いまや国民的人気を誇る2大ロボットアニメ「ガンダム」と「エヴァンゲリオン」。昨年は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」が公開されて大ヒットを記録し、今年はガンダム19年ぶりの完全新作映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 A wakening of the Trailblazer」が9月18日公開と、映画界にもその人気は波及している。さらに、昨年夏お台場を熱くした等身大ガンダムが装いも新たに静岡に登場し、同時に富士急ハイラインドにも等身大のエヴァンゲリオンが出現。映画.comマガジン9月号は、話題に事欠かないこの2大ロボットアニメを大特集!
2大ロボットアニメ ガンダム&エヴァ 比較

1979年~80年
1作目「機動戦士ガンダム」(ファーストガンダム)TV放映

1981年~82年
劇場版「機動戦士ガンダム」3部作公開

1985年
2作目「機動戦士Zガンダム」TV放映
以降、TV、映画、OVAなど様々な形態で作品が発表されていく

1988年
初のオリジナル劇場版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」公開

2010年
19年ぶりオリジナル劇場版「機動戦士ガンダム00」公開

作品の歴史

1995年~96年
シリーズの原点「新世紀エヴァンゲリオン」TV放映

1997年
劇場版「シト新生」「Air/まごころを君に」公開

1998年
劇場版「DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」公開

2007年
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」公開

2009年
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」公開

宇宙移民が実現した未来世界が舞台。「宇宙世紀」と呼ばれる年号が用いられる。1作目「機動戦士ガンダム」は宇宙世紀0079年が舞台で、それ以降の物語も続々。アムロ・レイや宿敵シャア・アズナブルをはじめ、主人公は広大な宇宙空間での生活に適応するため洞察力や認識能力が拡大した人類「ニュータイプ」である場合が多い。それゆえの苦悩や葛藤、人間同士の戦争を描く。別世界観のシリーズも多数。
作品概要
西暦2000年に起こった地球規模の大災害「セカンドインパクト」から15年後、2015年の日本が舞台(「新劇場版」ではセカンドインパクトから15年後というだけで具体的な年号の言及はない)。現在の芦ノ湖北岸付近にあたる架空の都市「第3新東京市」を舞台に、ナゾの敵「使徒」と、それを撃退するために建造された「エヴァンゲリオン」(通称EVA)に乗る主人公の少年・碇シンジらの戦いと成長を描く。TV最終話は主人公の内面世界が描かれて終了となり、賛否両論。
富野由悠季
1941年生まれ。1964年に虫プロ入社。手塚治虫による初の国産アニメ「鉄腕アトム」で演出や脚本にもかかわる。近年、アニメ制作はごぶさた。“富野節”と呼ばれる独特のセリフ回しが有名で、本人も「アニメなんて見るな」など名言多数。それゆえか講演会などにも顔を出すことも多々。富野以外が監督したガンダム作品でも、必ず原作としてクレジットされる。
クリエイター
庵野秀明
1960年生まれ。宮崎駿の下で「風の谷のナウシカ」にアニメーターとして参加し、巨神兵の原画を手がけたことは有名。1984年のガイナックス設立に参加。「エヴァ」以降は実写映画の監督も。2006年に自身のスタジオ、カラーを立ち上げ「新劇場版」4部作に着手。当初発表された予定より遅れながらもマイペースに新劇場版を製作中。3作目「Q」はいつ?
20(TV、映画、OVAなど映像化されたもの)
主なシリーズ数
2(TVシリーズ+旧劇場版、新劇場版)
ガンプラ
ガンダムのプラモデルの総称。1980年に発売された「1/144 ガンダム」以来今年で30周年。計4億個を売り上げている。
ヒット商品
パチスロ
2004年に「CR新世紀エヴァンゲリオン」が誕生。大ヒット機種となり、これで初めてエヴァに触れたファンも多いという話も。

登場するロボットは「モビルスーツ」と呼ばれ、軍などが所有する兵器として描かれる。「ガンダム」の名を冠するモビルスーツは、戦局を左右するほどの力を持つ最新鋭機。主人公のガンダムは物語後半で後継機への乗り換えがお約束。近年の作品では一作品に複数のガンダムが登場する。

・大きさ
1作目のガンダムの18メートルが基本で、以降のガンダムもおおむね18メートル前後。JR東静岡駅前に建造された等身大「リアルグレード 1/1 ガンダムプロジェクト」も、もちろん18メートル。

主役メカ

作中での正式名称は「汎用人型決戦兵器」。EVAはロボットというよりも人造人間に近い。搭乗者との「シンクロ率」の高さにより能力が左右される場合も。搭乗者の意思と関係なく暴走するなど、人間の手に負えない部分が多々あり。

