ワン・バトル・アフター・アナザーのレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
この手の大作はPROレビュアーや雑誌の評価が軒並み高くなる傾向にあるが、本当にそうか??役者の布陣、スタッフ、これ以上無いくらいに期待は高まった。しかし実際に観てみて、果たしてどうだろう。
確かにショーン・ペンの軍人たる佇まいなど見どころは多々ある。が、多々ある程度にとどまっており、作品全体が諸手を挙げて評価出来るかと言われたら、自分はかなり退屈と感じてしまった。
ディカプリオはもっと振り切ったダメ親父が見れると思ったら意外とライトだったし、キャラクターも中途半端でつかみにくい。怪演しそうでしないあっさり味のベネチオ・デル・トロも肩透かし。空手は何のための設定?
あっと言う間の3時間?とはならず、謎にしつこいカーチェイスの走行シーンなど、いやいや必要?って思う箇所多数。スカッとするカタルシスも特に無く、「まあそうだろうな」と想像のつくラスト。
タランティーノのように苦にならない日常描写という訳でもない、意図の掴めないシーンが多数あった。これは自分の理解が及んでないのかも知れないが、とにかく退屈なシーンが多かった印象。何度も見れば分かるもかも知れないが、もう一度観たい気力が沸かない。
Dirty Work
めちゃくちゃ良いレビューが飛んできていたので、そりゃあ期待しちゃうでしょう!という事で鑑賞。
あらら〜?って感じですごいグサグサ刺さるタイプの作品では無かったです。
もちろん面白い部分だったり、映像への没入感なんかはとても良かったんですが、苦手だな〜というのが序盤から終盤までずっとあってモヤっていました。
極右極左をテーマの軸に置きながらシリアスな雰囲気を纏ってはいるんですが、作品自体はコメディに近い感じで展開されていき、そこが自分の抱いていた作品との印象とかけ離れていてのめり込めなかったなと思いました。
序盤から革命家たちが移民を逃すために施設に襲撃する流れから始まり、ペルフィディアがそこにいた警官のロックジョーを言葉責めにしてしまったがためにMに目覚めてしまい、めっちゃ執着されるという流れは最初は笑えたんですが、フル勃起したあたりからちょっと顔が引き攣ってしまいました。
あと最初からベンとペルフィディアがベロベロチュッチュイチャイチャしまくるパートが多すぎて胃もたれしますし、爆弾仕掛けてんのにイチャイチャし出したのは早よ逃げろよって思ってしまいました。
そこから娘が生まれてから夫婦間で溝ができてしまい、冴えない日々を過ごすボブと、革命に向かいまくるペルフィディアの対比がこれでもかって映されます。
娘も成長した姿で登場し、その際に流れた"Dirty Work"は大好きな洋楽のうちの一曲なのでめちゃめちゃテンション上がりました。
娘との喧嘩もあったり、過保護すぎるボブが映ったりと色々と不穏になっていくのも特徴的でした。
そしてここからロックジョーとボブと娘と様々な視点から物語が展開されていき、群像劇に近いものになっていくんですが、テーマがテーマなだけあってそんなにダラダラする必要性はあるかな?と思ってしまうくらいのんびりやっちゃているのはいただけなかったです。
センセイが登場してお茶目かますあたりは好きなんですが、話がうまいこと通じない組織の人間とのやり取りでブチギレまくるボブの様子が延々流される時間はちょっと苦痛でした。
このテイストが好きな人は好きなんだろうなーとは思いましたが、自分は良さが分からずじまいでした。
待っていたカーチェイスがやっとこさスタートし、センセイとのドタバタがあったり、雑な脱出だったりとこの辺からやっと盛り上がってきたなーってなりました。
終盤のカーチェイスは爽快感重視ではなく、グッと広がった映像で魅せるタイプだったのが新鮮でした。
アップダウンの激しい一本道での追って追われて、先頭、中断、後方と1つの場面で3つの視点が味わえるのも最高でした。
車を坂上に置いてトラップとして後続にぶつけさせるのはお見事すぎて笑っちゃいました。
ロックジョーはとんでもない変態で、もう動き全てが気色悪かったですし、起こす行動も全てきしょいですひ、生命力も強すぎて訳分からんかったです。
ショーン・ベンの熱演も手伝って気持ち悪さに拍車がかかっていましたが、この気持ち悪さが生理的に受け付けなくてロックジョーが出てくる場面はずっと鳥肌が立っていました。
物語的にはそこまで何かを解決したとかではなく、日常の延長線として落ち着いてしまったのであまりスカッとはしなかったなぁという印象です。
個人的にはあんまりでしたが、ハマる人はガッツリハマるタイプだと思いますし、役者陣の演技や映像に関しては素晴らしいと思うのでオスカー最有力候補なんだろうなぁと思いながら劇場を後にしました。
鑑賞日 10/5
鑑賞時間 17:25〜20:20
『イージー・ライダー』以来最高のアメリカ映画
PTAならマンセーなのか
ワンバトルアフターアナザー
勢いだけで突っ走る共感しづらいご都合主義!
