「 一見冴えない人たちの内面に潜む光る原石」まる ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
一見冴えない人たちの内面に潜む光る原石
「役に立たないとだめなんですかね」
主人公の沢田の言葉が気になった。「社会貢献」とか「人に寄り添い、人のためになる」という言葉が、メディアに溢れ、自分のことで精一杯の人間は、なにかと居心地が悪い。人それぞれ様々な事情があり、みんながみんな「世のため人のため」というわけにはいかない。最低限人に迷惑をかけなければそれでよし、という生き方だってある。
人には干渉しない。だから自分も干渉されたくない。それも一つの生き方。だから文句も言わないし、文句も言われたくない。
そんなアート志望、でもとりあえず食うためにコンビニのバイトをしている沢田。そして、漫画家になって人のためになりたいと願いながら、言ってることとやっていることがちぐはぐな横山。この堂本剛、綾野剛のコンビが、本作の肝。
一見冴えない人たちの内面に潜む光る原石。その原石が光っている様はなかなか見ることはできない。そのもどかしさを、萩上直子はいつも優しく表現してくれる。
今回は、ただ墨汁で〇と書いたようにしか見えないアートによって。
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