ハンコック書き下ろし記事

「ハンコック」はアメコミ・ヒーロー映画ではありません。オリジナル脚本による映画であり、コミック原作ではないからです。
 しかし、製作発表当時から、アメコミ・ファンの間でも話題になっていました。まずウィル・スミスの出世的ヒット作「メン・イン・ブラック」はアメコミ原作であり、彼自体がアメコミ映画との相性がいいと思われていたこと。また、この作品のプロット自体が、アメコミ・ヒーロー映画のパロディというかオマージュのように受け取られていたからです。
 実はこういう“もしもアメコミみたいなヒーローが本当にいたら大騒ぎ!”的なコメディは以前からあって、80年代の人気テレビシリーズ 「UFO時代のときめき飛行 アメリカン・ヒーロー」や最近ではユマ・サーマンの「Gガール 破壊的な彼女」がこの部類に入ります。コメディではないですがM・ナイト・シャマランの異色作「アンブレイカブル」も、ある意味、同じ着想で作られています。
 さて、この「ハンコック」ですが、予告編をみたとき、これは“不良スーパーマン”の話だと思いました。空飛ぶシーンがフィーチャーされていたからです。 多くのアメコミ・ヒーローの中で、自力で空を飛べるヒーローというのは案外少ないものです。ハルクはジャンプだし、アイアンマンはジェット・ブーツの力を借りています。
 バットマンはケープで滑空だし、スパイダーマンは蜘蛛糸でスイング移動してるだけです。多分、もしスーパーマンがよっぱらって空を飛んでいたら面白いとか、スーパーマンがとんでもなくだらしない奴だったらどうなっちゃうだろう、みたいなことが発想の原点だったのでしょう。これはある意味、当たっていました。
 ハンコックもスーパーマン的に人助け・クジラ助けをしますが、こんななら頼まなきゃよかった!的な結果を招いてしまいます。まさに“裏スーパーマン”ですが、物語の後半から、これはむしろX-MENの話だな、と思えてきました。

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 映画の後半でハンコックの謎が明らかになってくると、ハンコックの最大の特徴が「空を飛べること」ではなく「不老不死」であり、そして過去を思い出せない孤独な男であることがわかります。
  この設定で思い出すのが、そうX-MENに登場する不死身の武闘派ミュータントのウルヴァリンです。 製作者たちは明らかにウルヴァリンを意識しています。

まず、ハンコックが着るコスチューム自体、映画「X-MEN」シリーズのコスチュームに似ていますし、ハンコックが観ようとしていた映画「フランケンシュタイン」は、ある実験によってモンスターが生まれる話ですが、ウルヴァリン自体、科学実験で生まれた現代のフランケンシュタイン的怪物。


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 ダメ押しなのは、この映画の大ラスト。悪人がハンコックのことを「このウルヴァリンもどきが!」と罵声をあびせるシーンがあるのですから!
ちなみに、ほとんどのマーベル・ヒーローの原作者でもある、スタン・リー氏が「オバマ大統領が実現したら、予定されているキャプテン・アメリカの映画の主役はウィル・スミスがいいんじゃないか」とかなりぶっとんだ発言をしました。
キャプテン・アメリカは原作では白人ですが、スタン・リー氏としてはオバマ氏が大統領になったいま、もう白人だ、黒人だと言ってる世の中ではない、といいたかったのでしょう。なので、このハンコックは、まさに、もしスーパーマンをウィル・スミスが演じていたら、もしもウルヴァリンをウィル・スミスのキャスティングで実現したら的楽しみをシミュレート出来るヒーロー映画でもあるわけです。

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  なお劇中、ハンコックのキャップ、帽子にプリントされている鳥(ラストには実物も登場)は、アメリカの国鳥ハクトウワシ。アメリカの国章にも使われている鳥で、ハンコックがアメリカン・ヒーローであることをここで暗に示しているのですね。
“裏スーパーマン”映画としてのハンコック(後編) TEXT BY 杉山すぴ豊


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人物データ ウィル・スミス

父親は冷凍機器関連の会社のオーナー。子供のころよりプリンスの愛称でラップ・ミュージックに親しみ、86年、ジェフ・タウンズとDJジャジー・ジェフ& ザ・フレッシュ・プリンスを結成、瞬く間に人気者となる。90年にはテレビ界に進出し、92年には「ハートブレイク・タウン」で映画デビューを果たす。翌 93年の「メイド・イン・アメリカ」を経て、ジェリー・ブラッカイマー製作の「バッド・ボーイズ」に主演。トップスターとなる。その後、「インデペンデンス・デイ」(96)、「メン・イン・ブラック」(97)、「アリ」(01)、「アイ,ロボット」(04)などに主演。最も稼げる黒人スターとしてハリウッドに君臨している。

作品情報

監督: ピーター・バーグ
脚本: ビンセント・ノー、ビンス・ギリガン
製作総指揮: イアン・ブライス、ジョナサン・モストウ、リチャード・サパースタイン
製作: アキバ・ゴー…

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