「ガンダム、ゲッターロボ」M3GAN ミーガン 2.0 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
ガンダム、ゲッターロボ
【この監督、ガンダム、ゲッターロボも観ているだろう】
前作は面白かった。
2.0のアップデート仕様、AIミーガンの進化、
映画自体のスペックに興味津々だった。
前作の延長上で「サスペリア2」のような設定になるのか、
あるいは、
ターミネーター、アンドロイド系の電気羊の夢を見るか、
とか、類似作品は多く、
そのすき間をどのようにしてかいくぐってくるのか、
あるいは、正面突破なのか。
むむむ、T-1000とか、T-Xか・・HAL、
少し違うのは、
打撃をくらった相手の粉砕のされかた、
投げられる、飛ばされる、
極めてタイトな現場技術と細かいFX加工の、
ハイブリッド技術が高度だ。
シナリオのハイブリッドもなかなかで、
単なるホラーAI映画ではなく、
人間と人工知能の〈共進化プロセス〉を描いたシミュレーション実験のようなシナリオだ。
その構成は、機械学習と人間的感情の〈ハイブリッド・モデル〉として極めて興味深く、
データ駆動的な展開とアナログ的な情緒が見事に統合されている。
生成AIの暴走や情報汚染(ノイズ)といった負の側面を、
日本武道(合気道)の〈調和〉や〈受け流し〉の哲学で中和しようとする、ジェマの思想のしなやかさは、
まるで人類がAIのバイアスをアルゴリズム的倫理観で、
最適化しようとする試みのようだ。
この〈スピリチュアル・デバッグ〉とも言える教育観を、
ケイディの子育てという実生活のインターフェイスに実装した点は、
まさに〈21世紀型子育てOS〉と呼ぶにふさわしい。
(劇中では〈21世紀型子育でガイドライン、分厚い本〉)
ミーガン自身の進化も圧巻だ。
まるでHAL9000が物理的ボディを獲得し、
ニューラルマトリックスネットを自律的にリファクタリングしていくような進化過程は、
AIのアップデートが人間の倫理領域へと侵入していく〈危険なバージョンアップ〉の象徴である。
映画全体が、テクノロジーと人間性のAPIを接続しようとする〈実験的ハッカソン〉のような趣をもち、
観る者に【人間とは何か】【教育とは何を継承することか】を再コンパイルさせつつ、少林寺木人拳的現場アクションでも魅せる魅せる。
技術の冷たさと愛情の温度が交差するこのミーガンシリーズは、
まさに現代社会のシステムエラーを可視化するデジタル寓話であり、
その完成度は極めて高い、ミーガン、おまえが唄うんかーい、
でもいいシーン。
この監督、「遊星からの物体X」やセリフで挙げられる作品だけでなく、
ガンダム、ゲッターロボ、攻殻機動隊等、アニメも好きなんだろう。