今日、池袋のIMAXで観ましたよ!
IMAX版は1日1回なので7割の入り。
さすが全編フルサイズだから顔のアップはど迫力!
ただ、予告編の最中にトラブル発生!
来年5月公開のマンダロリアンのIMAX予告編の途中で何度も全面グリーンの砂嵐になって、恐らく「死霊館」かと思われる予告編の途中でエクソシストっぽい少女が天井から手を出してる怖ーいところで完全にフリーズ!そのまま場内明るくなりトラブルのアナウンスと共に15分遅れて本編スタート!
評判のような大絶賛とまでは自分にはとても思えなかったなぁ!
テンポも良く無駄なシーンもほとんどないから予告編を含めて3時間は別に長くは感じなかったからトイレの心配もなく楽しめたんだけど、勢いで突っ走っただけの印象?(笑)
俳優陣はみんな熱演だからどデカいスクリーンだし見応えはあったけれど、所詮感動、感激するようなお話ではないので観終わって都合の良すぎる展開ばかり思い出しちゃって。
例えば床下の抜け穴から脱出するも10メートル程度這い上がってすぐ自宅の脇の木陰に出たのに抜け穴も見つかってるのに追手が誰もいないなんて???しかもそこから100メートル程度走っただけで住民達が何事もなかったかのような佇まいの公園に出るなんて!あの家は森林の中にあったのではないのか???(笑)
娘を助ける?為に仲間も皆殺しにして自分も死ぬ先住民族のような親父とかとてもまともな尼さんとは思えない丘の上の修道院の皆さんなんて説明も伏線もなくコメディのワンシーンのような扱いにはとても笑えなかったし?(笑)
別にアカデミー賞ものなんて作品ではないわなあ!
スピルバーグが3回も観て感激したとか?
恐らくラスト近くにある砂漠のハイウェイでの追っかけシーンがお好みだったのでは?
あっ、ワーナー作品らしくベニチオ・デル・トロが先生(師範でもないみたい?)をやってる空手道場の部屋の壁に「スーパーマン」の日本版ポスターが貼られているのにはびっくり!デル・トロは日本大好きだからじゃないだろうけど。
デカプリオの熱演以上にショーン・ペンが素晴らしかったね!
たまに見え隠れする日本
IMAXで見た方がいいということで、映画館を選んで見に行きました。フルスクリーンのIMAXは、新宿タイムズスクエアにあった専用館で見た以来ですかね。
おそらく数年前だったら、単純に笑える映画だったんでしょうが、昨今のアメリカで実際に移民に対して起こっていることを知った上で見ると、単純に笑えないところもあります。
最近の映画で、後半につれて、どんでん返しっぽく変化するものの、単にクドいだけのものがありますが、これは変化が楽しいし、思うようにいかない理由が人間の「性」みたいなのだったりするので、すんなり受け入れらえます。
次のシーンの効果音が、画面が切り替わる直前から流れ出すという演出が、おもしろかったです。
空手の師範が「センセイ」と呼ばれていたり、その道場の壁に、クリストファー・リーヴ主演の「スーパーマン」の日本のポスターがあったり、日本がたまに見え隠れします。一番は、ある日本車のフロントグリルに「JAF」の会員証のバッチがついていることですかね。
一度だけで十分に理解するのは難しいところがあるように思います。機会があればもう一度見てみようかなと思います。
全てはショーン・ペンがもっていく!!
