サブスタンスのレビュー・感想・評価
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予告を見た印象と全く違う映画だから、気をつけて!!(笑)
『サブスタンス』前夜祭で鑑賞。
冒頭のエリザベスの記念碑を食べ物を落として汚すシーンから
ラストの血で汚れたシーンがオーバーラップ感を漂わせ
それが掃除されてキレイになるっていうのがなんとも言えず
いい味を出しているなと感心した。
ラスト近くの阿鼻叫喚の血飛沫祭りは、『サスペリア』のラストを
彷彿とさせるくらい真っ赤になるし、血はもはや高圧洗浄機から
出る水レベルで噴いていて、もはやこれはギャグレベルだなと。
もう失笑した、私は。
というのも、老いを受け入れられない、自分の全盛期がいつまでも
続いて欲しい的な、不老不死を求める人間の愚かさというのは
始皇帝の時代から普遍的な欲だと思うが、
生物はそういうふうにできていないから、自然の摂理に従うしかない。
そこを受け入れると、良い人生が送れるのだろうが、ここまでくると
もはや狂気だし、もういちど言うがラストはギャグレベルだし、
悲しいし、せつない。
笑えたのはヨッボヨボのエリザベスが軽快に走り回ったり、
意外と力があったりするところ。マジでギャグ。
怖さと笑いは紙一重とはまさにこの作品にあるようなものだ。
エリザベスの最終形態は、BASTARD!の破壊神アンスラサクスをも彷彿とさせていた。
『未知との遭遇』楽曲も刺さった。というか大いに笑えた。
予告を見ただけでは、このレベルのホラー映画だとはわからない。
だから本当に完全に舐めていた(笑)スミマセン🙇♂️
後半1時間が見どころ。
予告の印象とこれほど違うと、やられた!と良い意味で思った。
私は面白かったけど、これは激しく賛否両論なのではないか。
アカデミー賞でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しているのが
スゴイ👍&納得。
クローネンバーグ味を感じられる良質なボディホラー
海外で鑑賞
若さを取り戻せる奇跡のおクスリかと思いきや、中身はバイオハザード顔負けの激やばウイルスでしたって話し。
巧みなのはそのまま若返るんじゃなくて、もう一人の自分がピチピチな状態で体内で複製されるってとこ。
今の自分と若い自分が7日おきに交代するっていうルールがあるのも面白い。
内容的にはギョエェ〜〜!!ってなるシーンの連続で、140分があっという間に感じるほど楽しかった。
デミムーアの脱ぎっぷりもよく、全身大改造してるとはいえ欧米人の60代とは思えないほどのスタイルはさすがハリウッド女優といったところ。
ちなみにマーガレットクアリーのヌードはボディダブルらしい。
他の作品見るとたしかに体が違う。
ストーリーはすごいシンプルで人物の内面とかを深掘りするような映画ではないけど、とにかく映像でギョッとしたい人にはオススメ。
あとお尻が好きなひと。
男のケツが一瞬アップで映ったり、USB渡してくる冒頭の若い医者がめちゃめちゃイケメンだったりと随所に女性監督らしさが出てたのも面白かった。
逆にこんな単純な内容でカンヌの脚本賞を取ったのは驚き。
賞を取るような脚本でもないような気はするけど...
これ、有名俳優が出てるB級映画だゾ。
クローネンバーグやカーペンター作品を彷彿とする演出は刺さる人には刺さると思う。
主人公が完全体と化したラストは哀しさと可笑しさで変な感情になった。
悲しいんだけど滑稽で笑っちゃう。
哀しさと おかしさと 気持ち悪さと。
最高のエクストリーム・ボディホラーコメディでした。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 胸糞悪いけれどもここまで突き抜けてくれたら却って爽快。コメディ映画とモンスター映画の新たな融合といえる傑作。
*2025.05.26. 2回目の鑑賞。【TOHOシネマズ橿原】
やはり現時点で私にとって今年ベストワン。
1回目はラスト近くでやや悪心を感じたが、今回はクライマックスから胸がドキドキ、ときめいて来てしまった…もしかしてこの映画に恋した…?
