「不思議の国のアレス」トロン:アレス 酔爺さんの映画レビュー(感想・評価)
不思議の国のアレス
「トロン:アレス」 観ました。
【所感】
43年前、劇場で初めて「トロン」を観たとき、未発達なCGに暗い画面、
ストーリーも退屈で正直がっかりした記憶があります。
第2作目の評判も今ひとつだったため、未見です。
今作もタイトルが歯磨き粉っぽい感じで、さてどうかと思いましたが、
第1作目の思い出を払拭してくれる体験となりました。
まず、本作の魅力は、デジタル世界のプログラムが
現実世界に実体化する様子を、うまく映像化した点にあります。
また、いくつもの映画の要素を巧みに取り入れつつ(オマージュとして)、
独自のストーリーとして成立させていて工夫されています。
具体的には、リブート版「ロボコップ」のスーツ・ヘルメットデザイン、
「スター・ウォーズ」のスピーダーバイクチェイス、「AKIRA」のバイクアクション
(これはもともとAKIRAの方が、昔のトロンのオマージュだそうです。)、
「ザナドゥー」の光の残像表現、昭和ガメラ対ギャオス(光線で真っ二つ)、
そしてもちろん昔の「トロン」(ジェフ・ブリッジス版)などが絶妙に融合しています。
また、スピルバーグの「AI」の「人間になりたい」というモチーフもあります。
さらに、日本映画の働く細胞の設定っぽい感じもあります。
音楽面も印象的です。
80年代映画でよく使われた電子音にユーロビートを融合させたサウンドは、
作品世界と非常にマッチしていて、気に入りました。
キャラクターも魅力的です。ジャレッド・レトはジョーカーよりもはまり役でした。
もうひとりの主人公である女性科学者は、昔の梶芽衣子を彷彿とさせる雰囲気で、
その相棒はミスタービーンとマイケル・J・フォックスを足して2で割って丸くした感じ。
ヴィランは新しいスーパーマン俳優に似ており、
その母親で、懐かしの『Xファイル』スカリー捜査官も出演しています。
ただし、デジタル世界でも現実世界でも同じ姿で登場する点は、
もう少し工夫が欲しかったと感じます。
また、人間がデジタル世界に入るという、従来のトロンおきまりパターンとは逆に、
今作はデジタル世界から現実世界に実体化するプロットがメインなので、
人間がデジタル世界に入るシーンには、今作ではややあっけなく、違和感がありました。
29分ルールによる時間制限で消滅する展開もありますが、
すぐ再生されるためハラハラ感は少し控えめです。
アクションはキレがあり、プログラムたちのスーツや
武器のデザインもスタイリッシュでかっこよく、
ラスボス巨大兵器には、カニのようなかわいらしさもあります。
物語のキーワードである「永続コード」には、
オチにつながる哲学的な意味合いがあり、納得感がありました。
やや寝不足の頭で鑑賞しましたが、眠気が覚めるほどの映像体験。
上映時間も119分でナイス!
続編はあるでしょう。その際は、タイトルから「トロン」が外れて、
「アレス2」になるのではないかと予想しています。
10/12 酔爺
