INTRODUCTION

  • 世界的に有名なテロ事件にまつわる実話の映画化

    2013年4月15日に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件。3人が死亡、282人が負傷※した凄惨な事件の被害者で、犯人の目撃者となり、テロリストに屈しない“ボストン ストロング”精神を象徴する存在として賞賛されるようになったひとりの男がいた。元彼女の愛情を取り戻すために駆けつけた会場で爆発に遭い、両脚を切断する悲劇に見舞われた27歳のジェフ・ボーマンだ。ただしこの男、仕事もろくにできず約束も守れないちょっとダメな男。人々からヒーローとして讃えられながらも、肉体を失った悲しみや未熟な自分とのギャップにもがき、人知れず苦悩していた。
    そんな彼を支えたのは、愛する家族や恋人、友人や命の恩人たちの存在。絶望の淵にいた男がいかにして自分の足で立ち上がり、本当の意味での強さを手に入れていったのか。これは、実在のジェフ・ボーマンが自ら綴った回顧録を基に、皮肉やユーモアを交えて描いた真実の物語。人間くさい“フツウの男”の愛と再生のドラマは、誰もが共感せずにいられないはずだ。過剰にドラマチックに描くことを避けたリアルな世界観も必見。ボストンは市を挙げて撮影に協力し、レッドソックスの本拠地、フェンウェイパークでの撮影も実現。エキストラの80%は地元の人々を採用し、ジェフの担当だった医師や看護師、義足技師も出演するなど、物語にボストンへの愛と圧倒的なリアリティを与えている。

    ※The Boston Globe調べ

  • カメレオン役者ジェイクが挑んだ究極のチャレンジは“フツウの男”

    ジェフ・ボーマンを演じるのは、メジャー大作からインディペンデント映画まで縦横無尽に活躍する実力派俳優のジェイク・ギレンホール。『サウスポー』で演じた筋骨隆々なボクサーや『ナイトクローラー』で怪演したモラルが崩壊していくパパラッチ、地球外生命体と対峙する『ライフ』の宇宙飛行士など、近年の作品を並べるだけでも個性的な役が続くが、本作は、身体と心に大きな傷を負ったフツウの男を熱演。義足を装着し信じられない演技で、ジェイク史上最もチョイダメな平凡な男が最大の試練に立ちあがる姿が描かれる。
    彼は実際のジェフと時間をかけて交流し、決してモノマネではなく、根底にある人間性や弱さまでも繊細にすくいあげた。物語に心底惚れ込んだジェイクは、本作を新しく立ち上げた製作会社ナイン・ストーリーズの第1作目に選び、プロデューサーとしても深く作品に関わっている。ボストンマラソンに出場していたジェフの元彼女で、後に結婚することになるエリン・ハーリーを演じたのは、カナダ人女優のタチアナ・マスラニー。テレビシリーズ「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」で様々なクローンを演じわけ、2016年のエミー賞ドラマ部門主演女優賞を受賞。本作でもただ美しいだけではなく、ジェフを力強く導いていく、勇敢なヒロインを魅力的に演じている。ジェフの母親パティを演じたのは、イギリス人女優のミランダ・リチャードソン。ジェイクたっての願いでキャスティングされ、息子への激しい愛情にあふれ、一筋縄ではいかない矛盾する女性になりきった。他にもジェフの父親であり、パティの元夫であるビッグ・ジェフに『ハイランダー/悪魔の戦士』や『ショーシャンクの空に』などに出演するベテラン俳優のクランシー・ブラウンが扮するなど、力のある俳優陣が脇を固めている。

  • ボストンが街を挙げて映画を応援!!

    メガホンを取ったのは『スモーキング・ハイ』や『セルフィッシュ・サマー ホントの自分に向き合う旅』のデヴィッド・ゴードン・グリーン。そしてジェフの回顧録を迫力のある脚本に仕上げたのは「グレイズ・アナトミー」や「THIS IS US 36歳、これから」などのテレビシリーズに俳優としても出演するジョン・ポローノ。主人公と同じニューイングランド出身のため、生き方を肉体的にも文化的にも心理的にも熟知。決してテロ映画としてではなく、自分の人生を取り戻すために戦ったひとりの男のドラマとして、皮肉とユーモアを込めて作り上げた。撮影監督は『それでも夜は明ける』、『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』のショーン・ボビット、美術監督は『スポットライト 世紀のスクープ』、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のステファン・H・カーターが担当。『ナイトクローラー』、『ノクターナル・アニマルズ』でもジェイク・ギレンホールと仕事をしているドナルド・モワットが、義足をつけているように見える特殊メイクを担当した。