---これより以下ネタバレします---
何より1回目より強く感じたのが
①“物質文明”のくだらなさとそれにふりまわされる現代人の愚かさを見事に映像化。
②『ベイビー・ガール』での顔面が硬直するくらい顔をいじり倒しても美しさに固執するニコール・キッドマンに比べると、本作で顔の皺や身体の弛みをさらけ出しているデミー・ムーアに(80年代の青春スター時代を知っているだけに)開き直った女優のガッツを感じたが、まさかここまでやるとは思わなかった。
“若さ”と“(表面的な)美”という精神的なものから程遠いものに幻惑される人間の行き着くところを皮肉たっぷりに熱演。
③始終クスクスさせられたりニヤニヤさせられたり笑わせてくれたから本質的にはコメディだと思う。
クローネンパーグが入っているように思うが(『ザ・フライ』のパロディ?オマージュ?)、最後までユーモアとアイロニーとを忘れなかったところが独特か。
④どこまで行くね?と思っていたら、クライマックスのショーでの壮大な流血(というか吐血?)シャワーシーンは『キャリー』(1976年版)のクライマックスの体育館の放水シーン(というかこれもパロディ?オマージュ?)以来の壮大さというか爽快さ。
⑤最終形態は人間の押さえきれなかった物欲を具現化したもの(モンスター)だと思うけれど、女性監督だけに“美”と“若さ”に執着する現代女性の愚かさと哀しさとを痛烈に皮肉ると同時に、それを助長する男達や大衆の罪もやんわりと皮肉たっぷりに描く。(最終形態の時、ぶったぎられた頭?の後から生えてきたのが“乳房”であったところでも痛烈な皮肉)
最近、なにかいうと「劣化」「劣化」とSNSで揶揄するけれども、年取ったら劣化するの当たり前じゃない、そこの貴方・貴女、あなた達もいずれ劣化するんだから其の時に「劣化」なんて言われたらどう思う?ちなみに私は食べ物以外は何も顔やお肌の手入れはしていませんが、遺伝のせいか65歳という現代の年齢より結構若く見られます。いずれある年齢に来たら急に老けるでしょうけど…
また、フランスの監督だけあってアメリカの物質文化を皮肉っぽい目でやんわりと描いている。もちろん、物質文明の弊害はいまやアメリカだけではないけれども。
しかし、若い頃は私も21世紀の世界はもう少し物質文化・消費文化から進歩すると根拠なく思っていたけれども人間の欲望や愚かさはいつまで経っても変わらないことを実感。
⑥注射嫌い、清潔好き、血嫌い、虫嫌い、手術シーン苦手等々の人にはおぞけをふるう描写がふんだんに挿入されるけれども、スタイリッシュな映像と演出であまり気にならない。
まあ、私は注射は嫌いでもなく怖くもないし、少し汚れているくらいが快適に感じるし、血には慣れたし、虫は好きなのでスタートラインが既に違うんでしょうけど。
⑦クライマックスでヒロインに向かって「モンスター」と叫んだ観客(大衆)に対して、あなたたちこそ「モンスター」だと叫びそうになったわ。
⑦スー役の女優さん、どこかで観たと思ったら『哀れなるもの』『憐れみの三章』に出ていたアンディ・マクダニウェルの娘さん。彼女もアカデミー賞助演女優賞にノミネートされてもおかしくない熱演。
⑧“substance”は色んな意味を持った単語だけれども、本作のテーマやディテールがどの意味にも当てはまりそうで、中々奥深い題名。
「本質」をさらけ出すもの
けやき坂や乃木坂のような女性アイドルはなぜだか遅くても二十代半ばくらいでみんな卒業してしまう。中には三十路を超えて頑張っていたAKBの娘もいたが、結婚してまで続けていた女性アイドルは記憶にない。
でもSMAPや嵐はいくつになろうがアイドルは卒業しないし、結婚してもやめることもせず四十超えてもアイドルのままだ、解散はしたけどね。この違いは何なのだろうか。
