「彼の痛み」国宝 みみさんの映画レビュー(感想・評価)
彼の痛み
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周囲の評判が高く、「映像が美しいから絶対映画館で観た方がいい」と勧められ、足を運びました。
演技力に対しての評価は★5です。
ただし、作品そのものに対しては、正直★1をつけようかと悩んだほどです。
物語の中盤、あまりのしんどさに途中退室を考えた瞬間もありました。
一番深く傷ついていたのは、喜久雄のはずなのに。
なぜか周囲の人々のほうが、彼以上に「傷ついた表情」を浮かべ、「怒り」を向けてくる。
誰も、彼の痛みに触れようとしない。
誰一人として、「どうしてそんな選択をしたのか」を見ようとしない。
傷つける側だったのではなく、ずっと“傷つき続けてきた人間”だったのに。
喜久雄が口にした「悪魔との契約」という言葉は、
彼の覚悟の言葉のように感じました。
悪人になりたかったわけじゃない。
狂人になりたかったわけでもない。
ただ、
純粋に歌舞伎を愛せる自分がいて、
どんな自分でも無条件に支えてくれる人がいて、
つらいことがあっても乗り越える度に笑い合える日常が欲しかっただけ。
でも現実は絶望の果てに立っていて、悪魔と契約するしかなかった。
結果だけを見れば、「映像が素晴らしい作品だった」「喜久雄が世界一になってよかった」と言う人も多いでしょう。
でも、この作品に刻まれていた
孤独と痛みの深さを、
一体どれだけの人が本当に感じ取っているのでしょうか。
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