を買って読むことに費やしてしまったこと、なにをやってもパッとしないことや、見た目のことや、、、と語るあたり、正直なひとだなぁと感じた。

若い頃にいろんな人と交流しなかった分、読書によって入ってくる情報は貴重だったし、それが自分のベースとなった。その頃の暮らしがあったからこそ今の自分があると、ポジティブに捉えられるようにもなった。

読書によって、著者が紡ぐ言葉を自分の中に取り入れる。人は、言葉によって物事を考えるので、新しい言葉を得ることで、考え方も更新、刷新されていく。確かに。
ボキャブラリーを増やすことには、そんなメリットがある。
読書の価値は、そんなところにもあるんだなぁ。

年をとるごとに考え方も固まり意固地になりがちだが、読書により新しい視点や価値観を取り入れることによって、自分とは違う考え方があることを知れて発想も柔軟になれる、そうありたい、との言葉に、真面目で誠実な人なんだなーと、感じた。

島田さんは何かを語る時、「よくわかんないけど…」とよく言う。自分の知識や考え方、価値観は絶対ではない、との感覚があるからなのかも。それも“誠実”の証。

お母さんもインタビューに「あの子は、お金をせびってきたこともなく、自分でアルバイトして稼いで生活してたし、真面目な子だから、私も夫も心配はしてなかった。夏葉社を立ち上げると聞いた時も、やればいいんじゃない?という感じでしたよ」みたいに答えてた。親にも信頼されてたんだな〜。子どもを信頼して見守ることも大事だな〜。

印象的だったのが、もう作りたい本は作り切ったから、これ以上、作りたくないし、本を書きたいとも思わない。
夏葉社としては、これまでに作ってきた本を、大切に、これからも長く読んでもらいたい。というような言葉。
実際、人気の本は何度も版を重ねている。

今後は、自分が実感してきた、本のメリット。。本が人生に与えてくれるもの、文章にすることの大切さなどを、若者に(だったかな?)伝える活動をしていきたい。
というような言葉。
本と本屋と、そこに集う人々への恩返しがしたいのだと。
文章教室を開いたりもしている。

次のステージに移られた印象。

子供が二人いて、長男さんは、勉強も運動も嫌い。でも、本を読むのが大好きで、島田さんの蔵書にも興味を持っている。

本によって救われてきた島田さんの息子さんもまた、本によって活かされている。

引きこもりの人も含め、頑張ってもできない人もいる。そんな人も普通に活かされる社会であってほしい、と、島田さんは願っている。

それはきっと、なにものにもなれなかった過去の自分へのエールであるとともに、従兄弟や息子への想いが結実したものでもあるのでは。

島田さんのような大人がいるのだということを伝えることが、若者たちにとってのひとつの希望の燈になる。

この映画、若者たちにも観てほしいなぁ。

「さよならのあとで」は、ぜひ読んでみたい。

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ひげしっぽ

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