「原作をうまく整理しているが…ラストが残念」宝島 たけさんの映画レビュー(感想・評価)
原作をうまく整理しているが…ラストが残念
原作を読んだのは、もう7年前。何となく粗筋を覚えている程度で、だけどものすごい熱量と壮大な展開だったなぁという記憶はありつつ、本作品を鑑賞。
原作の記憶が薄かったためか逆に新鮮な気持ちで、しかしある程度の予備知識はあるので、かなり面白く見ることができた。エピソードの選び方も的確で、ストレスもなく特に中盤にかけてはどんどん引き込まれていった。
そしてクライマックスのコザ暴動。制作費の相当をここにかけたのだろう(出演者がインタビューで、当時のアメ車を日本に持ってくる輸送費が、購入費よりも高かったという話をしていた)、エキストラの数もちゃんと揃えて迫力を出している。
ただそこからエンディングまで、もうひと展開あるのだが(ネタばれになるので詳しく書かないが)、そこの演出がいただけなかった。それまでの人間関係描写を端折ってきたツケが回ったとも言えるけども、何だかな~という感じ。
そしてラストもあまりに説明的過ぎてすっきりしない。これも十分に伏線が張れてないからだろう。
では原作では最後、どうなっていたかと思って、帰宅後、最後数十ページだけ読み返してみたら… なるほど、これは難しい。原作でも結構駆け足に書かれていて、これはこれでご都合主義な感じである。それを何とか映画的に表現しようとした結果か。
いずれにしても原作も、最後が大感動で終わる作品ではなかったから、それを求める映画ではないのかもしれない。恐らくコザ暴動までの、沖縄がどんなに虐げられてきたか、そこに暮らす人たちはどんな思いをしていたのか、それを改めて体感する映画だし、その目的は十分に果たされていると言っていいだろう。
是非、若い人たち、沖縄のことにこれまで無関心だった人たちに見に行ってもらいたいと思う。
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