黒沢清監督、オリジナル版「蛇の道」の“再確認”した要素は? 柴咲コウとのタッグ作を海外メディアにアピール
2024年6月6日 13:00
柴咲コウが主演し、「スパイの妻 劇場版」の黒沢清監督がメガホンをとる映画「蛇の道」の上映&記者会見が6月5日、日本外国特派員協会で行われ、柴咲と黒沢監督が出席。日本人監督が手がける“フランス映画”となった本作について、その成り立ちや日本とフランスの製作現場の違いについて語りながら、同作の魅力を海外メディアに向けてアピールした。
本作は、1998年に公開された「蛇の道(1998)」を、黒沢監督がフランスを舞台にセルフリメイクした作品。主演の柴咲とは初タッグとなり、全編フランスで撮影され、日本生まれの“フランス映画”として新たにスクリーンに蘇ることになった。
海外メディアも多く待ち構える中、登場した柴咲と黒沢監督。柴咲は「作品を携えてこの場にいられることを光栄に思います。そして、黒沢監督と一緒にお仕事ができて嬉しく思っています。今日はフランス語で自己紹介しようと思ったのですが、現時点ではフランス語ができなくて、ごめんなさい。みなさんに映画を楽しんでいただけたら嬉しいです」と流ちょうな英語で挨拶。すると黒沢監督は「柴咲さんがこんなに英語が上手だとは!」と驚いた様子で「公開を間近に控えた今、このように柴咲さんと一緒に海外の方とお話しできて光栄です」と感謝を込めて挨拶した。
自作をリメイクすることになった経緯や製作の過程について問われた黒沢監督。「フランスの制作会社プロデューサーからリメイクのオファーがありまして、真っ先に『蛇の道』をやりたいと答えました。リメイク版では、主人公を女性にすることで、オリジナルとはまた違った要素が加わったと思います。主演をやってくれる人がいるのだろうかと不安でしたが、柴咲さんに声をかけ、出演いただけることになり、やったー!という気持ちでした」と主演キャストが決まった際の喜びは相当大きかったようだ。
「黒沢監督から声がかかると思っていなかったので嬉しくて。フランスにも行けるということで不純な動機で引き受けました」と出演を即決した理由を冗談を交えて語った柴咲。とくに脚本に惹かれたそうで“全く新しい作品”として取り組んだという。
ここから、会場に集まった海外メディアの記者とトークセッションを繰り広げた。娘を殺された男の復讐に協力する一方で、心療内科医として日常を送る小夜子。黒沢監督は「小夜子が自宅でどう過ごしていればいいのかというのは悩みましたね。そこで思いついたのが“何もしていない”ということ。次に、“ルンバをみつめている”。これは我ながらすごいことを思いついたと。幸いフランスにもルンバがあったのでよかったです」と、小夜子の人物像を掘り下げる意外なエピソードを明かした。
言語の面ではスタッフとのコミュニケーションで苦労もあったという柴咲。「10年フランスで過ごしている女性を違和感なく演じるのには苦労しました。撮影の後半では段々とフランス語で話すスタッフの会話も理解できるようになり成長を感じられたのは楽しかったです」と“挑戦すること”に意味があったと力強く語っていた。
日本とフランスでは制作現場の雰囲気も全く異なっていたようで、柴咲が「フランスは居心地がいい。議論ができて、仕事がしやすいと思いました」と感想を述べると、黒沢監督も“フランスは肌に合う”と述懐。
黒沢監督「日本人より気持ちのいい面はありますね。たとえば、今日は妻と演劇に行くから仕事を早く切り上げ帰りたいんだというスタッフがいると、周りの人はそれを受け入れる。日本ではなかなかないことだと思います」
また、滅多に自作を振り返ることはないという黒沢監督が、今回オリジナル版を唯一振り返って確認したシーンがあったそう。「拉致した人間の鎖の長さは見直して確認しました」と話し、オリジナル版を彷彿とさせる拷問シーンの裏側も明かした。
「蛇の道」は、6月14日から全国公開。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
中毒性200%の特殊な“刺激”作 NEW
【人生の楽しみが一個、増えた】ほかでは絶対に味わえない、尖りに尖った映画体験
提供:ローソンエンタテインメント
ライオン・キング ムファサ NEW
【ディズニー史上最も温かく切ない“兄弟の絆”】この物語で本当の「ライオン・キング」が完成する
提供:ディズニー
大人気マンガを実写化…大丈夫か!? NEW
「ファンを失望させない?」製作者にガチ質問してきたら、想像以上の原作愛に圧倒された
提供:東映
ラスト5分、涙腺崩壊――
【珠玉の傑作】いじめで退学になった少年の、再生と希望の物語。2024年の最後を優しい涙で包む感動作
提供:キノフィルムズ
映画を500円で観る“裏ワザ”
【「2000円は高い」というあなたに…】知らないと損する“超安くなる裏ワザ”、こっそり教えます
提供:KDDI
モアナと伝説の海2
【モアナが歴代No.1の人が観てきた】神曲揃いで超刺さった!!超オススメだからぜひ、ぜひ観て!!
提供:ディズニー
【衝撃作】ハマり過ぎて睡眠不足に注意!
ショッキングな展開に沼落ち確定…映画.comユーザーに熱烈にオススメしたい圧巻作
提供:hulu
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。