「現実社会を映し出したようなストーリーは何度観ても気づきがあります。」羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
現実社会を映し出したようなストーリーは何度観ても気づきがあります。
前作『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』については、劇場公開時にその評判を聞いていたもののすっかり出遅れたことと、アニメ映画にレビューを書くことの苦手意識もあって、結局は配信待ちとすることに。その後、ようやくU-NEXTで配信が始まって鑑賞したところ、評判に違わずすっかり好きになってしまった私はこの度、続編の劇場公開を機に「劇場版」を5話に分けた「特別編集版」を観直してTOHOシネマズ日本橋へ。基本、外国語映画(本作は中国語)の場合は「字幕版」を選びますが、配信で観た「吹替版」こそが私にとっての『羅小黒戦記』であり、シャオヘイはやはり花澤香菜さんの声で観たいと迷わず「吹替版」をチョイスです。
可愛い絵柄と、“妖精”がメインキャラクターであるファンタジーというジャンルに対して、ナメていたわけではないもののいささか軽い気持ちで観始めた本作。ところが、「妖精と人間」という異なるアイデンティティ間における“居場所”について、「共存か対立か」で揺れ続ける現実社会を映し出したようなストーリー。強硬派から穏健派まで幅広くグラデーションな考え方と、過去に起きた歴史問題に対するそれぞれの想いが交錯する中、「理想とは?」を考えさせられ更には「その現実のための選択」を問われ続ける重要且つ難題な内容。そして、独自の世界観における社会構造に対する理解と、沢山のキャラクターとその属性、さらに固有名詞に対する中国語への慣れと記憶など、正直一度観ただけでは消化しきれません。ただその点、シャオヘイの可愛らしさは何度観ても飽きないので全くネガティブではなく、今後も定期的に観直したい“飽きっぽい私にとっては”稀有なシリーズでもあります。
続編となる本作はまず、前作に起きた重大ないさかいがきっかけで様々な“現実”に触れ、自分なりの“選択”に面と向かうことの重要性、そしてそれに見合う自分となるための決意で立ち向かうシャオヘイ(花澤香菜)が、弟子入り志願を許された“最強の執行人”ムゲン(宮野真守)のもと、修行と飲食に明け暮れる毎日。今回もシャオヘイは美味しいものにときめき、その食いっぷりが最高です。そして、本作きってのキーパーソン・ルーイエ(悠木碧)の登場と、シャオヘイとのコンビによるファイトは身悶えるシーンの連続。二人の関係性とそこにルーイエの過去が重なり合い、それぞれの「正しい選択」に観ている私も揺れ動きます。そしてさらに、同時進行でもう一つの危機と対峙しつつ、人間・ムゲンに対する疑心暗鬼で一触即発の妖精たちとの攻防がまたハラハラ。前作で“彗星の如く”登場したにもかかわらず、ある理由から力を発揮することなく一転して手持ち無沙汰となったナタ(水瀬いのり)も、今回はとうとう本気モードの戦闘が見られます。
と言うことで、今回も裏切るどころか益々“好きさマシマシ”となった本シリーズ。配信で何度も観るのもいいけど、久しぶりにフィジカルメディアやグッズにまで動きかねない食指を抑えるのに必死です。早く3作目が観たい!!
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