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STORY

  • 4月15日、その事件は起こったー。

    ボストンに暮らす27歳のジェフ・ボーマン(ジェイク・ギレンホール)は、今日も職場でローストチキンを焦がしてしまい、その理由を鳴らなかったタイマーのせいにして上司から怒られていた。後片付けを同僚に無理矢理押し付け、2連敗中のレッドソックスを応援するために仕事帰りにやってきたのは、仲間が集ういつものバー。そこへ偶然、何度も別れてはヨリを戻している元カノのエリン(タチアナ・マスラニー)がやってくる。ボストンマラソンにチャリティランナーとして出場するため、寄付金を募りに来たのだ。未練たっぷりのジェフは、いいところを見せようと寄付金集めを助けることに。そして翌日、手作りのポスターを作って応援に行くことを約束する。ジェフの熱意とは裏腹に、話半分に聞き流すエリン。約束をしても必ず遅れる彼のいい加減さを、痛いほど知っているのだ。
    2013年4月15日、ボストンマラソン当日。ゴール地点にギリギリでやってきたジェフは、ごった返す人混みの中でエリンの到着を待っていた。すると真横で突然、2度の爆発が発生。意識が戻ったときにはすでに病院のベッドの上で、両脚を切断されたことを告げられる。あまりに衝撃的な事実を受け入れられずにいたジェフを、片時も離れずに支えたのはエリン。めずらしく約束を守って応援に来てくれたこと、そのせいで事件に巻き込まれてしまったことに深く胸を痛め、自責の念を抱いていた。

  • ボストン ストロング=新しいヒーローの誕生

    テロリストの姿を見たと証言したことで、FBIによる犯人特定に貢献したジェフ。爆発直後、車椅子で運ばれる彼の姿を写したセンセーショナルな写真も広く報道されたことで、たちまちテロリストに屈しない“ボストン ストロング”というスローガンを象徴する、希望と決意のヒーローとして注目を集めていく。退院の日、病院の玄関には多くのマスコミが集まり、帰り道にもジェフを讃える横断幕が掲げられるなど、彼を取り巻く状況は一変。自宅にも世界中からプレゼントや手紙が届けられ、母パティ(ミランダ・リチャードソン)は「息子はヒーローよ」と誇らしげにインタビューに答えていた。

  • 耐えられない傷、受け入れられない現実

    周囲の喧騒をよそに、ヒーローとして担ぎあげられることに違和感を覚えるジェフ。なぜなら彼は何かを勇敢に成し遂げたわけではなく、一夜にして足を失うという悲劇に見舞われただけの無力な人間だから。シャワーを浴びることはもちろん、トイレで用を足すことさえろくにできない自分に苛立ち、ヒーローとのギャップに苦悩する日々。そんなジェフに寄り添ったのは、やはりエリン。お互いの傷を優しく包み込むように、再び心を通わせていく。「よかったら越してくる?」そう提案してくれたジェフを心身共に支えるため、エリンは仕事をやめた。一緒に住むことをパティに伝えていなかったことにちょっぴり苛立ちながらも、3人の共同生活が始まった。しかし、相変わらずマスコミの取材を受けたりイベントに参加させようとするパティと、ジェフを利用することを反対するエリンとの溝は深まるばかり。さらに過酷なリハビリに耐えきれず、いつしかジェフもお酒に溺れるようになっていった。誰もがギリギリの精神状態の中、エリンとジェフを決定的に切り裂くある出来事が発生。ついにエリンは家を出て行ってしまう。

  • 本当の強さ、勇気の正体とは?

    自分の無力さと不甲斐なさに絶望する中、ジェフは凄惨なテロ現場で救い出してくれた命の恩人カルロスに再会。「深く感謝している」とお礼を言われたことに驚き、その言葉の裏にある意外な事実に激しく心を揺さぶられる。その瞬間、誰もが同じように傷や悲しみを抱えていること。そしてその痛みを共有することこそが、自分にできる唯一の役割だと気付いたジェフ。真っ暗な闇の中から本当の意味での強さや勇気、そして生きる希望という光を見出し、再び自分の足で歩く決意を固めていくーーーー。

