999号室

劇場公開日:2025年5月30日

解説・あらすじ

2022年のカンヌ国際映画祭に参加していた映画監督30人に、「映画は死にゆく芸術か?」を問うたドキュメンタリー。ヴィム・ヴェンダースが映画の現在と未来について、ジャン=リュック・ゴダールら著名な映画監督たちに意見を聞いた1982年の「666号室」に着想を得て製作された。

ヴェンダースやデビッド・クローネンバーグ、クレール・ドゥニといった各国の巨匠たちから、「逆転のトライアングル」のリューベン・オストルンド、「わたしは最悪。」のヨアキム・トリアー、「墓泥棒と失われた女神」のアリーチェ・ロルバケルといった、次代を担う俊英まで、世代・国籍・性別も異なる30人の映画監督が、パンデミックやさまざまな技術革新を経た映画の現在と未来を、それぞれの視点で語りつくす。

2023年製作/89分/フランス・ドイツ合作
原題または英題:Chambre 999
配給:JAIHO
劇場公開日:2025年5月30日

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映画レビュー

4.0 ヴェンダースが懸念する「デジタル革命」からさらに事態が進展した現在において、本作に登場した映画人たちの見解を改めて伺いたくなる一作

2026年5月24日
PCから投稿

カンヌ映画祭に集った多くの映画監督に、「映画は死につつあるのか?」と問いかける、という構成は、ヴィム・ベンダースが『666号室』(1982)で採用した手法をそのまま踏襲したもので、タイトルといい冒頭で登場するのがベンダース本人であることといい、『666号室』以降映画自体がどう変化したのか、を確認する作品ともなっています。

作品では一人ひとりの収録時間はごく短く、それでいてそれぞれの人となりが良く伝わってくる興味深い映像と言葉が続きます。冒頭ベンダースは、「映画はデジタル技術の進展によって死につつある」という悲観的な見解を示します。続く約30人の映画人たちは構成上、ベンダースの見解に賛同する、あるいは反論する形で意見を述べたり、自分なりの表現をカメラの前で披露していきます(意味不明なものも含む)。多くの映画人が、表現としての映画の枠組みが大きく変化していることを認め、それに対する危機感を表明する一方で、現在起きている変化は映画自体の進化の過程だとして肯定的にとらえるデヴィッド・クローネンバーグや、とにかく新しい動きを歓迎するバズ・ラーマン監督などは、実に「彼ららしい」姿勢でした。

多くの議論の果てに立ち現れた、「他者理解と集団的儀式の両方の要素を兼ね備えた芸術は今のところ映画しかない」という言葉には、確かな重みがあります。

とはいえ決して固い議論一辺倒ではなく、みんな靴のセンスがいいなー、と感心するところがあったり、ニンジャ・サイボーグって、誰!?となったりと(スウェーデンの映画作家らしい)、いろいろ面白い見どころがある作品でもありました。

2022年制作の本作では映像のデジタル化が議論の主軸だったけど、それ以降あっという間に世界を覆いつくした感のあるAI関連技術。その影響によって映画がさらにどう変化しており、これからどこに向かおうとしているのか、再び彼らの意見を聴きたくなりました!

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yui