「主人公ヒックがアニメからそのままの違和感ゼロの美少年を発掘」ヒックとドラゴン クニオさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公ヒックがアニメからそのままの違和感ゼロの美少年を発掘
上出来のCGアニメーションであった作品がなんと実写となってリブートされた。驚くのはアニメの主人公少年ヒックがそのまんまアニメから飛び出したような生き写しです。逆に言えばメイソン・テムズに制作者達が出会ってしまって、本作の企画が立ち上がったかもしれません。そもそも頭でっかちで不格好なドラゴンは依然と容姿は変わらぬわけで、人物はCGで顔だけをトレースしたんじゃないかと思うくらいに。しかも彼は2007年生まれですよ、現在18歳、撮影時は16~17歳の驚くべき若さ。素顔はなんと美少年でかの「ベニスに死す」のビョルン・アンドレセンそっくりじゃないですか。相手役のニコ・パーカーは3歳年上、近頃は細面より丸顔の方が人気なんですか?ゼンデイヤしかり。どっかで見覚えありでして、実写版「ダンボ」の少女でした。ファザコンがテーマとあれば強力な父性が必要で、絵にかいたような父親像をジェラルド・バトラーが好演する。
共にいがみ合い戦争ばかりしていた人間とドラゴンが共存の道を探したらあっさりとみつかりましたと、現時点での世界の腐った状況への揶揄と言ったら恥ずかしいようなドストライクのお話です。そこへ主人公少年のファザーコンプレックスの克服を絡ませた成長噺、これまた定番中の定番ストーリーです。しかし、誠実に描けば決まりきったストーリーでも当然に心を打つわけです。さらに圧巻の飛翔シーンがセールスポイントで、今回IМAXフォーマットを選択したのは大正解でした。ちなみに上下フルサイズ映像を基本としつつ会話シーンとなると天地が縮みます。
アイスランドの荒涼たる大自然がステージとは言え、ドラゴンの大群はもちろん、戦闘シーンも含めCGベースが多用され、どこまでが実写なのか相当にややこしい。しかも、毛皮をこんもり着用の衣装ですから顔以外総てCGも簡単でしょう。だから悪いわけではなく、爽快な描写に酔わせて頂ければ十分です。
仔細にツッコミどころは満載ですが、殆どは本当に仔細で本作の価値を堕とすレベルではない。けれど、肝心のラストにラスボス的な巨大ドラゴンが登場し、それを倒して目出度い目出度いですが、もとより女王蜂のようなとセリフで言及しているのですから、ドラゴン社会は大丈夫?と激しく心配になります。一方でバイキングのプライドと言うか受け継ぐ血の荒々しさも、笑ってしまう程に浅はかなのが惜しい。今どきですので北欧のバイキングに黒人もアジア人も混ざってます、一応れぞれの地区から参上として。制作予算はざっと1億5000万ドル(220音円)のようで、相当に金をかけてます。逆に実写版でよくぞ踏み切ったと感心してしまいます。ここまで来たら実写2も当然あるでしょう。
