「20世紀を代表する神学者「ボンヘッファー」の反ナチス活動を描いた作品です。」ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師 天空住人さんの映画レビュー(感想・評価)
20世紀を代表する神学者「ボンヘッファー」の反ナチス活動を描いた作品です。
実在のドイツ人牧師「ボンヘッファー」は、20世紀を代表する「神学者」として有名で、多くの書簡、論文等を残していますが、彼のもう一つの側面である「反ナチス活動」の方に特化して脚色し、彼の生涯を描いた感動的な映画作品に仕上がっています。
・20世紀のドイツでナチスの政治活動が活発になり、ドイツ教会の中でヒトラーをあたかも「神」のように崇める教職者(牧師たち)があらわれる中、「教会は聖域であり、権力の場ではない」と反発し、ボンヘッファーはヒトラーを神の「敵」として反ナチス活動を行っていきます。その中で、反ナチス活動としてのスパイ活動や、ヒトラー暗殺計画(といっても正犯ではなく、共犯あるいは間接的な関わりと言う感じ)に関わっていきます。
・牧師として、暗殺(未遂)に関わるという「罪」を犯す事が、結果として反ナチスという「正義」につながるという、一見矛盾する行為と思えますが、ユダヤ人がナチスによって迫害されている「事実」を把握している彼にとっては、それは「愛」であり、「正義」であったと確信していたのだと思います。また神(あるいは教会)の上に人(ヒトラー)を据える事は「偶像崇拝」であり、どうしてもできないという信念だったという事でしょう。
・ボンヘッファーの「悪の前の沈黙は悪であり、神の前に罪である」という言葉に、彼の姿勢が現れています。
・映画の中では礼拝の場面や、教職者相互の会話などで「教会用語」「聖書の聖句」が多数登場しますが、映画ストーリーはしっかりと追えますので、十分に鑑賞する事ができます。
・時系列が前後する場面や、ボンヘッファーが「ドイツ」だけでなく「アメリカ」「イギリス」に滞在しますので、そこは混同しないようにする必要があります。
・反ナチスをテーマとする映画は「白バラの祈り」「名もなき生涯」「ワルキューレ」など多数ありますが、この映画もその領域に属する新たな映画作品であると思います。
・公開初日11月7日に鑑賞しましたが、その時点で上映している映画館は少ない状況です。公開拡大を強く望みます。
