「REMEMBER YOU ARE ONE」サブスタンス 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
REMEMBER YOU ARE ONE
かつて人気女優だったエリザベスは50歳を超えて容姿の老化とそれによる仕事の減少に悩んでいた。
そんな時、ある再生医療の存在を知る。
その名は「サブスタンス」。
疑いながらも彼女がその薬に手を出した時、誰も信じられない結末へのカウントダウンが始まった。
いやいやいやいやいや!!超絶大傑作!!!
今年ベストはほぼ間違いなし。
これ覆すのはかなり難しいでしょ。
もうね、愛。大好きです。
それだけでもいいんだけどとりあえずレビューします。
※久しぶりの長文レビュー!
みんなが散々グロいとか煽るから流石の私も結構身構えてたけど思ったよりもだった。
むしろ直前で予習してた同監督の『REVENGE リベンジ』の方が痛い描写がキツかった。
本作で1番キツかったのは目玉かな。
あんなの思いつくの天才だし、パンフ買うまで全然気づかなかったけど、ポスタービジュアルも目分裂してる!
結局この映画の正体はみんなが大好きな映画愛増し増し映画だったんですよ。
これ書いたらネタバレになっちゃうけど、書かずにはいられないからネタバレレビューにしたけど、これはクローネンバーグでありリンチでありキューブリックでありヒッチコックでありカーペンターであり……
今どきありがちなルッキズムホラーかと思いきや、核の部分には往年の名作や名監督たちの遺伝子がギュッと詰まったそんな映画。
これこそ真の映画だと言いたい。
さらに腕のある監督がやりたいことを思う存分できているからこそ、とてつもなく良いものが仕上がっている。
『イレイザーヘッド』から『バスケットケース』をやり始めちゃうもんだから、もう最後は笑顔と涙が止まらなかった。
ありがとう、本当に。
この映画の素晴らしいところは、あくまでも脚本や映像、劇伴などは最高に出来上がった映画だというところ。
ただ奇を衒ってるとかやりたい放題とかそういうわけじゃ無い。
ちゃんと映画として完成度が高いのが面白い。
最後にやってることはB級ホラーでしか無いのに中盤までの積み重ねがあるから、みんなただのアホなB級ホラーだとバカに出来ない感じが、監督の策略にまんまとハマった感じがして悔し嬉しい。
ルッキズムに対する究極のアンサーでもあると思う。
やはり『プロミシング・ヤング・ウーマン』的な映画を想像もしたが、似ているようでアプローチが全く違う。
社会問題、特に女性の問題を扱った作品は真面目に鑑賞者へ問題提起しがちな気がするが、私個人的にはこれくらいぶん投げてくれた方が刺さるし、同時に映画としても楽しめる。
だからこそ本作は笑って観たい。
ちなみに私は、こんなに映画館で笑ったのは初めてなんじゃないかってくらい笑えた。
周りもいるしもちろん大声あげて笑うことはできなかったけど、笑いが止まらないってこういう時に使うんだなって。
もちろん途中まではしっかりホラーで、怖いところはかなり怖かった。
そして、あの伝説のクライマックスからはずっと口角上がりっぱなし。
クレジット中はもちろん、劇場を出ても1人ずっとニヤニヤが止まらなくて、多分周りから見たら普通に気味悪かったと思う。ごめんなさい🙏
『REVENGE リベンジ』同様画づくりも非常に魅力的。
洗練された高級感ある背景に対して人間の内側から溢れる様々な汚さが映し出されるこのギャップ。
見たことあるようで見たことのない新鮮な映像だった。
第一、ファーストカットからして厳つい。
YouTubeで調べてたら海外のメイキングがあってかなり面白い。
こういうクリエイティブな現場はすごく楽しそうで羨ましい。
ストーリーには騙された。
どおりで全く掴みどころの無い予告だったわけだ。
日本のダサいプロモーションに関しては苦言を呈したいところだが、予告の情報量を最大限に減らしてくれた点は感謝しかない。
今出ている本予告はそこそこネタバレがあるんだけど、公開前は特報しか見てなかったからちょうど良かった。
この特報の情報量のおかげで、「サブスタンス」の仕組みも危険性も展開も全く予想とは違うものだったし、未知なる展開にワクワクしながら観ることが出来て大満足。
デミ・ムーア。
全然知らなかったけど、彼女自身かなり壮絶な人生を歩んでいる。
養父は自殺、実母は犯罪者。
幼い頃には性的暴行を受け、17歳で結婚、演技の道に進むも薬物とアルコールの依存症に長年苦しんだ。
結婚と離婚を繰り返し、様々な噂からバッシングを受けることもしばしばあったようだ。
本当にここまで生きてくれて、最高の演技を届けてくれてありがとうと言いたい。
『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』での全身整形疑惑や『G.I.ジェーン』での坊主姿など、躊躇のない役づくりで体当たりの演技を見せる役者だということは意外に知らなかった。
そんな彼女が演じたのがエリザベス。
なかなか感慨深い。
そして、マーガレット・クアリー。
とんでもない逸材だった。
登場した瞬間、本気でAIかと思ったくらいに美しすぎる。
人間の美を超えた引き込まれるような美しさがある。
その美しさ故に、スーの凶暴性に良い意味で違和感が生まれて正体不明な存在感が堪らない。
改めてこの映画はこの2人じゃなかったらあり得なかった。
2人ともスタイル良すぎ、体綺麗すぎでずっと見てられる。
エロティックというよりもボディとしての魅力って感じ。
そして監督のコラリー・ファルジャ。
こういう映画を撮れる女性監督がいてくれることが嬉しい。
ハリウッドや映画というもの自体の一般常識に、全力で中指立てるかのような反骨精神が大好き。
今後大注目の監督である。
鑑賞数時間前に予習として『REVENGE リベンジ』を観ていた私しか気付いてないと思うけど、スーの⭐︎イヤリングだけど、リベンジのジェニファーも⭐︎イヤリングしてるんだよね。
気づいた時ちょっと嬉しかった。
絶対におすすめできないけど絶対におすすめしたい、年間ベストどころか人生ベスト級の超絶大傑作。
感動と余韻が収まらなくてレビューに3日かかっちゃった。
でももう既に体がサブスタンスを欲している。
全然1週間持たないよ。
また接種しなくては!
例外は無いのだけれど。。。
