劇場公開日 2025年6月28日

「しっかり18禁」アジアのユニークな国 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 しっかり18禁

2025年8月3日
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鑑賞方法:映画館

「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇」という言葉がしっくり来る映画。
途中、思わず声を出して笑ってしまったが、その途端に「いやいや、俺も笑えないぞ」とも思う部分を突いてくる。
77分という短さや、エンディングの切れ味なども心地よい。
内容はしっかり18禁らしい映画。

<ここから鑑賞内容に触れます。鑑賞された方で興味のある方のみご覧下さい>

公式サイトで「ある政治家」と濁している安倍晋三の名前や、彼にまつわる言葉がたくさん登場するが、語られる言葉の中身をあえて空っぽにして、具体性や論理性を欠かせている。つまり、何かを説得しようとしたり、何かを煽ったりする意図をスッポリ抜け落としている。
だから、彼を支援する者も、毛嫌いする者も、この映画を観て、どちらか一方がスカッとすることはないと思うので、「これは政治的な映画ではない」と謳っている通りだなぁと思う。

山内ケンジ監督が、描きたかったのは、政治的なフレーズが出てくるだけで、タブー感が生じてしまう、すでに「ユニークな国」日本のことなんだろう。
他人のことが気になったら、自分の身が病むまで気になってしまう人や、なぜか執拗に「あいさつ」を重視する人も登場してユニークさに輪をかけるが、それはこの国の日常でもある。

倫理観とか、セックスワークに対する建前と現実とか、介護とか、夫婦関係とか、親子関係とか、結婚とか、職業観とか、DVとか、少子化問題とか、妊娠出産に関わる傷つきとか、育児とか、格差問題とか、警察の持つ個人情報とその濫用の問題とか、寄付行為とか、そしてそれらをひっくるめた他者理解とか、様々な矛盾を体現した主人公とか、全てが地に足がついていない感じが、今現在の私が住む「アジアのユニークな国」と自分自身の写鏡のようだった。

安倍晋三を支持する若い彼の振る舞いを、マウント取りとみるか、思想は切り離した他者との共存を「対話」を通して試みようとする態度とみるか。私は後者としてみたいと思った。

「Mondays」の事務員さん、今作でもいい味出していた。

sow_miya
ひろちゃんのカレシさんのコメント
2025年8月3日

たびたびすみません。
口車に乗せられて行き着く先は地獄,はまさにその通り,そうならないよう自分の頭で考え続けたいと思います。
一応念のため申し添えますが,わたしはあれらインチキ差別カルト「右派」達には1ミリも共感していません!

ひろちゃんのカレシ
ひろちゃんのカレシさんのコメント
2025年8月3日

コメントありがとうございます。
右にも左にも偏らず合理性を重んじる立場、という本来の意味で私は保守的であるよう心掛けている者ですが、褒めるにせよ貶すにせよ「保守」といえば右寄りで排他的だと思い込んでる人が多くて困惑しています。正直言っていわゆるリベラル(「なんちゃって」付き?)気取りの発言に賛同することはほぼありませんが、彼らの居場所が無いよりはあった方が社会の在り方として健全だと思っています。

ひろちゃんのカレシ
ひろちゃんのカレシさんのコメント
2025年8月3日

お邪魔します。
たしかに政治そのものではなく,政治への関心の寄せ方について(勿論それだけでは無いでしょいが)の映画だと思いました。

ひろちゃんのカレシ