・大きさ
正式な設定はなく、おおむね40~200メートルで描かれる。これは特撮好きな庵野監督が、その都度、見栄えのする演出を行うため、正式な設定をしなかったから。富士急ハイランドの「EVANGELION:WORLD 実物大初号機建造計画」は胸から頭までの胸像で高さは9メートル。

生誕20周年を記念し日米合作の実写テレビムービー「G-SAVIOR」が製作。2000年にテレビ朝日系列で放映された。人物は俳優が演じ、モビルスーツや宇宙空間はCGで描かれた。宇宙世紀0223年、食糧危機を救うための生物発光の研究をめぐる戦いを描く。
ハリウッドへの道
2003年、日本製アニメの海外配給を多数手がけてきた米国のADV Filmsが実写化を発表。VFXを「ロード・オブ・ザ・リング」のWETAデジタルが担当するとされた。コンセプトアートなどが数点出回ったりもしたが進展はなく、ADVは09年に保有資産の大半を売却。実写化権利の行方は不透明。
ガンダムの劇場版は計15本。「ガンダム」3部作、「Zガンダム」3部作、「∀ガンダム」2部作などTVシリーズやOVAを再構成したものが多数。劇場用新作は「逆襲のシャア」「F91」そして今年公開の「ガンダム00」の3本。特に人気の高いものなどが映画化されるパターンが多いので、劇場版を見ればガンダムの歴史も把握できる(詳細は次コーナーにて)
劇場版
TVシリーズに続く劇場版が、一部内容が重複するものの「シト新生」「Air/まごころを、君に」「DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」の3作が公開。2007年から始まった、新たに物語を描き直す「新劇場版」は「序」「破」「Q」「?」の4部作の予定で、現在「破」までが公開されている。基本はTVシリーズがベース。
ガンダム&エヴァ 劇場版総まとめ

それぞれに多数の劇場版が存在する「ガンダム」と「エヴァ」。
どれから見ていいのか分からない!という人に、それぞれのシリーズをタイプ別に分類して紹介する。

TVシリーズやOVAの再編集というかたちが多く、特に人気・重要な作品については劇場版になっていることが多い。そのためTVシリーズ全部を追いかけられない人は、劇場版だけを見てもガンダムの主だった歴史が分かるのだ。

 

さまざまな世界観を持つシリーズのあるガンダムと異なり、基本的に旧シリーズと新シリーズの2系統があるのみ。いずれも原点は95年のTVシリーズにあるが、特に旧劇場版はTVシリーズの別エンディングというかたちなので、いきなり見るにはハードルが高いかも?

いずれも宇宙世紀を舞台に、かつ富野監督が自ら手がけた物語。宇宙世紀0079年のファーストガンダムから宇宙世紀0087年の「Z」、宇宙世紀0093年の「逆襲のシャア」へと続く。また、この3シリーズは通してアムロ・レイとシャア・アズナブルの関係が描かれる作品群でもある。「坊やだからさ」「これが若さか」とか言ってみたい人はまず必見。

まずはここから!
  • 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(2007)
  • 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(2009)

TVシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」を一から描き直しているので、コレだけ見てもOKな作り。「新劇場版」のヒットは、TVシリーズを当時見ていたファンが熱く盛り上がっている部分もあるが、当時を知らない人は、手っ取り早くこちらから入るのもあり。4部作構成の予定で、3作目タイトルは予定の「急」から「Q」に変更。4作目とあわせて公開予定だが、時期は未定。

「第08MS小隊 ミラーズ・リポート」は、一年戦争の裏で行われていた一般兵士たちの戦いを描く全11話のOVA「第08MS小隊」の8話までをまとめた総集編。時間軸上はファーストガンダムと同じ。「ジオンの残光」は、ファーストと「Z」をつなぐ宇宙世紀0083年を描いたOVAの総集編。「F91」は富野監督によるオリジナル劇場版。「逆襲のシャア」から30年後の世界で、新しい宇宙世紀ガンダムを描いた。いずれもアムロとシャアは登場しないが、同じ「宇宙世紀」モノとして、より深く広くその世界を楽しみたい人に。

よりディープに
  • 「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH&REBIRTH シト新生」(1997)
  • 「THE END OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」(1997)

激論を呼んだTVシリーズ最終2話を描き直すために作られた劇場版。「シト新生」はTV24話までの総集編「DEATH」と、TVとは別エンディングの25~26話にあたる「REBIRTH」の構成……になるはずが、制作の遅れで「REBIRTH」は途中までという異例の形態で公開に。あらためて25~26話を描いた完成版が「Air/まごころを、君に」だ。

