「父娘の闇」スノードロップ カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
父娘の闇
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生活保護には認定基準が分かりにくかったり、地方の公的機関職員の胸先三寸に任せられてきたり、反社会的勢力の脅しに逆らえずに不正受給が繰り返されたり、といった、これまで積み重ねられてきたマイナスイメージがどうしても強い。申請·受給を恥と感じる人も多い。
上映館での「好評につき上映期間延長」がさらに延長されたので気になって鑑賞。
2015年に実際にあった申請後に受給がほぼ確定した直後に起きた親子三人の一家心中事件にインスパイアされて作られた映画とのこと。
主演の西原亜紀さんの佇まいとイトウハルヒさんの丁寧で真面目な職員役がとてもよかった。
認知症の進んだ母親の介護が生き甲斐になっていた主人公が生活保護受給と介護サポートを同時に受けることになって、生き甲斐を失い、絶望したからといって、一家心中をあの父親と阿吽の呼吸で決め、実行してしまう性急さに理解が追いつかなかった。
お年寄り夫婦が介護や支援を拒む気持ちやプライドから生活保護受給を拒む気持ちはよく分かるのだが。
映画の冒頭に父親が蒸発し、主人公が幼児の頃に女の子三姉妹の末っ子が養子にだされるシーンがある。残ったふたりの姉妹の妹が主人公で、嫁いで同居はしていないが交流のある姉もいる。都合よく20年ぶりに家に帰って来たが、「痛風」で働けなくなった父親の自殺幇助罪と母親の殺人罪で主人公は服役。
生活保護申請は父親の勤め先の新聞代理店の店長がきっかけ。
この親子の心中事件と生活保護受給との間に直接的な関連性があるのだろうか?と思ってしまった。
この父娘の関係にはそれよりもっと深い闇が横たわっていたに違いないと思ってしまうのだ。
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