「「愛」と呼ばれるものを探して」LOVE 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
「愛」と呼ばれるものを探して
2024年。ダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督。ノルウェーでつくられた三部作映画の第二部。泌尿器科の女性医師と男性看護師。気の合う二人だが、病院の外で偶然遭遇したことをきっかけに、お互いに恋愛事情について語り合うことに。結婚制度に疑問を持つ女性医師は性の相手を求めながらも社会的な関係からは逃げ腰。同性愛者の男性看護師はマッチングアプリでの刹那的な関係を繰り返している。お互いに微妙に影響を与え合いながら、それぞれが「この人」という人と出会っていく、という話。
話の複層的な展開がすばらしい。女性医師にはまじめな市役所職員の友人がいて、その友人がオセロ市の記念式典を任されていて政治と市民生活の関係に悩むとか、女性医師が思い染める男の元妻がアル中で社会との関係に困難を抱えているとか、男性看護師が思い染める男がニヒルな精神科医でエイズを患うとか。主人公二人はタイプは違うが人間関係を大切にして、逃げないところがポイント。苦手な相手からコーヒーを誘われて断らないとか、苦しそうな人に自然に手を差し伸べるとか。これはノルウェー人としては普通のことなのか、この二人の特別にケア的なキャラクターなのか。この態度が事態を好転させていくのだが。
オスロからフェリーで通勤圏内の島との往復が展開にリズムを与えていてすばらしい。オスロ市庁舎の屋上や、島の住宅の屋上など高低差を生かした景観も美しい。
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