「SERIOUS」事故物件ゾク 恐い間取り ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
SERIOUS
前作はトンチンカンな出来だったんですが、ネタ的にはかなり楽しめた作品だったので、今作もネタ的側面でどこまで振り切ってくれるのかというところに注目して鑑賞。
特典は渡辺くんのミニカードでした。
前作よりパワーダウンしているのはしょうがないとしても、トンチンカンな部分が笑えず、本質であるホラーとしても全然怖くない、とんでもなく微妙な出来になっていました。
主人公の性格あたりが最初からちんぷんかんぷんだったので躓きが凄まじかったです。
福岡の工場で11年働いてからのタレントになりたいから東京に行くぜ〜!というなんとも言えない動機、俳優やモデルやアイドルと明確な職業はあるはずなのに、タレントという大雑把な括りで職業を求める時点でもうのめり込めなかったです。
そこから事故物件住みますタレントとかいう聞いたことのないジャンルがあたかも一般的に流通しているかの如く語っているのもさっぱりでした。
1軒目の物件で、それでいて今作のハイライトはなんでそんな場所にあんねんっていう窓に霊が映り込んでビックリした勢いで一回転しながら窓に肘を打ちつけて、その中にたまたま呪物があったというご都合主義が大集合したかのようなシーンはもうハチャメチャで好きでした。
部屋自体ははよリノベしろよってくらい事故の痕が残っているんですが、霊が何故出てくるのか、何故頭を擦り付けるのか、何故首を噛んだり切ったりするのか、何もかもほっぽられていて怖さ0でした。
オーディション会場で霊媒師がいるとかというご都合の塊のクセに全然生かしきれていないのも勿体無いですし、前作以上に霊関係の登場人物が役立っていないのは残念でした。
この後も呪物の研究家が出てきますがそれっぽいセリフしか言わずでなんすかコレ?としか出てこなかったです。
2軒目から旅館が出てきて事故物件…?ってなりましたし、ここからもう展開がチグハグになっていきました。
どういった事故が起こったかはなんとなく分かるんですが、亭主がひた隠しにしていたり、使っちゃいけないであろう部屋を賄賂で取引したり、上階で見つけた幽霊にボコボコにされる夢を見るといったもう肩透かしの展開の連続で残念でした。
3軒目はシェアハウスでアイデアはいいなと思ったんですが、猫ババアがこんにちはしてきてからはもうフィクションじゃん…と肩をガックリ落としました。
間取りの怖さが1ミリたりともないのも残念でした。
4軒目は撮影現場で出会った春原さんの家というもう事故物件では無いんじゃない?という引っかかりもありながら、どこか「見える子ちゃん」で見たことのあるような展開になっていき、なんだか感動路線に持っていってしまったのでもう冷めっぱなしでした。
というかそれまでの行動が全くをもって辻褄が合わなさすぎてホラーどころじゃなかったです。
オチも憧れの人である勝俣さんとTV局で出会うという爽やかな感じで終わる…なんてことないのでどうなるのかなーと楽しみにしていましたが、どこからいたんですか?っていう子供の幽霊が勝俣さんの横にいるとかいうしょーもないオチでズッコケました。
勝俣さんが全速力で追いかけてくるとか、えっぐいくらい口角を上げてこっちを見てるとか、もっとやりようはあったはずなのになーんでこんなオチにしたんだろうなというガッカリ感の方が強かったです。
渡辺くんの演技はおそ松さん以外では見たことが無かったのですが、なんとも言えない感じで…。
特別下手ではないんですが、ホラーとして見るとそこまでアップ顔が怖く無かったのが残念でした。
畑芽育さんは今作のベストアクトで、アップ顔でビックリさせられましたし、キュート感じから悲哀さまでどれも強くて頼もしかったです。
今作でも中田監督らしく芸人を多くキャスティングしているんですが、しっかり役に溶け込んでいるのもあってあんまし意外性が無いですし、芸人がコメディリリーフになるわけでもないので、他業種の人材を起用するとしては微妙なラインかなと思いました。
カメが本人役でちらっと出たのは好きでした。
ホラーの2作目に当たりは少ないの法則に今作もしっかりハマってしまったなといった感じでした。
そもそも事故物件の定義を外れまくってる時点で、原作へのリスペクトも欠けているようで残念が止まりません。
ゾワっとするホラー、お待ちしてます。
鑑賞日 7/25
鑑賞時間 17:40〜19:50
