「台湾映画の新たな原石。監督が有能すぎる。」ひとつの机、ふたつの制服 minavoさんの映画レビュー(感想・評価)
台湾映画の新たな原石。監督が有能すぎる。
はい、傑作きました。
でも⭐️4.5。理由は後述にて。
最近、韓国映画、日本映画のリメイク版になる青春ドラマ量産中の台湾映画。新たな原石の予感。監督が有能すぎる。
90年代後半の台湾の受験、進路がテーマ。
有名校には学力が届かなかったメガネっ子が、同校の夜間部に入る。教室が全日制と共同だから、昼と夜は違う生徒が同じ机を使う。このことで、交流が始まるという話。
メガネっ子は、母子家庭で貧乏。昼の生徒、ビンビンは成績優秀でキラキラ女子。仲良くなって、ビンビン側の世界に引きづり込まれる。当然、夜間部なんて言えなくて、背伸びするためにどんどん嘘で自分を隠すことになる。
中学浪人、20歳の高校生。普通の人にはなじみがない設定も時代背景を1990年代に置くことで受け入れさせる。
スマホがない世界だよと示したこと。これにより、文通とか手紙というツールの重要度が高まってる。(先週みたシャケの娘が主演の邦画がグダったのこういうところ詰めきれてないからだよ。)
ちなみにボクの通ってた高校には中学浪人も20歳の同級生も実在してました。あと、高校受験の発表も新聞でしたね。日本の地方都市で台湾じゃないですけど。
最初は嘘まみれであんまりかなと思ってたメガネっ子が、だんだん人としてかわいく、不憫に思えてくる。もう、親目線なのかもしれないなと思ってる頃にしっかり家族との向き合い方も描く。
映画が好きな方ならギュっと心を掴まれる仕掛けもあるので楽しんでいただけると思う。
天才を感じる傑作ですが、唯一終盤のシーンで別の描き方の方がよかったんじゃないかなと思わせるところあり。リメイクの際にどう料理されるか、ちょっとだけ楽しみを見つけた気分で席を立ちました。
単なる青春映画ではない、色んな視点が詰め込まれていましたね
それも、どれも無理がなくて、終盤までグイグイ引き込まれました
すごい悪人もいないし、100%善人もいない、そんなところもとても現実的
腑に落ちなかった点って、どこらへんでしょうか??

