劇場公開日 2026年8月28日

「途中から意外な展開も見せるリドスコ流ディストピアもの」ラスト・サバイバー 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 途中から意外な展開も見せるリドスコ流ディストピアもの

2026年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

パイロットのヒッグと元軍人のバングリーが共同戦線を張って外部からの侵入者を遮断しながら暮らしている。それは、もしかしてあり得たかもしれないパンデミック後(2035年という設定)の世界を暗示しているようだ。一歩外に出れば感染者が生き延びているかもしれないし、荒廃した大地のどこかに誰かと共存できるユートピアが残っているかもしれない。実際の世界はますます内向きになって内と外の棲み分けが一層濃厚なのだが。

リドリー・スコットの最新作はディストピアものの範疇に収まるように見えて、ヒッグが内に籠もりたいバングリーに別れを告げて、愛犬のジャスパーと共にセスナ機に乗って大空に舞い上がって以降、ぶっ飛んだ展開を見せるので安心は禁物だ。そこには、今回も怪演ぶりが好調なアリソン・ジャネイがいる、意外な別れと再会がある。要するに、2時間10分観ていて飽きないのだ。

ビートルズの伝記映画と日程が重なってヒッグ役を降板したと聞いているポール・メスカルに代わって、過去と未来の狭間で苦闘する主人公を演じるジェイコブ・エロルディがいい。いつもにように眩しげな眼差しが効果的だし、IMAXで観たが圧巻の10等身が画面を席巻している。

今年の11月で89歳になるリドリー・スコットの躍動ぶりに対して驚嘆の声も上がっているが、むしろ、それは本人に対して失礼だと思う。年齢など忘れて現場を仕切っているに違いないのだから。来春、アカデミー名誉賞受賞が決まっているが、こんなにも現役バリバリの名誉賞受賞者なんて聞いたことない。

清藤秀人