ガンダムは大別すると「宇宙世紀」モノとそれ以外に分けられる。これらはいずれも「宇宙世紀」とは離れ、単体でその作品世界が楽しめるもの。「∀」はガンダム20周年の1999年に富野監督が手がけたTVシリーズの総集編。「Endless Waltz 特別篇」は、また別世界観のTVシリーズ「ガンダムW」の続編OVA「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz」を劇場用に再編集。そして「ガンダム00」も、それまでのシリーズとは切り離された最新TVシリーズとして発表。その完結編として、完全オリジナル劇場版が9月18日公開となる。ちなみに、総集編やリメイクをのぞく完全新作のガンダム映画は「F91」以来19年ぶり。

いよいよ公開!「劇場版 機動戦士ガンダム00」水島精二監督&勝地涼インタビューはこちら!

シンプルに完結
  • 「REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」(1998)





「DEATH」をさらに再構成した「DEATH(TRUE)2」と「Air/まごころを、君に。」あわせた劇場版。これでTV24話の総集編+25~26話を一気に見ることが可能だが、「DEATH」は総集編とはいえ、構成がかなり複雑なので要注意。

映画.com x アキバ総研 座談会

日々、日本アニメカルチャーの聖地・秋葉原の動向を探っているアキバ総研のスタッフと、
映画.comのガンダム&エヴァ好きが集まり、両者の魅力について語り合う座談会を開催した。
夜の会議室で繰り広げられた、オタクたちのディープな作品論をお楽しみあれ。

