「スター・トレック」「ターミネーター4」「トランスフォーマー/リベンジ」――今年5月末から6月末にかけて続々日本公開される3つのSF大作には、ある共通点がある。それは、すでに確立されている神話大系を新たなドラマに甦らせていること。そしてその過程で、どうやら3作ともオリジナル作品誕生時の“初心”に立ち帰る作品になっているらしい。「スター・トレック」はオプティミズムに満ちた未来世界を、「ターミネーター4」は謎解きのあるタイムトラベルSFを、「トランスフォーマー/リベンジ」は観客の分身としてのロボットたちを描いていくようなのだ。

「スター・トレック」
 まず、5月29日公開の「スター・トレック」が描くのは、日本では「宇宙大作戦」の名で放送されたシリーズ第1作の“前”。後にUSSエンタープライズ船長となる青年ジェームズ・カークが、人類最後のフロンティア、未知の宇宙を探索に向かうという夢と希望に満ちた世界が描かれていく。

 予備知識なしに見ても楽しめるSFアクションになっているはずだが、従来の設定をどう踏まえて、どうアレンジしているのかも興味深いところ。例えば、カーク船長は「若い頃から優秀だった」が定説だが、本作の彼は、能力は優れているが権威に従うのを嫌う問題児。後に生涯の友となるスポックとも対立してばかりいるのだ。

 また、オリジナル作でスポックを演じたレナード・ニモイがタイムトラベルという設定で後のスポック役で登場したり、オリジナル製作時に放送されず、後に別のエピソードに再編集された最初のパイロット版の主人公、クリストファー・パイク船長が登場するなど、オリジナル作ファンへの目配せも抜かりない。

 監督は「M:i:III」でもTVシリーズを踏まえた映画化が好評だったJ・J・エイブラムス。そのオリジナルのアレンジぶりに期待大だ。


「ターミネーター4」
 一方、6月13日公開の「ターミネーター4」はシリーズで初めて“未来”が舞台。ジャッジメント・デイ後の2018年、ジョン・コナーは僅かに残った人類を率いて革命軍を組織、人工知能スカイネットの人類支配に抵抗して戦いを繰り広げている。そんな彼の前に、過去の記憶を失った謎の男マーカスが登場、彼の皮膚の下はマシンで出来ていた。マーカスはスカイネットが送ってきた敵なのか、それとも未来の革命軍が送ってきた味方なのか。ジョン・コナーはそれを判断しなくてはならなくなる。「ターミネーター」本来の魅力である“タイムトラベルSF”という要素を活かした、謎解きストーリーが展開されていくのだ。

 また、「1」ではサラ・コナー救出、「2」では少年ジョン・コナー救出が描かれたが、「4」ではジョンの父カイル・リースの救出が描かれて、救出の輪が一巡するというキレイな構成になるらしい。カイル・リースは本作ではまだ若い革命軍の兵士で、「スター・トレック」では乗組員チェコフに扮するアントン・イェルチンが演じている。

 ちなみにドラマは「ターミネーター3」に続くもの。「3」で登場したジョン・コナーの幼なじみケイトは「4」でも登場、ジョンの妻になっている。監督は「チャーリーズ・エンジェル」のマックG。ド派手なアクションを見せてくれるのは間違いない。


「トランスフォーマー/リベンジ」
 そして6月20日公開の「トランスフォーマー/リベンジ」は前作の2年後が舞台。高校生だった主人公サムは、大学に進学。家族の元を離れて、新たな環境に自分を適応させていこうとする。これを、ロボット生命体トランスフォーマーたちが、故郷の星を離れて地球という新環境に適応していこうとする姿に重ねて描くのが、今回のポイント。思えば、「トランスフォーマー」のアニメや玩具に夢中だった子供時代、誰もが無意識のうちに自分をロボットに投影して同化していたはず。そんな子供時代の気持ちを踏まえたドラマを試みているのだ。

 また今回のストーリーでは、トランスフォーマーたちの地球での歴史が明かされていく。その解明を巡って、パリ、ロンドン、上海、ヨルダンへと舞台は広がり、クライマックスはエジプトのギザのピラミッドで展開される。そして、登場するトランスフォーマーの種類も一気に増加。前作では13体だったが、今回は40体以上登場する。舞台の広さも、キャラの数もかなりスケールアップした続編なのだ。

 監督は前作と同じマイケル・ベイ、脚本も前作と同じアレックス・カーツマンとロベルト・オーチー。実はこのコンビは「スター・トレック」の脚本も担当。2人は、「スター・トレック」にスポック役で出演したレナード・ニモイに本作への声の出演をオファー。これはニモイがかつて「トランスフォーマー」アニメ版に声の出演をしていたことと、ニモイの妻はマイケル・ベイ監督の叔母でもあることを踏まえてのオファーだったが、これはどうやら実現しなかったようだ。

 さて、この3作のうち、一番見たくなった作品は? 「ターミネーター4」 「スター・トレック」は映画.comで予告編を公開中だ。



「スター・トレック」
原題:Star Trek
監督:J・J・エイブラムス
脚本・製作総指揮:アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー
製作:J・J・エイブラムス、デイモン・リンデロフ
原作:ジーン・ロッデンベリー
撮影:ダニエル・ミンデル
音楽:マイケル・ジアッキノ
美術:スコット・キャンブリス
製作国:2009年アメリカ映画
配給:パラマウント
スタートレックをもっと詳しく
「ターミネーター4」
原題:Terminator Salvation
監督:マックG
脚本:マイケル・フェリス、ジョン・ブランカート
製作国:2009年アメリカ映画
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
ターミネーター4をもっと詳しく
「トランスフォーマー/リベンジ」
原題:Transformers: Revenge of the Fallen
監督:マイケル・ベイ
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
製作:ロレンツォ・ディボナベンチュラ、イアン・ブライス、トム・デ・サント
脚本:アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、アーレン・クルーガー
製作国:2009年アメリカ映画
配給:パラマウント
トランスフォーマー/リベンジをもっと詳しく