冷めたコメディ・アクション映画 保守もリベラルも極端なやつはどちらも狂っている
音楽の使い方が俊逸
レオ様だから面白い。レオ様じゃなかったらつまらん。
タイタニックを愛する者としてはレオ様が出る作品は内容は面白くなさそうでも一度は観てみるという方針で映画館で鑑賞。
結論、レオ様だからまぁまぁ面白かった。
ストーリー的には冒頭の下品なシーンが始まったらへんからくだらん。と、
冒頭らへんで寝てしまい、空白の10分くらいがあるせいでいつの間にか話がかなり突っ走っていて
なんだなんだ面白くなってきたぞ。とそこからは食い入るように観てました。
寝てしまって後悔。気絶するほど最初がつまらんかったということでもあるか。
敵(どっちが敵かは分からんが)からあの手この手のつてを使って隠れながら逃げていく様子は、まるでアンネフランクの映画を観ているよう。
そしてセンセイが落ち着いててかっこいい。
レオ様のパスワードの電話でのくだりはつい笑ってしまったw
そしてあの悪者警察、どこかで見たことあるなー、レインマンか?と思ったらアイアムサムの人だったか。
なんだかよく分からんストーリーではあったが
レオ様の瞳の色が宝石のようでそこだけスクリーンに目立ってすごく美しく、
見た目は歳もとって小汚いおじさん役を演じてるが、瞳の色だけは色褪せない。
眼だけで語るあの素晴らしい演技はタイタニックのジャックを思い出した。
センセイがなかなかいいセリフをちょいちょいはくのでそれだけでも観た価値はあったかな。
"Do you know what freedom is? No fear! "
コメディではない!
作家性の強い監督が、豪華俳優陣とビッグバジェットで描く意欲作
《IMAXレーザー》にて2回鑑賞。
【イントロダクション】
レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ共演のアクションスリラー。かつて革命活動をしていた男が、娘を救う為に立ち上がる。
監督・脚本は、『ブギーナイツ』(1997)のポール・トーマス・アンダーソン。トマス・ピンチョンの小説『ヴァインランド』原作。
アンダーソン監督初のIMAX作品である本作は、映画史上初の全編1.43:1のフルスクリーン上映。
【ストーリー】
極左革命グループ「フレンチ75」。そこのリーダー格の女性、ペルフィディア・ビバリーヒルズ(テヤナ・テイラー)は、爆発物に精通する“ゲットー”ことパット・カルフーン(レオナルド・ディカプリオ)らと共に、カリフォルニアの移民収容所から移民を解放する為、夜間に奇襲を仕掛ける。ペルフィディアはそこで、収容所の指揮官スティーヴン・ロックジョー警部(ショーン・ペン)を出し抜き、屈辱的な仕打ちをする。
収容所の一件を皮切りに、ペルフィディアとパットは強烈に惹かれ合っていく。しかし、ロックジョーもまた、ペルフィディアから受けた屈辱的な仕打ちからマゾヒズム的な異常性的執着を見せるようになり、彼女の動向を追う。「フレンチ75」は政治家の事務所や銀行を爆破し、過激な革命闘争を繰り広げていく。ある日、ロックジョーはトイレで爆弾設置作業をしているペルフィディアに迫り、モーテルでの密会を約束する。
やがて、ペルフィディアは娘のシャーリーンを出産する。パットが革命活動から退き、娘の育児に専念しようとする中で、彼からの愛情や革命活動を優先するペルフィディアは、母親になる事を拒否し、銀行強盗の際に警官を射殺した事で逮捕されてしまう。ロックジョーは司法取引を持ちかけ、ペルフィディアは仲間の情報を密告し、証人保護プログラムによって釈放され、ロックジョーの用意した邸宅で生活する事になる。
一方、パットはシャーリーンと共に“ボブ・ファーガソン”“ウィラ・ファーガソン”という偽名を手に入れ、逃亡生活を余儀なくされる。ペルフィディアはロックジョーの監視から逃れる為、夫と娘を捨ててメキシコへと逃亡する。