  • K田:冷静かつ情熱的に両作を見つめてきたカカクコム・メディア系担当部長。30代
  • G田:本日唯一の20代。秋葉原のトレンドを追う「アキバ総研」記者。
  • S木:リアルタイムで旧エヴァにのめり込んだカカクコムのシステム担当。40歳。
  • O保:劇場初日に駆け付ける実践派でカカクコム・システム設計者。30代。
  • A上:リアルタイムでガンプラ購入に並んだ、アラフォー編集者。本日の司会進行。
  • N村:映画.comのシステム・エンジニア。エヴァの資料なら任せとけ!の30代。
果たして、“ガンダム vs エヴァ”は成り立つのか?
A上: それでは今回、「ガンダム vs エヴァンゲリオン」ということで、その魅力を語っていければと思うんですが、皆さん、どちらが好きなんでしょう? “ガンプラ”に夢中になった大人を魅了する等身大ガンダム
一同: うーん……。
S木: 一口にガンダムといっても、劇場版、TVシリーズともに多いですからね……どれに絞っての話かで好みも変わってきますから。でも、“ガンプラ”に夢中になっていたのは大きいですね。
K田: 僕は「ガンダム派」ですけど、世代的なものもあると思いますよね。このメンバーの中で20代というと、G田1人しかいなんですが(苦笑)。
N村: 僕は「エヴァ派」なんですが、“人が乗ってロボットを動かす”というリアリティを一番最初に感じたのが「ガンダム」なんです。
A上: それまでのいわゆる子ども向けの“ロボットアニメ”とはまったく違うドラマやリアルな設定を持って登場したのが「ガンダム」。皆さん、そのインパクトは充分に受けてきているということなんでしょうね。基本的に、「ガンダム」が好きな人は「エヴァ」も好き、「エヴァ」が好きな人は「ガンダム」も好きってことなんでしょうね。あはは……すでに“ガンダム vs エヴァ”って構図での座談会はできないって感じになっちゃいましたね(苦笑)。
モビルスーツありきの「ガンダム」とキャラクターが命運を握る「エヴァ」
A上: 本放送時は子どもに受けなくてオモチャが売れず、打ち切りになってしまったというのがファーストガンダムなんですが(放送終了後に製品化が開始されたプラモデルが大ヒット)、高校生、大学生がドラマに惹かれて注目していたという事実がありますよね。子どもが見ていなかったというのは、「エヴァ」にも共通するんじゃないでしょうか?
K田: 確かに「エヴァ」は、子どもが見ても分からないでしょうね。ある程度の知識がないと。
S木: そうはいっても、「SEED」や「00(ダブルオー)」といった最近のガンダムは見ていて疲れます。美形キャラクターが総登場で……女性ファン向けに作っているんじゃないかと思いますよね。
G田: バンダイのガンプラのCMが、実質的な本編だという話も(笑)。
S木: 「ガンダム」はいくつものしがらみによって作られているような印象がありますね。「エヴァ」の方が、作りたいものを作りたいように作っていて、それを気に入った人が見ているというか。
O保: 「エヴァ」は当初のスポンサー探しも大変だったみたいじゃない。結局オモチャメーカーとしてはセガが付いたけど……セガはホントに見る目があるんだかないんだか(笑)。
A上: 「ガンダム」はガンプラが30年続いて一大市場を形成していますが、「エヴァ」はどうなんでしょう?
G田: プラモデルというよりは、フィギュアがコンスタントに出ていますよね。キャラクターのグッズが多い。食品系とのコラボ製品も目立ちます。
K田: 「ガンダム」はロボット=モビルスーツありきという感じがしますよね。それに対して「エヴァ」は、登場するエヴァンゲリオンや使徒も含めて“キャラクター”ですね。
A上: 「ガンダム」はオモチャ会社の制約がすごく厳しい時代にスタートしていて、そのことによって結果的に強烈にロボットが立った作品になった。それがいまだにファンを魅了し続けている理由なのかもしれませんね。強固な世界観が確立されているから、誰が作っても「ガンダム」になるといいますか。アムロやシャアの物語じゃなくても、ちゃんと成立する、と。
K田: 反面「エヴァ」は、キャラクターに負うところが多いですね。シンジや綾波、アスカ以外のキャラクターは考えられない。もしかしたらそこが「エヴァ」の限界かもしれません。シンジたちに飽きてしまったらもう人気は終わってしまうというか。
A上: そういう意味で、「ガンダム」を作った富野由悠季監督はすごいなと思うんです。普通は主要なキャラクターはそのままに続編を作っていくのに、あえてそれをやろうとしない。ファーストガンダムの続編の「Zガンダム」を作ったときは、かなりスポンサーサイドとのせめぎ合いがあったらしいですが、その後の「ガンダムZZ(ダブルゼータ)」「Vガンダム」にしろ、もうアムロもシャアも関係ないわけですよ。
K田: (序盤コミカルな)「ZZ」であれだけ無茶をやったのが、その後の“なんでもOK”という展開を生んだのかもしれませんね。「エヴァ」なら考えられない。富野監督は本当、一度作ったものはもう振り返らないというか、突き放し方がすごい。完全に否定するまでしちゃう人ですもんね。ある意味、いまの我々カカクコムの仕事のやり方に近いかも(笑)。
G田: とりあえずやり切ったはいいけど、後からまた別のものを作らないといけなくなっちゃうとか(笑)。
一同: (爆笑)
S木: 「ガンダム」はそれに、富野監督が実際どこまで作っていたのか? ということもあると思います。さっきの話じゃないですが、しがらみも色々あるでしょうし。「エヴァ」の場合は、ガイナックスという少数精鋭のクリエイター集団が制作して、(庵野監督の盟友でキングレコードの)大月俊倫プロデューサーが間に入って、とにかく庵野監督がしがらみに巻き込まれないようにしました。自分たちで決めていけた結果、非常に濃いものができたんだと思います。
いよいよ9月に公開!「劇場版 機動戦士ガンダム00」
A上: さて、この秋には「00」の劇場版「機動戦士ガンダム00 A wakening of the Trailblazer」が控えていますが、
皆さんはどうされるんですか?
G田: 実は……10月の「ガンダムUC(ユニコーン)」第2話の方が気になってます(汗)
K田: 僕は「SEED」とかは見てなくて、「00」で久しぶりにシリーズを見たんですね。SF設定がなかなかリアルで、ファースト世代にも充分楽しめる作品でしたね。ですから、劇場版も観に行こうかなと思ってます。
S木: 私は、TVシリーズを全部見てないので……。それに劇場に足を運ぶなら、やっぱり「エヴァ」の方が気合いが入っちゃいますね。
O保: えー? そうなの? 俺は劇場版「Z」のときは、会社のサーバーが落ちて慌てて対応してたときだったけど、終わったらそのまま行きましたよ。「UC」の第1話も、劇場に2回行ったもん! 「00」も初日に行っちゃうかも(笑)。
A上: おっと、ここで思わぬ伏兵が(笑)。実は映画.comで、「00」の水島精二監督にインタビューしているんですが……いままでのガンダムからすると、「え! そっちの方向に行っちゃうんだ!?」っていう驚きの展開になるっぽい。
N村: まさか……(意識を共有させる)GN粒子を触媒にした“人類補完計画”的ななにかが!
一同: (爆笑)
A上: それは本編を楽しみに待ちましょう。
O保: あと、東静岡のガンダム立像と富士急ハイランドのエヴァンゲリオン胸像! あれはぜひ行っておくべきです!