劇場公開日 2025年7月11日

「ロケ地と脚本の良いとこ出まくってる」三谷幸喜「おい、太宰」劇場版 作務衣もんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 ロケ地と脚本の良いとこ出まくってる

2025年7月14日
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忘れた頃にやってくる三谷監督の全編ワンカットもの

ほぼ二人芝居の『Short Cut』
大人数の『大空港2013』
続く今作は中間の五人芝居だ

舞台は鎌倉の海。偶然そこを訪れた小室夫妻
太宰が心中事件を起こした場所であることを知った小室が辺りを散策していると、なんとも雰囲気のあるトンネルを見つける
トンネルを抜けると過去の世界。そこには事件を起こす前の太宰と恋人がいた・・・

これから全編ワンカットだとは思えない空撮の画スタートなのはなかなかのインパクト

トンネルを抜けると時代が変わるという設定、そしてロケ地も素晴らしい。トンネルを通るたび一呼吸置けるので、過去作に比べて演劇の良いところが出て冗長さが軽減されているように感じた

物語は入水したい太宰と止めたい主人公のあれこれ。そこに梶原善が一人三役で演じる打雷(ダライ)という男が笑いを添えるというゆる~い感じだ

昔は『エルミタージュ幻想』という芸術過ぎる作品くらいしかなかった全編ワンカットものもちょこちょこ増えてきている
それでもコメディで挑戦し続けてくれる三谷組は貴重な存在じゃなかろうか

作務衣もん