16年後、ボブとウィラは不法移民に寛容な政策を取る、通称“聖域都市”であるバクタン・クロスの森の中で2人暮らしを送っていた。
ボブは酒とドラッグに溺れ、すっかりダメ親父になっていた。一方、ウィラはティーンエイジャーとして立派に成長しており、ボブとの間には溝が出来ていた。
ロックジョーは不法移民の逮捕や収監の功績から警視にまで昇進しており、白人至上主義の秘密結社“クリスマスの冒険者”への勧誘を受けていた。ロックジョーはかつてのペルフィディアとの関係と、彼女が出産したウィラが実子である可能性から過去を排除すべく、賞金稼ぎのアヴァンティQを雇い、かつてのボブの同志サマーヴィルを捕らえる。しかし、この事が「フレンチ75」のメンバーに警報を鳴らす事となる。
ロックジョーは不法移民と麻薬の取り締まり作戦を装い、ウィラを確保すべく軍隊と共にバクタン・クロスへと赴く。ウィラは学校のダンスパーティーに友人達と共に参加していたが、「フレンチ75」のメンバーであるデアンドラ(レジーナ・ホール)に保護され、逃亡する。
一方、ボブの自宅にも軍が急襲を仕掛け、ボブは隠しトンネルから脱出し、娘を救うべくウィラが通う空手道場の師範、セルジオ・セント・カルロス(ベニチオ・デル・トロ)を訪ねる。
【感想】
私は、ポール・トーマス・アンダーソン監督作品初鑑賞。
全編通して、まるで70年代の社会派アクションを観ているかのような感覚に陥った。
ボブがカルロスに助けを求めた際の移民マンションでの件や、“クリスマスの冒険家”クラブの秘密の地下施設で下される指令、クライマックスでのカーチェイスシーンと、時に緩やかに時にスピーディーに、シーン毎に贅沢な尺の割き方をしており「古き良き映画」を観ている感覚を覚えるのだ。そして、そんな感覚を最新のIMAX映像で味わう事になるのだから不思議な鑑賞感覚だ。
ただし、個人的には本作、大絶賛されているほどは乗れなかった。良くも悪くも、有名監督が潤沢な予算を投じ、名優達を集めて描いた贅沢なアクションコメディという印象。
予告編から受けたイメージと違ったというのもあるが、思い描いていた物語と違っても面白い映画は幾らでもある。そして、少なくとも私にとって、本作はそういった類の作品ではなかった。
メインとなる“親子愛”についても、ボブと思春期のウィラとの間には障壁があり、親子の関わりが希薄(それは、キャラクターと観客との心的な距離とも重なる)なままバラバラに行動する事になってしまうので、特に感動もせず。
早い話、本作でアンダーソン監督が描いているのは、「革命にしろ、白人至上主義にしろ、そんな事では世界は変わらないし、お前達では何も変えられない」という事なのではないだろうか。監督はどこまでも冷静に、第三者視点で本作の様々な立場のキャラクター達を、何処か嘲笑うかのように滑稽に描いている気がした。
デル・トロ演じる癖強なセンセイを筆頭とした活動家も、白人至上主義を掲げて秘密結社を運営する白人も、物語の開始からラストに至るまで、実は何も「意味のある変革を成していない」のだ。壮大なようでいて、その実は単に「父親が娘を取り戻す話」に終始している。
そんな本作で唯一、正しい事・美しい事として肯定的に描かれていると感じられるのが“親子愛”だ。作中では、ボブがウィラが自分の娘ではない事について知っているのかについて直接的に描かれてはいなかったが、銃を向けて「お前は何者だ!?」と問い掛ける彼女に「どうだっていい」と返し、ただただ彼女を優しく包み込む姿から、恐らく彼は真実を知っていて、その上で尚もウィラを娘として愛していたのだろうと思う。
