医の倫理と戦争

劇場公開日:2025年11月22日

医の倫理と戦争

解説・あらすじ

医療従事者による戦争犯罪への加担という負の歴史を追いながら、現在の医療現場が抱える問題に切り込んだドキュメンタリー。

現代日本の医療現場が抱えるさまざまな問題の根底には、第2次世界大戦における医療従事者の戦争犯罪への加担とその隠蔽という事実がある。石井四郎が率いた「731部隊」に所属した医師たちは、人体実験で得た“知見”を自らの功績に変え、戦後日本の医学界の中心へと上りつめた。そのような負の歴史に向きあい、「医の倫理」を掲げて戦争反対の声を上げ続ける医療関係者たちがいる。

本作では731部隊の真実に迫るとともに、さまざまな問題に取り組む医療関係者たちの現在を取材する。監督は「もんしぇん」の山本草介。

2025年製作/77分/日本
配給:シグロ
劇場公開日:2025年11月22日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
山本草介
企画
伊藤真美
プロデューサー
山上徹二郎
撮影
山本草介
辻智彦
伊東尚輝
編集
山本草介
整音
永濱清二
カラーグレーディング
辻智彦
音楽
田中教順
宣伝デザイン
秋山京子
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フォトギャラリー

映画レビュー

5.0 陰謀論かもしれない。 けれど、平和のために声をあげ続ける高齢の医師、看護師達の静かな、けれど凛とした姿勢に心打たれた

2026年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

驚く

石井731部隊の史実から現代の高齢者医療まで、時代を貫く医の倫理と戦争の相克を峻烈に描き出します。

WHO憲章は、戦争を「健康に対する最大の脅威」と定義しています。しかし、命を救う使命を負うはずの医師たちが、なぜ国策という大きな流れに抗わず、沈黙を保つのか。映画は「安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉関係者の会」の視点を通じ、医療界の構造的な問題を告発します。

過去の従軍慰安婦から、現代の障害者、不法滞在者、そして医療費削減の陰で「看取り」という真綿にくるまれた言葉で生きる可能性を切り捨てられる高齢者に至るまで、国策を至上のものとし、社会的弱者の苦しみに思い至らないのはなぜか?
731部隊の記憶が風化し、若い医師の認識が薄れる中で、誰もが人道的に振る舞うことの大切さを説く活動家たちの言葉が、静かに流される涙が観るものの心を打ちます。

国家の論理と個人の良心の狭間で、医療の本質を問い直す重厚な記録映画です。

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さとうきび

未評価 聖人も居た??!!

2026年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「医療に関わる人の殆どは、『人の命を救いたい』という思いでこの職を選択した筈だ。それならば、戦争に反対する事こそが多くの命を救う行為なのではないか」

と作中で語る医師の言葉にハッとさせられました。

 本作は、戦中の731部隊で日本の医師が行った残虐な人体実験の総括も行う事無く、それらの人々が戦後の医学界の中枢を占め、積極的な反戦運動から距離を置いて来た事実を辿ったドキュメンタリーです。僅か77分の作品ですが、1ミリも問題の芯を外すことなく剛速球を投げ続けます。

 京大の医学部生でも今や20%程度の人しか731部隊の事を知らない事に驚かされます。また、731に関わった医師の一人が1990年代に、

 「『悪魔の飽食』と言われるが、聖人も居た。お国の為、或る人の為にはなった」

と講演会で語っていたのには腰が抜けました。日本の医学界が正式に731部隊を公式文書中で取り上げたのは、何と2022年になってからなのです。

 自国の歴史を振り返る事なく隠蔽し続けていて、これからの戦争に反対出来る筈はありません。歴史修正にアクセルを踏むであろう政府とそれを支持する人々を前にしたら猶更です。

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La Strada

3.5 コザのシアタードーナツにて

2026年3月23日
iPhoneアプリから投稿

知的

難しい

コザにあるシアタードーナツで鑑賞しました。日本は、第二次世界大戦・太平洋戦争の総括ができていないのです。だから、731部隊の生き残りが要職につけた。731部隊だけではなく、A級戦犯が総理大臣にもなれた。つまり、総括ができていないということは、彼らから反省する機会を奪っているのです。と同時に、私達日本人が真摯に過去に向き合うこともできずにいると思うのです。

「国の医療費を削減すること」が常に話題に上がっていますが、戦争をしないことが一番の医療費削減になるとは、本当にその通りです。今、イスラエルとアメリカがイランを攻撃していますが、どんな戦争にも大義はありません。倫理もありません。絶対に反対。そして、日本が80年間戦争をしていないことを改めて心から誇りに思いますし、ずっとこのまま戦争をしない国であり続ける不断の努力をしていきます。

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ミカ

5.0 悪人でなくても犯罪行為をしてしまう戦争の怖さを痛感

2026年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

驚く

吉祥寺の映画館で監督のトークショー付き上映回を鑑賞しました。

旧日本陸軍の特殊部隊である731部隊は、生物兵器開発のために中国大陸で中国人、ロシア人への人体実験を行いました。世界でも類を見ない医師による国家犯罪でしたが、731部隊が敗戦時に戦犯追及を恐れて証拠を焼き捨てたため殆ど証拠が残っておらず、隊員にも厳しいかん口令が敷かれたため、その事実は封印されてしまいました。731部隊の隊員たちは責任を問われることなく現場に復帰して医療界の重鎮となり、日本の医療界に大きな影響を与えることになります。映画ではこれらの事実を元隊員の証言映像や医療関係者へのインタビューなどで明らかにしていきます。非常に見応えのある内容ですので、できるだけ多くの人に観てもらい、周りの人にも広げて欲しいと思います。

上映後には監督のトークショーが行われました。中でも印象に残ったのは、
731部隊の隊員は部隊の研究所にいるときはおぞましい実験をしているにもかかわらず、
家に帰るとどこにでもいる普通の父親になるというお話でした。悪魔のような人が犯罪行為を犯すのではなく、ごく普通の人が特に罪の意識もなく生体実験のようなとんでもないことをしてしまうというのが戦争の恐ろしいところです。カンヌ映画祭でグランプリを獲った「関心領域」という映画でもアウシュビッツ所長を同様の視点で描いていたと思います。
もし自分が同じ立場に置かれたらどのように行動するのか、いろいろなことを考えさせられる映画です。

※これからご覧になる方へ
・映画の中では残酷な映像などは出てきませんので、子供連れで観に行っても大丈夫です。
テレビでドキュメンタリーを撮っている監督なので、誰でも普通に観ることができる感じになっています。
・731部隊とは何かについてご存じない方は、多少調べてからのほうがよいかもしれませんが、前知識なしても問題ないと思います。
・プラグラム(1000円)は購入されることをお勧めします。映画に登場される医療関係者のインタビューが掲載されており、映画には出てこない内容もあって非常に読みごたえがあります。

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こげぱん