劇場公開日 2025年10月24日

「劇中の夫妻を通した“本作の作り手の自虐”?」ローズ家 崖っぷちの夫婦 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 劇中の夫妻を通した“本作の作り手の自虐”?

2025年10月24日
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鑑賞方法:映画館

今週は“(劇場で)観るor観ない”の判断に迷う作品が複数あって悩ましい。そんな中、本作はオリビア・コールマン、ベネディクト・カンバーバッチという豪華なW主演で、更にジェイ・ローチが監督と言うことで一歩抜きに出る形となり、公開初日にTOHOシネマズ日本橋にて鑑賞です。ちなみに、オリジナルである『ローズ家の戦争』は配信にて鑑賞記録ありですが、正直内容は思い出せず。それでも敢えて観直しはせずに、新たな気持ちでの鑑賞となりました。
自分の思う完璧について譲ることが出来ないテオ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、思いもよらない状況に自分と通じる価値観を持つアイヴィ(オリビア・コールマン)と運命的に出会います。直感で「この機を逃すまい」とその場でプロポーズをするテオに対し、即決で応えるアイヴィ。結婚を決めた二人は、祖国イギリスをあとにしてアメリカへ移住します。その後、二人の子供にも恵まれて順風満帆のローズ夫妻でしたが、ある激しい嵐の夜、夫妻にそれぞれ起こった対照的なハプニングをきっかけに生活が一変。その後、夫妻の間には徐々にズレが生じ、更に子供たちの巣立ちもあって夫妻にはもはや埋めきれない程の深い溝が…
本作、全般において“会話劇”、それも相当に弁が立ってやや暴力的とも言えるほど強引で、さらにイギリス人同士でないと通用しない辛辣な会話がマシンガンの如く飛び交います。言い換えれば、字幕を追いかけるのにやっとの思いで、その言い合いに対してテオとアイヴィの感情がどの程度動いているのか、また、そのブラックなユーモアに潜むパンチラインがどこなのか解りにくく、正直「ついていけていない」ことを自覚しながらの鑑賞。或いは、(夫妻の)周囲の表情や反応もあっけにとられることしばしばで、所詮(字幕ではなく)吹き替えにしたところで日本人に通じやすいとは言い難いような気がします。
主演を務める名優二人の振り切った演技と、周囲を固めるバイプレーヤーも粒ぞろいで見応え充分。その上、キレもテンポも上々で面白くなる要素はたっぷりなのに、ついていけない自分の力量不足が悪いのか、、、ですが、終始“言葉攻め”ではなく、もう少しストーリーで納得させてくれればという気もしますが、如何せん後半における“喧嘩”はあからさまで雑だし、それもこれもあのオチありきと考えれば無理もないのかな。
敢えて言えば、「解る人にだけ解れば良い」的な気位(きぐらい)も感じてちょっと残念。何なら、劇中の夫妻を通した“本作の作り手の自虐”と感じるのは思い過ごしなのだろうか?それなら相当シュールだけど、、ないな。

TWDera