「政治のメタファーとして観た」Flow じゅんぢさんの映画レビュー(感想・評価)
政治のメタファーとして観た
ラトビアの映画を観るのは初めてではないだろうか?
ほぼ予備知識無しでの鑑賞だった。
19‐20世紀初頭に人類が滅んだような設定は新鮮。場所は海が近いからやはりバルト海周辺だろうか。
主人公の猫はラトビアであり、船に一緒に乗る動物たちはバルト三国や周辺のEU諸国、洪水は戦争を意味し、クジラはロシア。そんなメタファーを想像しながら鑑賞した。
ただバルト三国におけるラトビアの位置付け、ロシアの支配と脅威、ドイツ、フランスなどEUとの関係など、ヨーロッパ史と現代社会の知識があまりにも無いので、この映画の半分も理解できなかった。
なので映画の出来だけの視点からだけで見ると、セリフ一切無しの動物アニメなのに、微妙な擬人化はちょっと中途半端。セリフが無くても完全に擬人化した方がスッキリしたと思う。ストーリーはまずまずなのだけど、編集が間延びしていて眠気を感じる事もしばしば。
しかしヴィジュアルと音響は圧巻のクオリティで、仮にストーリーが楽しめなかった人でも、スクリーンで体験していれば映画に夢中になれるクオリティ。モニターやスマホでの“視聴”は論外だ。
そんな小国ラトビアのアニメなのに、アニメ大国と言われてる日本アニメを圧倒するクオリティには驚いた。
歴史と情勢に高い理解力を必要とし、映画として面白いとは言い難いが、ラトビアという国を理解する手掛かりになる作品になると思う。
コメントする
