「横浜流星の演技力が光る」正体 ぽよのすけさんの映画レビュー(感想・評価)
横浜流星の演技力が光る
横浜流星の演じた主人公はまるで五面相のように次々と異なる顔を見せていき、その見事な演技力によって「本当に同じ人物なのか?」と錯覚するほどの説得力があった。
彼の姿に惹き込まれつつも、物語の根幹にある「誤認逮捕」のテーマが袴田事件を彷彿とさせ、冤罪が人生を狂わせる現実の恐ろしさを突きつけてくる。
主人公が見せる優しさや人間味に「信じたい」という気持ちを抱く一方で、「やはり怪しいのではないか」と疑う気持ちも消えず、心の中に二つの感情が同居する。各章で少しずつ浮かび上がる人物像と、最後に明かされる真実は胸をぐるぐるとかき回し、ヒューマンドラマの温かさと社会派サスペンスの重さがせめぎ合う、余韻の深い作品だった。
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