「そとの人の無責任さが際立つ事件だったと思う」フロントライン じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
そとの人の無責任さが際立つ事件だったと思う
この映画はドキュメンタリー風のエンターテインメントと思う。Fukushimaと同じだね。
Fukushimaとの違いは,例のポンコツ総理が自分が主導するんだとめちゃめちゃにしたのに対し,今回は前例のないウィルスとの戦いを政治家ではなく現場の医者やクルー,官僚などが道を切り開いていく物語だったと思う。
その意味で,結城医師(小栗)は精いっぱい頑張っていたし,立松(松坂)は一見クールで四角四面な官僚かと思いきや,虚実をうまく使って周りの者たちを動かす辣腕ぶりを発揮した。こんな医師や官僚なら,きっとこの先の未来は明るい・・・はずだった。
そうだね六合医師(吹越),いたねー。確かに専門家かもしれないけど,結局この状況の経験は全くなかったことが露呈して,ただ,混乱と悪意を振りまいただけのア〇医師。
この映画では,現場の足を引っ張るヒーロー気取りのマスコミやユーチューバー,あるいは事なかれ主義と保身しか考えない政治家や官僚はあまりでてこなかった。そこはいいところ。
エンターテインメントとしてみると,映画が始まったときに感じた「チリチリとした皮膚感」は当事者だった経験が当時のことを想起するからだろうか?また,一番の盛り上がり場面は藤田総合病院に輸送する場面か?しかし緩い。事実だとしても演出次第で心に残るものになっただろうに,なぜか尻すぼみに感じた。役者はとても誠実に丁寧に演じていただけに演出的な緩さを感じた。とはいえ,ハリウッド映画のように血を吐いたり,パニックになったり,ゾンビが登場したり,殺し屋とハントの一騎打ちがあったなんてことはない。だがしかし,そこが惜しい(必要だとは言っていない)。ひたすらお仕事に徹しているだけの映画にも見える。
じゃあどうしろと?事実に近づけば地味になるし,過度な演出を付ければ嘘くさくなる。この辺が落としどころなのかな?