ボブが“合言葉”を思い出せず、娘の居場所が中々分からないというのは、まるで適切な手順を踏まなければ情報が明かされないお役所仕事のよう。法や権力に抗うはずの革命家という名のテロ組織ですら、役所的な融通の効かなさを見せるというのは皮肉。しかし、中々娘の居場所が分からないというのは、ボブと同じくこちらとしてもストレスに感じた。随分とこの件には長く尺が割かれており、革命家時代の仲間の性癖で仲間だと証明されるという下らないオチ含め、全く笑えなかった。
そんな本作において、それでも尚評価したいのは絵作りの良さと音楽・挿入歌の使い方のセンスの良さだ。特に、クライマックスで展開される広大な荒野の一本道を疾走するカーチェイスシーンは、それだけでも鑑賞料金分の価値のある名シーンとなっている。
また、無駄に感じられるシーンも散見されるにも拘らず、それでも162分という尺の長さを感じさせない構成力は凄まじいと思う。
【オスカー受賞のベテラン俳優陣と若手俳優陣が演じる曲者揃いのキャラクター達】
主演のレオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペンは主演男優賞、ベニチオ・デル・トロは助演男優賞をそれぞれ獲得している。
そんな演技派俳優達が本作で演じるキャラクター達は、どれもこれも曲者揃い。
ディカプリオ演じるボブは、爆発物に精通し爆弾作りのプロとして活動していたが、今や酒とドラッグに溺れ、娘との親子関係にも溝のあるダメ親父。ビルとビルの間を飛び移れず、無様に落下した先でテーザー銃を撃たれて確保される始末。
ショーン・ペン演じるロックジョーは、白人至上主義の“クリスマスの冒険者”クラブに所属する事を夢見る中年男。その為なら娘を殺し屋に始末させる事も厭わない。しかし、結局は物怖じしない男勝りな性格の黒人女に性癖を歪められ、もしくは元から持っていたマゾヒズムを刺激されて執着していた情けない中年男性でしかなく、そんな小物っぷりは良い。
デル・トロ演じるカルロスことセンセイは、道場経営の裏で不法移民を世話する役割を担っており、街の住人から慕われている。
しかし、これら名優達の演じるキャラクターが如何に個性豊かでクセが強くとも、クセが強い=キャラクターとして魅力的というわけでは決してないと思うのだ。
ボブの爆発物の技術は序盤の活動でしか発揮されないし、センセイ(と生徒のウィラ)の空手の師範という設定は終始活かされない。
特にセンセイに関しては、ボブの窮地に都合良く手を貸すという、キャラクターとストーリー展開にとって都合の良い存在でしかない。それは、いくら道場兼オフィスに『スーパーマン』の日本版ポスターを飾っていようと、いくら街の住人から信頼されていようと、何処かペラペラで存在意義すら危ういレベルな気がした。
テヤナ・テイラー演じるペルフィディアの、女から母親になれず育児放棄した母親という役も引っ掛かる。
ラストでウィラを捨てた事を後悔しているという如何にも感動的な内容の手紙が明かされるが、育児放棄をした人間が手紙1通如きで「どの面下げて、何を言っているのか?」と呆れ果ててしまった。
そして、手紙にあった「私とお父さんは失敗した。あなたなら世界を変えられるかもしれない」という文章が非常に不味い。娘への愛を連ねつつも、その奥底には「親が果たせなかった夢を子供に果たしてほしい」という身勝手な親の思想、革命家としての根本が変えられていない様子が窺える。
自分の子供に「世界を変える事」を願うのが親なのか?私は違うのではないかと思う。子供にとって“初めて触れる世界”が親であるように、親にとって“新しく増えた世界”が子供なのだ。子供が産まれた事によって、既に親にとっての世界は変わっているではないか。それこそが最大の“革命”だろう。せめて、「あなたの成長と幸せを心から願っている。あなたが私の世界を変えてくれたように、あなたはあなたの世界をより良いものに変えてね」と書けなかったのだろうか?
