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北川景子主演、山崎豊子著「花のれん」をSPドラマ化 日本のショービジネスに人生を捧げた女性興行師の生涯を描く

2024年10月23日 05:00

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“日本エンターテインメント界の母”の一代記
“日本エンターテインメント界の母”の一代記
(C)テレビ朝日

北川景子が主演を務め、作家・山崎豊子氏の直木賞受賞作を映像化するスペシャルドラマ「花のれん」が、2025年にテレビ朝日系で放送されることがわかった。

本作は、「白い巨塔」「華麗なる一族」など社会問題に鋭く切り込んだ数々のベストセラー小説で知られる山崎氏の生誕100年を記念し、初期の代表作で直木賞受賞作である同名小説(新潮文庫刊)をドラマ化するもの。原作は吉本興業の創業者・吉本せいさんをモデルに、明治~昭和という激動の時代に女性プロデューサーの先駆けとして道を切り拓いた女性興行師・河島多加(かわしま・たか)の生涯を描いた。

21歳のとき、大阪・船場の呉服店に嫁いだ主人公・多加。しかし、怠け者の夫・吉三郎は花街、寄席通いに明け暮れ、経営は傾く一方だった。「いっそ、道楽を本業に」と多加が勧めたのをきっかけに吉三郎は場末の寄席小屋を買い、夫婦で寄席商売をはじめることに。

ところが、吉三郎は愛人を作った末にあっけなく他界。多加は亡き夫が遺した借金のため、より一層、寄席に注力。持ち前の根性と商才で小屋を拡大し、大阪の街に笑いというエネルギーを届けていく。そんな中、多加は窮地を救ってくれたある男性客に淡い恋心を抱くことになる。

多加が寄席商売を続ける上で心に決めていたのは、「人を大切にする」という原点。義理、人情、恩義に厚い多加の姿を通して、彼女が手塩にかけて育てあげたエンターテインメントの素晴らしさを伝えていく。さらに、多加の心にひそかに明かりを灯した淡い恋も描写し、女性としての葛藤も浮き彫りにしていく。

画像2(C)テレビ朝日

多加を演じるのは、NHK大河ドラマ「どうする家康」でお市と茶々の二役を演じ切り、橋田賞を受賞した北川。山崎文学の大ファンで中学時代に読みふけったという北川は、「まさか自分が山崎先生の作品に出演できるなんて……と驚きましたし、うれしかったです」と喜びを明かす。

本作では21歳から晩年まで40年の半生を演じるため、「朝、子ども時代の久男(多加の息子)と遊ぶシーンを撮影したと思ったら、夜には成長した久男に召集令状が舞い込む辛い場面を撮るなど、朝夕で一気に年齢を重ねるような状況があるので、毎日が“激動”です」と語る。

そして、「女手ひとつで寄席を大きくしていった商売人としての顔と、妻としての顔、また母親としての顔、女性としての生きざま、いい塩梅で描かれたヒューマンドラマです。涙あり笑いありのあっという間の2時間になると思います」とアピールした。

脚本は、映画「Dr.コト―診療所」(23)、ドラマ「友情 平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』」(23/テレビ朝日)、「Destiny」(24/テレビ朝日)などを手掛けた吉田紀子が担当。北川とは「みをつくし料理帖」(12・14/テレビ朝日)でタッグを組んだ間柄で、直近作「団地のふたり」(NHK)も好評を博している。

吉田は「まさか、私に山崎豊子さん原作のドラマ依頼が来ると思わなかったので、正直ちょっと驚きました。山崎先生独特の、けれん味あふれる作品は、視聴者としては面白く拝見していますが、いざ自分が脚色するとなると、かなりの力技(ちからわざ)が必要だなと、覚悟をして臨みました」と決意のコメントを寄せた。

