原爆スパイのレビュー・感想・評価
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核の恐怖、独占は許すまじ・・
マンハッタン計画の若手天才科学者テッド・ホールが、機密扱いの核兵器情報をロシアに漏洩したという、本人も認めたスパイ行為の動機などに迫るドキュメンタリー、死直前の本人へのインタビューもあるが多くは妻や娘。俳優による再現映像は必要だったのかしら。
テッドの他にもクラウス・フックス:ドイツ出身でイギリスから派遣された理論物理学者。爆縮レンズの設計など原爆開発の核心的データをソ連に渡し、のちに逮捕やローゼンバーグ夫妻:アメリカ国内でソ連のスパイ網を支え、マンハッタン計画の情報をソ連へ中継したとして死刑。それなのになぜテッドは逮捕されなかったのかな・・。アメリカの国家安全保障局(NSA)の前身組織は、ソ連の外交・スパイ暗号を解読する極秘の「ベノナ計画」を進めていました。米政府はこの計画によってテッド(暗号名「Mlad」)がスパイであることを突き止めましたが、もし彼を裁判で起訴すれば、「アメリカがソ連の暗号を解読できている」という事実が公の法廷で露呈してしまいます。ソ連に暗号の破れを知られてコードを変更されるリスクを避けるため、米政府はテッドの逮捕を見送る決断をしました。
敵国に成りうるソ連に原爆製造の秘密を漏らすなんて言語道断に思えるが本人曰く米国が核兵器を独占することによる均衡の崩壊・危険性を懸念、動機は「思いやり」、人類全体の破滅を避けるための「良心と人類愛」に基づいた決断であったと彼は後年に明かしていましたね。
死の直前1999年8月22日に放送されたNHKスペシャル「世紀を超えて 『戦争 果てしない恐怖』 第3集 核兵器 機密映像は語る」で放送されたインタビューでは改めてスパイ行為の告白を行い、「スパイ活動をすることは自分一人で決めた」、と語った。「ロスアラモスで、原爆の破壊力を知って自問した。アメリカが原爆を独占したら一体どうなるのか。私には信念があった。核戦争の恐怖を各国の指導者が共有すれば、彼らは正気を保ち、平和が訪れると思ったのだ」。
彼の言うようにもし米国が唯一の核保有国だったら歴史はどうなっていたでしょうかね・・。
見応えのある良質なドキュメンタリー
良心を持った科学者の話。
それだけで見る価値のある映画だった。
映画の中で「第二次世界大戦の終盤、日本は降伏する機会を探っていた。その日本に原爆を落とす理由などなかった」と語られていた。
そのエピソードを聞くと本当に胸が痛くなる。死ななくて良かった何万人もの日本人のことを思うと理不尽過ぎて言葉を失う。
オッペンの事実補完。
オッペンハイマーを観た人にはピンとくる、アメリカにも力に依る抑止に疑問を持つ人が居たという事実をインタビューと再現映像で丁寧に追っていく。
オッピーの部下であった当の本人、ご夫妻がどんな動機でこの事実を公にしたのかは良くわからなかったが残りの時間、世の中の流れって事なのかな、原爆肯定派のアメリカでこれを開示するのは勇気がいる事であろう、事実別な御夫妻は死刑になっているし。
自分も客観的にこの行為をどう判断するかはかなり迷ったよ、明らかな情報漏洩だしね。
しかし科学者として、人間として、地球規模の平和を願うと彼らの判断が崇高な物にも思える。
当時日本はすでに降伏の形を模索、打診していたにも関わらず最新兵器の実験と、共産主義ソビエト牽制のためトルーマンにより実行された件はアメリカ側からの話は重い。明らかな大量虐殺、、まあそんなもんだよ戦争は、、にんげんだもの。
軍部の判断が「必要無し」だったと改めて知ったのも感慨深い。
当時のアメリカという国の運営として戦後とさらに先を見通して、核兵器使用は間違ってなかったとも思うが民間人を大量に犠牲にするやり方はやはり野蛮すぎるパフォーマンスである。
核兵器開発に係わる情報をソ連に流した男
私はこの事件のことを知らなかった
「原爆スパイ」って良い邦題だなーって思います。
タイトルを見ただけでワクワク。昔は、こういうベタだけど妙にピッタリする邦題が多かったのにね。
という期待に反して、それほど面白いとは思えない映画でした。
私は、この事件のことを知らなかったけれど、アメリカでは、かなりセンセーショナルに報道されたみたいですね。
映画を製作したのは、それから時間が経ってからなので、本人は亡くなっているし、家族もかなり冷静になっていて、切迫感は良い意味で感じなかったです。