CAST

  • ジェイク・ギレンホール / ジェフ・ボーマン

    1980年12月19日生まれ、アメリカ・カリフォルニア州出身。父は映画監督のスティーヴン・ギレンホール、母はプロデューサー兼脚本家ナオミ・フォナー、姉は女優のマギー・ギレンホールという芸能一家で育つ。11歳の時に『シティ・スリッカーズ』(91)でキャリアをスタート。メジャースタジオ作品からインディペンデント映画まで、名だたる監督の作品に出演する同世代を代表する実力派。アン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』(05)で英国アカデミー賞助演男優賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた。ダン・ギルロイ監督の『ナイトクローラー』(14)で英国アカデミー賞やゴールデングローブ賞映画部門の主演男優賞に、トム・フォード監督の『ノクターナル・アニマルズ』(16)で英国アカデミー賞にノミネートされている。主な出演作は『遠い空の向こうに』(99)、『ムーンライト・マイル』(02)、『グッド・ガール』(02)、『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』(05)、『ジャーヘッド』(05)、『ゾディアック』(06)、『マイ・ブラザー』(09)、『ミッション:8ミニッツ』(11)、『プリズナーズ』(13)、『複製された男』(13)、『サウスポー』(15)、『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(15)、『ライフ』(17)など。製作会社ナイン・ストーリーズを設立し、製作者としても活躍。ポール・ダノが初監督を務めキャリー・マリガンと共演する『Wildlife』(18)、ジョー・ネスボの小説を基にしたドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務める『The Son』、世紀末の世界を描いたUbisoftのビデオゲームをベースにスティーヴン・ギャガンが監督を務めジェイクも出演する『The Division』などが進行中。

  • タチアナ・マスラニー / エリン・ハーリー

    1985年9月22日生まれ、カナダ・サスカチュワン州出身。カルト的人気を誇るテレビドラマ「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」シリーズ(13-17)で様々なクローンを演じ、2016年エミー賞ドラマ部門主演女優賞を受賞。2015年にも同賞にノミネートされ、全米映画俳優組合賞、放送映画批評家協会賞とティーン・チョイス・アワードに2度ノミネートされ1度受賞している。主な出演作は萩上直子監督の『トイレット』(10)、レイチェル・マクアダムス主演の『君への誓い』(12)、ヘレン・ミレン演じる主人公マリア・アルトマンの若き日を演じた『黄金のアデーレ 名画の帰還』(15)、キム・グエンが監督し、デイン・デハーンと共演した『ホワイト・ラバーズ』(16・未)など。

  • ミランダ・リチャードソン/ パティ・ボーマン

    1958年3月3日生まれ、イギリス・サウスポート出身。1980年に舞台デビュー。マイク・ニューウェル監督の『ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー』(84)で脚光を浴びる。その後は多彩な役を演じ演技派としての地位を確立。『魅せられて四月』(92)でゴールデン・グローブ賞を受賞し、『ダメージ』(92)ではアカデミー賞助演女優賞にノミネート。ブライアン・ギルバート監督の『愛しすぎて/詩人の妻』(94)でT・S・エリオットの妻ヴィヴィアン・ヘイウッドを演じ、アカデミー賞に2度目のノミネートを果たした。出演作は他に『太陽の帝国』(87)、『スリーピー・ホロウ』(99)、『めぐりあう時間たち』(02)、『オペラ座の怪人』(04)など。

  • クランシー・ブラウン / ビッグ・ジェフ(ジェフの父)

    1959年1月5日生まれ、アメリカ・オハイオ州出身。ショーン・ペン主演の『バッド・ボーイズ』(83・未)のバイキング役で映画デビュー。『ショーシャンクの空に』(94)のハドリー主任刑務官、テレビドラマ「カーニバル」(03)のジャスティン・クロウ牧師などの個性的な役柄で、鮮烈な印象を残し、世界中の映画ファンにお馴染みである。主な出演作は『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』(04)、『守護神』(06)、『カウボーイ&エイリアン』(11)、『バトルフロント』(13)、『コーチ・ラドスール 無敵と呼ばれた男』(14・未)、テレビドラマ「シカゴP.D.」(15〜16)など映画からTV、スリラーから、社会ドラマ、アクション、コメディ、そしてアニメ作品の声優など幅広いジャンルに出演をしている。

