「レトロな味わいは楽しめるが、前半の展開が後半に活かされていない」港のひかり tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
レトロな味わいは楽しめるが、前半の展開が後半に活かされていない
冒頭の東映のマークと相俟って、昔の任侠映画のようなレトロな雰囲気が味わえるし、令和の時代には、かえってそれが新鮮にも感じられる。
木村大作による、冬の日本海の寒々とした漁村の風景や荒波の様子だけでなく、雲やら夕陽やらのインサート映像の美しさも印象に残った。
足を洗って漁師として働いている元ヤクザが、盲目の少年と心を通わせ、彼の目の手術のために覚醒剤の代金を強奪して、刑務所に入るまでの前半は、ベタな展開ながらも、それなりに興味を持ってストーリーを追うことができたし、後半に向けた期待も高まった。
ところが、主人公の元ヤクザが、12年後に出所してからは、徐々に筋立ての荒さが気になってくる。
少年が刑事になるのは良いのだが、警察官になったら、まず真っ先に、彼が元刑事だと思っている主人公のことを探し始めて、主人公から聞いたエピソードをヒントにして、いずれ、定年退職した刑事に行き着くのではないかと思われるのだが、そうした気配がまったく感じられなかったことには、違和感を覚えざるを得なかった。
それでも、主人公と若い刑事は、どれだけドラマチックな形で再会するのだろうかと期待していると、若い刑事が、主人公のことを、元ヤクザだと知った直後に、警察のデータベースからあっさりと見つけ出してしまったり、自分が出した手紙を届けようとする人物を尾行して、いとも簡単に主人公の居場所を突き止めてしまったりして、完全に肩透かしを食らってしまった。
若い刑事は、主人公の顔を知らなかったので、主人公に会っても気が付かず、声を聞いて初めてその人だと分かったり、そうとは知らずに、元ヤクザの主人公を逮捕しようとしたりするのではないかと予想したのだが、そうした「顔を知らない」という設定を活かした展開が無かったことにも、物足りなさを感じざるを得なかった。
ラストで、主人公がヤクザ達に呼び出され、殺されそうになっているところに、たった1人で乗り込んでくる若い刑事は、余りにも無謀で軽はずみだし、敵を制圧する前に、負傷者の救護に当たろうとする若い刑事の行動も、間が抜けているとしか思えない。これでは、みすみす殺されに来ているようなもので、その後の、あり得ない逆転劇も、単なる「拳銃ごっこ」にしか見えなかった。
実際の吹雪の中で、若い刑事が主人公に手錠をかけるラストシーンにしても、確かに「絵的」には美しいのだが、「どうして、わざわざこんなところで」という疑問の方が強かった。
何よりも、「誰かのために生きる」ことから生じる「強さ」が、主人公から若い刑事へと引き継がれたように感じられなかったのは残念としか言いようがなく、例えば、ラストは、「若い刑事が、恋人を守るために命を懸ける」みたいな展開にできなかったものかと思えてならない。
それから、友情出演の岡田准一はまだしも、せっかく外見を激変させた斎藤工(最初は誰だか気が付かなかった!)に、ほとんど活躍の場が無かったことも、「無駄遣い」に思われて残念だった。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