だから衝撃的な事実ではあるのだけれど、淡々と描かれている感じで、途中で飽きてきてしまいました。
申し訳ないです。
世界の将来を考える倫理観
第2次世界大戦中の原爆開発•マンハッタン計画に最年少の18歳で採用され、オッペンハイマー博士の下で原子爆弾の研究・開発に携わった天才物理学者セオドア・アルビン・ホールは、アメリカによる原爆の独占を危険視し、開発に関わる国家機密情報をソ連へと流した。ひとりの物理学者の倫理観と大胆な行動が世界をどのように変えたのか。同様のスパイ容疑でローゼンバーグ夫妻が死刑判決を受けた一方で、なぜ彼は裁かれなかったのか。そして彼の妻と娘たちはどのように秘密を共有し、共に生きたのか。丹念な取材と再現映像を交えながら、原爆投下に疑義を唱えたホールとその家族の物語と、核開発をめぐる大国の思惑を描いた作品。
アメリカにもこんな倫理観を持った人が居たのだとなんかホッとした。
もし彼が居なくて、アメリカだけが核兵器を持っていたら、力のバランスは保てず、どこの国もアメリカの言いなりになっていただろう事は容易に想像できる。
しかし、ソ連に機密情報を渡したため、冷戦および核拡散が起きたこともまた事実だと思う。
そして、プーチンの様な旧ソ連の復活を考えてる様な指導者には、核で他国を脅すと言う暴挙に出ている現実も有る。
良い事、悪い事、両方有るな、という感想。
しかし、アメリカ人であるとともに、地球人であるという倫理観を持った人が居た事に驚き、そしてその事を知れた本作にかんしゃです。
本作も、重いけどなるべく多くの人に観てもらいたい良作だと思う。
普通の人の普通じゃない記録
行きつけのミニシアターの戦後80年特集で鑑賞
歴史での評価は立場により大きく分かれるであろう行動をした当事者、その妻と娘へのインタビューが中心
ノーランのオッペンハイマーのようなドラマチックな展開はなく、淡々と普通の家族の思い出話が展開、教訓めいた話もないのは意外だった
20歳前の大学在学中に核開発メンバーの一員となるだけでも全然普通じゃないのだけど、その姿は想像できずとても普通の高齢者たちの話を2時間たっぷりと聞かされ、正直かなり眠かった。
普通の人が国家のパワーバランスを全く考慮せず、個人の思いのみで現在にまで至る核拡散世界のきっかけを作った、というギャップを感じさせるのは成功しているのかもしれない。
え、意外に核開発情報の漏洩に対する監視の目は粗かったんだ、と今になって驚かされる一作
1945年の核開発成功によって、米国は世界で唯一核兵器を保有・使用した国となり、その数年後にはソビエト連邦も核兵器を開発、冷戦期を迎えた世界は長らく核戦争の恐怖に怯えることになります。
ソビエト連邦がかくも迅速に核兵器を開発することができた背景には、米国内におけるスパイ活動や情報漏洩があるとされ、実際本作でも取り上げている「ローゼンバーグ事件」が起きています。
本作が取り上げるセオドア・ホールも、マンハッタン計画に参加した最年少の物理学者であることに加え、ソビエト連邦側に情報を漏洩した当事者の一人です。彼は1999年に死去していますが、その前にインタビューに応じて、自らの意思で核開発に関連する情報をソビエト連邦に流したことを認めました。
なぜ彼は国家機密情報を漏洩させたのか、どんな人生を送ってきたのか。本作は彼の妻、ジョーンの視点で彼の半生を語っていきます。基本的にはホール夫妻の視点で語っていくので、彼がどのような情報を漏洩して、いかなる形でソビエト連邦側の核開発に貢献したのか、そして死刑判決を受けたローゼンバーグ夫妻と異なって、なぜ彼らはその後も自由に生活できたのか、といった核開発におけるスパイ活動の全容を詳らかにしている、という内容とはなっていません。だからこそ、本作の背景や関連する事件などを調べたくなる作品ともなっています。
冷戦期のスパイ活動については、フレデリック・フォーサイスやジョン・ル・カレを始めとした作家・作品が様々な角度で描いているので、本作を観た後で参考資料としてそれらの作品に当たってみるのがおすすめです。
映画界におけるレッド・パージの状況を見聞きすると、当時の米国ではスパイの嫌疑をかけられた人は片っ端から逮捕・追放されていたような印象を受けていたのですが、国家最高機密にあたる情報を漏洩したことに対して、当局側が割と粗い捜査をしていなかったことが、ちょっと意外!
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