“座長”北川のもと、共演には山崎作品ゆかりの俳優たちが名を連ねるほか、お笑い界からも個性豊かなキャストが集結する。共演陣は続報にて発表される。

「山崎豊子生誕100年記念 テレビ朝日ドラマプレミアム 花のれん」は25年放送予定。北川と脚本を手掛けた吉田のコメント、あらすじは以下の通り。


――オファーを受けたときのお気持ちを教えてください
私は元々、「大地の子」や「二つの祖国」など山崎豊子先生の作品の大ファンなんです。実は両親も先生の作品が好きで、実家には文庫本が揃っていたので中学時代、夢中になって読んだことを覚えています。だからオファーをいただいたときは、まさか自分が山崎先生の作品に出演できるなんて……と驚きましたし、とてもうれしかったです。
――女性プロデューサーの先駆け的存在・河島多加という役柄を演じて感じることは?
彼女の人生の“濃さ”ですね。この作品で私は多加の40年間の半生を演じるのですが、朝、子ども時代の久男とかるたで遊ぶシーンを撮影したと思ったら、夜には成長した久男に召集令状が舞い込む辛い場面を撮るなど、朝夕で一気に年齢を重ねる状況があるので、毎日が“激動”です。1シーンごと体当たりで挑むのが精一杯の日々ですが、それだけ多加の人生が激動かつ濃密だったんだなと感じています。
演じていて感じるのは、多加はとても強い女性だなということ。特に夫亡きあと、息子を育てながらひとりで寄席を拡大していったところは気丈でタフだなと思いますし、明るく前向きな女性なので演じながら彼女に励まされ、勇気をもらっているような気がします。
――演じる上で心がけているところがあれば教えてください
多加は大阪・船場の商人なので、まずは船場ならではの言葉を忠実に表現したいという思いがあります。今回、船場の言葉を初めてきちんと勉強したのですが、私たちが知っている大阪弁でもなく、京都の言葉とも違って、初めて聞くイントネーションもありました。船場の言葉は多加という女性を演じる上で大切な要素ですので、そこはできるだけ丁寧にやりたいと思って気をつけています。あとは、この作品は京都で撮影する正当派時代劇でもありますので、伝統美、形式美をしっかり表現するため、お芝居とは別に所作や佇まいにも気をつけています。
――本作は東映京都撮影所で撮影が行われていますが、京都で楽しみにされていることは?
とにかく撮影所での撮影が楽しいですね。私は時代劇が大好きなのですが、セットも小道具も、この京都の撮影所で撮影できるのが本当にうれしくて、スタッフの皆さんと久しぶりにお会いするのも楽しみでした。あとは時間ができたら、大好きなおうどんのお店に行きたいぐらいですね(笑)。
――視聴者へのメッセージ
私が演じる多加は、“日本のエンターテインメントの母”とよばれる吉本せいさんがモデルだといわれています。女手ひとつで寄席を大きくしていった商売人としての顔と、妻としての顔、また母親としての顔、女性としての生きざま、いい塩梅で描かれたヒューマンドラマです。涙あり笑いありのあっという間の2時間になると思います。ぜひたくさんの方に見ていただきたいですね。

【脚本:吉田紀子
――山崎豊子さんの名作「花のれん」のドラマ脚本を執筆することが決まったときのお気持ちを教えてください。執筆の際、意識したこともお聞かせください
まさか、私に山崎豊子さん原作のドラマ依頼が来ると思わなかったので、正直ちょっと驚きました。山崎先生独特の、けれん味溢れる作品は、視聴者としては面白く拝見していますが、いざ自分が脚色するとなると、かなりの力技(ちからわざ)が必要だなと、覚悟をして臨みました。
原作は、主人公・多加の一代記。結婚前(明治時代)から、亡くなるまで(第二次世界大戦後まで)の長いスパンの話です。それを、2時間にどうまとめていくか。結婚、出産、破産、夫と二人三脚で始めた寄席、その夫との死別、その後、女ひとりで寄席を切り盛りし、成功し財を成し、だが、その財産を、戦禍によりすべて失ってしまう。まるで、「風と共に去りぬ」のような話だなと……。
背景にある“笑いの歴史”も押さえておかなければならなかったので、落語や色物、漫才についても史実を調べた上で、執筆にかかりました。また、多加という仕事をもつ女性の生き様、キャラクターをどう表していくか。多加の中にある、今の世の中で薄れつつある“情”の部分を強調したいと思いました。“大阪女の情”を。
――主演・北川景子さんの印象を教えてください。主人公・多加を演じる北川さんに期待していることもお聞かせください
「目力の強い、真っすぐな人」という印象です。吸い込まれそうに美しい目ですよね。20代から60代までの多加の変化を、どう演じてくださるのか。どんどんたくましく強くなっていく多加の、特に晩年が、楽しみです。また、多加には、大阪人独特のおちゃめな部分、かわいらしいところもありますので、そこも楽しみです。
――視聴者へのメッセージ
明治、大正、昭和という激動の時代に翻弄されながらも、“お笑いの世界”で、女ひとり、興行師として、ぶれずに真っすぐ生きて行く多加というたくましくもかわいらしい女性を、北川景子さんがどう演じてくれるか。お楽しみいただければと思います。

【あらすじ】
大阪・堀江の米店の娘として育った多加(北川景子)は見合いの末、明治39年、21歳で船場の呉服店に嫁ぐ。しかし、夫の河島吉三郎は遊び好きで怠け者。多加が息子の久男を抱えながら必死に商売を支えるも経営は傾く一方で、とうとう家を売るしかなくなるまでに窮迫する。
それでも花街、寄席通いをやめようとしない夫を、多加は「そないに寄席や芸事が好きやったら、いっそのこと寄席でも商売にしはったらどうだす」と一喝する。この言葉に、吉三郎は発奮。天満天神の裏にあるボロボロの寄席小屋を手に入れ、なじみの芸人を集めて寄席を開く。しかし、即席の素人寄席に客は入らず、借金はかさむばかりだった。
そんな中、多加は暑い日にキンキンに冷やした冷し飴を売ることを思いつく。それが評判となって次第に客もつきはじめると、吉三郎の芸人選びの妙もあり、連日大入りを記録し、夫婦は2軒目の寄席小屋を開業する。
ところがある日、吉三郎は愛人との同衾中に心臓麻痺で死んでしまう。甲斐性なく世を去った夫にもかかわらず、多加は葬儀で“一生二夫にまみえぬ証”である白い喪服を身にまとう。
その後も夫がこしらえた借財のため、ひとり寄席商いを続けることになった多加は、法善寺にある一流の寄席小屋を粘り強い交渉で入手。「えらい女(おなご)の大阪商人や」と舌を巻く席主に対して、「わてなりののれんを、この寄席(こや)に掲げさして貰います」と大見得を切った多加。商いに一生を賭ける覚悟をこめて、“花菱亭”と染め抜いた花のれんを掲げた。
そんなある日、ひとりの男が花菱亭を訪れる。この男、伊藤友衛はたびたび花菱亭を訪れては窮地を救うなど、多加の心に強い印象を残す。

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