あの文言は、ともすれば娘にとっての親からの“呪い”ですらあると思い、微塵も感動を覚えなかったどころか、何なら怒りすら湧いたのだが。
そして、案の定ウィラはラストでオークランドの抗議運動に参加しに行く。抗議運動は極左的な革命活動ではないだろうが、修道院にてマシンガンを撃ち、正当防衛ではあるとはいえティムを撃ち殺した彼女は、緩やかだが確実に、母親と同じ道を辿りつつあるように思う。
そんなウィラ役のチェイス・インフィニティは、新時代のスター誕生を思わせる程、ベテラン俳優陣に負けず劣らずの輝きを放っていたように思う。出来れば、もっと空手の技術を駆使してほしかった。
また、彼女はスマホすら与えてくれない過保護な父親との生活の中でも、学校ではしっかりと友達を作れている様子は救いに感じられて良かった。オタク気質な雰囲気の男の子や、ピンクの派手なコートを羽織ったぽっちゃり姿の女の子、唇ピアスという派手目な見た目ながら陰がありそうなブロンドヘアの女の子、トランスジェンダーを思わせる奇抜なファッションの男の子と、ウィラと共に所謂イケてないグループ(警察からの質問に、大抵の生徒はウィラについて無関心な様子を示していたので)を構成する彼らは、まるで現代版『グーニーズ』の“ルーザーズ・クラブ”を見ているかのようで、実を言うと、私はウィラと彼らとの関係性こそを見たいと思った。
それこそ、現代的な価値観から大人達に対して「革命だの白人至上主義だの、どっちも知らねーよ!」と中指を立てて反抗し、ロックジョー達と戦うストーリーでも面白かったかもしれない(原作となる作品がある以上、無理難題ではあるが)。
【総評】
名優達の演技、拘りを持って撮られた印象的なショットやシークエンス、作品を彩る優れた音楽や挿入歌、「古き良き映画」を思わせる贅沢な尺の配分と、なるほど批評家や映画ファン受けがすこぶる良いのも頷ける一作ではあった。
しかし、個人的にはアメリカ社会の問題を数多く扱ったテーマ性やキャラクター描写に全力でライドし切れず、アンダーソン監督の作家性と言う名のクセの強さが窺える作品だったと思う。
つまらないのに飽きない2時間判
まさに人生はOne Battle after Another
おもろすぎる!
テンパりながらも運命に立ち向かっていくディカプリオが
相変わらずダメダメすぎて笑えるけど
まさに人生はOne Battle after Anotherだから
他人ごととは思えず応援せずにはいられない
話の軸は親子や家族の話で誰でも感情移入できるテーマにしつつ
その背景に移民や人種など今まさにどの国でも問題になっている厳しい現実も描かれる
けどディカプはじめどのキャラクターも
悲壮感がなく時には楽しげにひたすら立ち向かっていて
そこが見ていてとても気持ちがいいし
ディカプの過去の活動のせいで娘が攫われるけど
過去の活動があったからこそ
仲間やそれに共鳴したりリスペクトする人たちが手を差し伸べてくれるのが印象的で
人生観や人間観がとても前向きだと感じた
そんな感じで全体的に
監督の頑張る人への眼差しや人間愛みたいなのを感じて
最終的にはとても感動した
【他の良かった所】
・ディカプリオとショーンペンの演技最高
映画は全てアクションというけど
ショーンペンは歩き方や仕草どれをとっても
キャラクターそのものになっててすごかった
口元がほんと不快!笑
・映像のリズム、キレ
説明しすぎないからテンポ良くどんどん進んでストレスない
・かっこいい絵になるシーンか盛りだくさん
挙げてるとキリがない
・ストーリーのまとめ力
別の場所で進行してる別のストーリーの見せ方が上手すぎて
全く混乱しない、むしろ分かりやすい
などなど!
他にも後から思い出す所が沢山ありそうだけど
ひとまず鑑賞直後のまとめでした
どういう立ち位置で見たらいいの?って考えてるうちに、次から次へと
誰が主人公なの?、社会風刺なの?などと考えて見ているうちに心がだんだん重たくなったんだけど、途中からそんなことはどうでもよくなってきて、もうハラハラドキドキの連続。ゼアウィルビーブラッドみたいに何度も見ることになりそう。
子どもを守ろうと翻意して白人の殺し屋たちと相撃ちになって死んでいったネイティブ・アメリカンの殺し屋、かっこよかったな。
ショーン・ペンはよくこんな役を引き受けたなぁ、でもこんな人いそう!
話は単純、画だけで2時間40分引き込む
全691件中、361~380件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。








