劇場公開日 2025年8月8日

「実際に起きたこと、その重み」アイム・スティル・ヒア yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 実際に起きたこと、その重み

2025年8月10日
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鑑賞方法:映画館

プロローグ的な部分、家族の姿、日常の風景、不穏な出だしと軍事政権の恐怖ではなく、そんなこと関係ないかのような日常
それが思っているより長く、しっかり描かれる
観ている側としては、よりこの家族に心を寄せてしまう

そこに突然、ルーベンスが連行される現実が襲ってくる

なにもわからないまま過ぎる時間、そしてエウニセも連行される
精神的にも、身体的にも、過酷な体験

具体的にルーベンスやそこにいる人たちになにが起きていたのかはほぼ描かれない
だからこそ、より恐怖をあおってくるが、残酷なシーンに支配されないのはありがたい

驚き、混乱、不安、恐怖…ネガティブな感情に押し潰されてもおかしくないのに、エウニセはそうはならない

夫がいないことで銀行からお金を引き出すことすら出来ない
夫が連行されて行方不明というだけではない、子どもを抱えた一家の生活の危機すら発生する

次第に腹を括ったようなエウニセ、そこからの行動と判断、その後の人生
この人の底力はどこからうまれてきたのか

I'm still here、私はまだここにいる
ここ、とは
それを考えながら、物語ではない、実在の人物に降りかかったこの恐ろしい現実に直面し続けた時間だった

yukarin