STAFF

  • 監督 / デヴィッド・ゴードン・グリーン

    1975年4月9日生まれ、アメリカ・アーカンソー州出身。『George Washington(原題)』(00・未)で長編映画デビューをし、同作でニューヨーク批評家協会賞新人監督賞、トロント国際映画祭ディスカバリー・アワードを受賞。2003年の『All the Real Girls(原題)』でサンダンス映画祭審査員特別賞を受賞し、グランプリにノミネートされる。2013年にはポール・ラッドとエミール・ハーシュ主演のコメディ『セルフィッシュ・サマー ホントの自分に向き合う旅』(13・未)でベルリン国際映画祭監督賞を受賞。その他の監督作は『スモーキング・ハイ』(08・未)、『グランド・ジョー』(13)、『アル・パチーノ ブロークン 過去に囚われた男』(14・未)、『選挙の勝ち方教えます』(15・未)などコメディから秀作ドラマまで幅広いジャンルの作品を手がける。またAmazonプライム・ビデオ、「レッド・オークス」(シーズン3)(17)の製作、ダニー・マクブライド、ジョシュ・ブローリン主演の『The Legacy of a Whitetail Deer Hunter(原題)』(18)では製作総指揮を務める。

  • 脚本 / ジョン・ポローノ

    1972年5月23日生まれ、アメリカ・ニューヨーク州出身。俳優として映画賞受賞歴を持ち、戯曲と脚本も手がける。ニューハンプシャー大学を卒業し、現在はロサンゼルス在住。手がけた戯曲はLAオベーション賞、LAドラマ・クリティック・サークル賞、ガーランド賞、LAウィークリー賞を受賞。オフ・ブロードウェイ作品「Small Engine Repair(原題)」(13)と「Lost Girls(原題)」(15)はニューヨークで大成功を収め、公演が延長された。最新の戯曲「Rules of Seconds(原題)」(17)はロサンゼルスのダウンタウンで上演され、ヒット作となった。
    俳優としては「ママと恋に落ちるまで」(08)、「グレイズ・アナトミー」(12)、「マスターズ・オブ・セックス」(13)、「Mob City(原題)」(13)、「THIS IS US 36歳、これから」(16-17)などのTVシリーズに出演。

  • 原作 / ジェフ・ボーマン

    1986年1月2日生まれ、アメリカ・マサチューセッツ州出身。2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件での自身の経験を、ブレット・ウィッターと共同で書く。この「Stronger」は、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストにランクイン。ボーマンはヒーローとなり、〝ボストン ストロング〟の象徴的存在となっていく。現在は講演活動を行い、悲劇を乗り越えた自身の経験や人間の精神力について語り、大勢の人々に感動と励ましを与えている。どんなときも希望を忘れず、前を向いて懸命に頑張るボーマンの姿は、人には不安や恐怖に打ち勝ち、どんな障害でも乗り越える力があることを教えてくれる。

  • 原作 / ブレット・ウィッター

    ジェフ・ボーマンと共同で、ボーマンの経験を書く。この「Stronger」は、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストにランクインする。デビュー作はヴィッキ・ミーロンとの共著。ニューヨーク・タイムズ紙の非難もあったが、1年後に「Dewey: The Small-Town Library Cat Who Touched the World(原題)』のタイトルで出版されると、同紙のベストセラー・リストの第1位に輝き、トップ5に6カ月間ランクイン。発行部数は百万部を超える。さらに、2008年、2009年と連続して、「ノンフィクション(ハードカバー)年間トップ15」にランクインした。
    以後、6冊の著書がニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストにランクインする。第1位に輝いた『ミケランジェロ・プロジェクト』(13)は、ジョージ・クルーニーの製作・監督で映画化された。

  • プロデューサー / デヴィッド・ホバーマン&トッド・リーバーマン

    ハリウッドを代表するプロデューサーで、20年以上に渡りディズニーとスタジオ・ディールを結んでいるマンデヴィル・フィルムズ&テレビジョンの共同経営者。プロデューサー。主役のキャラクターとストーリーを重視した感動的な映画を得意としており、最近のプロデュース映画はエマ・ワトソン主演、北米でPG映画の最高興収を記録した実写版『美女と野獣』(17)。『ザ・ファイター』(11)は、2,500万ドルの製作費から全世界で1億3,000万ドルの興収をあげた。その他には『ザ・マペッツ』(11)、『ウォーム・ボディーズ』(13)を製作。製作総指揮作品ではダイバージェントシリーズの『ダイバージェントNEO』(15)、『ダイバージェントFINAL』(16)がある。

  • ナイン・ストーリーズ

    ジェイク・ギレンホールが設立した製作会社。ナイン・ストーリーズは題材を発掘し、それをベースに構成を考え、ストーリーテラーと組んで大胆に発展させて、製作の指揮を執り公開まで導くという方式をとる。現在はポール・ダノが初監督を務める『Wildlife』(18)、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務める『The Son(原題)』などが進行中。