劇場公開日 2025年8月8日

「集合写真を撮ろう」アイム・スティル・ヒア Golgo14さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 集合写真を撮ろう

2025年8月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

南米の軍事独裁政権といえばアルゼンチンやチリが有名だが、ブラジルでも21年間にわたって続いていたなんて。

何も知らされずに底抜けに明るいブラジル人社会、その裏に潜む閉塞感、警察ではなく軍に理不尽に拘禁、殺害された元国会議員とその家族の悲哀、そしてその中からたくましく這い
上がった妻の心情を描いた作品。
エピローグで「何か良い事があった時は集合写真を撮るのが我が家の伝統よ」というセリフにあるとおり、ことあるごとに家族全員で撮る写真がストーリーの根底にある。

今年のアカデミー賞受賞作品であるにもかかわらず、日本での公開がこの時期まで遅れたのは何か思惑があってのことだろうか?

世界各国で民主主義の危機が叫ばれていて、特に今年に入ってからは民主主義を第一に標榜していたアメリカ合衆国にあってもそれを正面から否定するような論調が目立っている。
MAGAの連中よりも金満で凶悪なテックライトTech Rightの連中は民主主義を排し専制政治にすべきと声高に主張している。そのためアメリカのデモ隊のニュースで「No King」というプラカードがよく目に付くようになった。
専制政治の行き着く先は軍事独裁であることは明白であろう。
日本においてもアメリカの風潮を見習っている政党が伸長していて恐ろしい限りだ。
そういう意味では今回の封切は良いタイミングであったかもしれない。

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Golgo14