男性優位社会、特にショービジネスの世界などでは女性は常に性的対象としてしかその価値を見出されてこなかった実態がある。若くてきれいなうちは周りからちやほやされるが、旬を過ぎたらお払い箱。
本作の主人公エリザベスもその例外ではなかった。かつてはオスカーを受賞したほどの女優が今ではろくに役も回ってこず、朝のフィットネスのコーナーで踊るしか仕事がない有様。
ワインシュタインの様な下劣でデリカシーのないプロデューサー、その名もハーベイからクビを宣告され彼女は絶望のあまり危険な賭けに出る。それはあまりに怪しい薬品投与による若返りの手段だった。
思えば彼女も外見だけで女性を判断する男社会の価値観にどっぷりとハマっていた。かつてのオスカー受賞が若さだけでなく彼女の実力で勝ち取ったものなら今からでもオーディションを受けるなりして役をつかみ取り返り咲きを狙うべきだった。実際に今回の主演を演じて返り咲いたデミ・ムーアのように。しかし彼女は外見だけで人の本質を重視しようとしない男たちの考えに染まりすぎたために危険で安易な方法へと向かってしまう。
薬の効果で若くて美しいもう一人の分身が生まれ、その分身スーはたちまちハーベイの目に留まり、スターダムへと駆け上がる。彼女はかつての栄光を再び手にしたことに酔いしれた。しかしその栄光は彼女の本質を評価したものではない、若さと美貌だけを重視した男社会の虚飾に満ちた栄光でしかなかった。そんな酔いしれた彼女はいつしか醜い本来の自分に嫌気がさしてルールを破ってしまう。
スーは自分の欲望のままにオリジナルのエリザベスから精力を奪い続ける。その姿は女性の生き血を搾るように搾取してきた男たちと何ら変わらなかった。
自分が生みだした分身に自らの人生が乗っ取られてゆく恐怖。このままではエリザベスはスーに自分が乗っ取られてしまう恐怖を感じる。
唯一今の自分のありのままを認めてくれた同級生との食事の約束をした彼女だが、スーの巨大広告を見てその美しさと自分を否応なく比べてしまう。
彼女が引き返せるチャンスはこの時だけだった。外見ではなく今の自分の本質を認めてくれる人こそが彼女にとってはなにより大切な存在だった。しかし彼女はそのチャンスを無にしてしまう。
彼女はもはや後戻りはできない。スーの欲望はとどまることを知らずエリザベスから精力を奪い続けた。
老婆のような姿となったエリザベスは強制終了を決断するが、やはりスーの美しさを前にして躊躇してしまい逆にスーに殺されてしまう。
いわゆるドッペルゲンガーを扱った作品としてはここまでは誰もが予想できる展開だが、本作はこの後のおまけともいえる展開が凄まじい。
自分のオリジナルを殺したスーはあくまでも影法師であり、破滅するしか道はない。しかし彼女は観客誰もが予想した通り規則を破る。
初回の一度だけ使用する薬をもう一度注射してしまうのだ。ここからの展開はまさにクローネンバーグの「ザ・フライ」を彷彿とさせる。
その後のステージでの大混乱ぶりは本作のテーマをこれでもかと描ききった。彼女のモンスター化したそのおぞましき姿はまさに男社会の欲望が創り出した象徴的な姿ともいえる。ご丁寧に鼻からオッパイを吐き出していたし。
本作は男性優位社会がいままで女性に対して人としての価値を評価せず、ただ外見ばかりを重視してきた結果生み出されたモンスターの姿を通して彼ら男社会の本質、サブスタンスを見事にさらけ出した。
痛烈な風刺が込められた怪作。あのモンスターはそんな男社会の犠牲となった悲しきエリザベスの姿に他ならない。
そういえばフジテレビの今回の不祥事で過去にカトパンが面接のときにセクシーポーズを要求されたという話を聞いたが、まさにさもありなん。
日本にはいまだミートゥー運動が海流に乗ってたどり着くことはなさそうだ。
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